新型コロナウイルスの感染対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は4月8日夕、記者会見を開き、「緊急提言」として改めて油断せず感染対策をすることを呼びかけた。
東京都など各地の「まん延防止等重点措置」は3月21日に解除されたものの、従来のオミクロン株よりも感染力があるとされる「BA.2」の影響で、感染者数が都市部で高止まり、地方で上昇傾向にあるとし、「(ゴールデンウィークの)5月までいかないように、基本的な感染対策を実施してほしい」と呼びかけた。
尾身会長は、まん延防止等重点措置が3月21日に解除された後、夜間の人出が増えたことで、年齢層では20歳代、場所としては飲食店で感染が広がっていると説明。
もし高齢者で感染が拡大すれば、3回目のワクチン未接種者を中心に死亡・重症化する懸念があるとし、国民に対して、以下の対策を訴えた。
・3回目のワクチン接種を急ぐ
・疑わしい症状があればすぐに検査を受け、自宅待機
・マスク着用など基本的な感染対策を続ける
・飲み会、食事会では大人数で長時間、大声でしゃべることや三密を避ける
そして、行政機関と医療機関に対しては、検査の拡充と医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進などを呼びかけた。
一方、これらの対策をしたとしても、「急激に感染が拡大し、深刻な医療逼迫が起きることは想定される」とし、その場合の対策については分科会の中でも2つの選択肢があることも示した。
- 医療逼迫が改善されるまで、社会経済活動は制限されるべき
- 情報に基づく人々の自発的な行動変容を信頼し、社会経済活動はすべきではない
そして、この選択肢を考える上でのポイントが3つあるとした。
- 重症化しやすい年齢層や感染リスクが高い場所に応じた対策をとる
- 重症化しやすい高齢者を感染させない、重篤化させない重点的な対策を講じること
- 感染を牽引する年齢や場所に速やかに対策すること
これらのポイントをもとに、分科会は今後、早急に具体的な提言をまとめるという。
報道陣から出た「ゴールデンウィークを見据えた提言なのか」という質問に対し、尾身会長は次のように答えた。
「感染が少しずつは減ってきたが、最近になって都市部で高止まり、地方部で上昇し始めた。事態が深刻になってからじゃなく、5月の連休前に緊急にできることを今からやろうとメッセージを出した。今週、来週、もうすぐにでも(対策を)やっていただきたい」
感染が拡大した場合に経済活動をどうするかについては、こう語った。
「何でもかんでも止めるということではない。全ての社会活動を止めてやるっていう発想はない」
「メリハリをつけて感染リスクの高いところを中心にやってくださいという意味。5月のゴールデンウィークよりも前に、今なんとか少しでも防ごうということです」
「だから今一度、基本的な対策を全部やってほしい。何か新しい万能薬が今あるわけではない。ちょっと注意し、辛抱強くやってほしいと思ってメッセージを出した」