在英ロシア大使館が「岸・元防衛相がウクライナ批判」と捏造ツイート。岸氏は「フェイク」と批判。ネットでも「あまりに酷い」の声

    在英ロシア連邦大使館が岸元防衛相に関する捏造ツイートを発信しています。岸元防衛相は事実を否定。ロシア側の発信は過去にも様々な誤情報が飛び交っています。

    ロンドンにある在英ロシア連邦大使館が8月16日、岸信夫・前防衛相に関する「捏造ツイート」を発信し、批判を浴びている。

    ツイートは、岸前防衛相が「世界は核災害の危機」「今日が人類最後の日」などとTwitter上で発言したとするものだ。しかし岸氏は、そのようなツイートをしたこと自体を否定しており、何者かが画像を捏造したものとみられる。

    ネット上では「作為的な捏造は許せない」「いくらなんでも酷い」といった声が相次いでいる。

    在英ロシア大使館は16日、英語で「日本の首相補佐官@KishiNobuo(その後削除されたツイート)。これ以上いい表現はない」とツイート。岸前防衛相が自身の公式Twitterで次のように発言したかのような画像を添えた。

    「世界は核災害の危機に瀕しています!ウクライナのミサイルは、ザポリージャ原子力発電所の上空で爆発すべきではありません。アメリカの犯罪を繰り返すな!今日が人類最後の日かもしれない…」

    この画像には、駐日ロシア大使館や英メディアのTwitterアカウントがタグ付けされていたほか、ウクライナのザポリージャ原発と「原爆後の広島」と書かれた、鳥居が残る焼け野原の写真が添付されていた。

    なお、鳥居の写真は、実際には広島ではなく長崎で撮影されたものとみられ、写真説明は誤っている。

    これに対し、岸前防衛相は8月16日午前、「駐英ロシア大使館?が拡散している私のツイートは元々存在しません。フェイクです。@HEFANG3氏の様な方が積極的にデマを流されていた様です」と事実関係を否定。

    さらにロシア大使館のツイートに返信する形で、「拡散されている私のツイートは元々存在しません。フェイクです。ご訂正願います」と投稿した。

    岸氏事務所の担当者もBuzzFeed Newsの取材に「本人が否定している通りです」と答えた。

    なお、在英ロシア大使館のツイートは、16日午前11時現在で230リツイート、360いいねと、広く拡散してはいないが、ネット上では「おかしさは一目瞭然」「雑な加工」などと批判が上がっている。

    朝日新聞(8月16日付)によると、欧州最大の出力を持つウクライナ南部のザポリージャ原発はロシア軍が占領。8月に入って砲弾などによる攻撃が続き、使用済み核燃料の保管施設近くに着弾したりした。

    これにウクライナ、ロシア双方が「相手側の攻撃だ」と応酬。欧州連合(EU)や日韓米英などは14日、「原発から軍や人員を撤収させ、ウクライナ全土から撤退する」ことを、ロシアに求める共同声明を発表している。

    在英ロシア大使館はこのような状況を受け、「日本の政権幹部もウクライナを批判した」という文脈で、何者かが捏造した岸氏に関するツイートを投稿したとみられる。

    ロシア側の投稿は様々な誤情報や偽情報が飛び交っており、BuzzFeed Newsも複数のファクトチェックを行ってきた。

    「ウクライナが自国民に対するジェノサイドを行っている」と投稿したり、ブチャで市民とみられる多数の遺体がロシア軍撤退後に見つかった際は、「ウクライナによる自作自演」と発信したりした。

    今後も情報の取り扱いには注意が必要だ。