本格的な冬が近づいてきました。暖房器具や加湿器による子どものやけどに注意が必要です。
好奇心旺盛な子どもは、触ると危ないものにも興味を示し、すぐ手を伸ばします。
しかし、子どもの皮膚は薄いため、やけどの症状が皮膚の奥深くまで及ぶ恐れがあるといいます。
家の中の思わぬ危険から子どもを守るために気をつけるべきこと。そして、やけどをしてしまった際の応急手当てについて紹介します。
医療機関からの事故報告
消費者庁には、次のような事故報告が医療機関から寄せられています。
夜に帰宅後、部屋が寒かったため、ガスファンヒーターから50センチ程度まで近づき、子どもをひざに乗せて座っていた。すると、足が赤くなって水ぶくれができ、やけどで通院が必要になった(1か月)
お風呂上がりにファンヒーターに腰がふれ、線状のやけどを負った(4歳)
ストーブの柵につかまり立ちをした際、ストーブ上に置いていたやかんが倒れ、両足と尻に重症のやけどを負った(10か月)
湯たんぽを子どもが勝手に開けてしまい、湯がこぼれてひざ下と足の甲をやけどし、通院が必要になった(2歳)
やけどした場合の応急手当ては?
このようなやけどをした場合、どのような応急手当てが必要なのでしょうか。
消費者庁は、「すぐに流水や容器にためた水で10分以上冷やす」ことを呼びかけてます。
その際の注意点としては、
- 刺激を与えないために水道水・シャワーは患部に直接当てない
- 服の上から熱湯がかかるなどした場合は脱がさずに服の上から冷やす
ことを挙げています。
冷却シートはやけどの手当てには適さない
市販の冷却シートはやけどの手当てには使用できません。
メーカーの一つ小林製薬はその理由を、
・冷却シートはジェルに含まれる水分が蒸発するときに気化熱を奪い皮膚温をじわじわと下げるため、火傷には適さない
・火傷は皮膚表面がダメージを受けているため、シートを貼ることはできない
と説明しています。
一方、Twitter上ではやけどの応急処置の際に冷却シートを使った、という声が少なくありません。前述の通り、まずは水で冷やしましょう。
また、電気カーペットなどによる「低温やけど」は、見た目より重症の場合があるため、すぐに救急車を呼ぶか、医療機関を受診する必要があります。
加湿器による事故も
NITE(製品評価技術基盤機構)も「加湿器」によるやけどに関して注意を呼びかけています。
NITEに報告があった加湿器(加湿機能付き空気清浄機も含む)による事故は、2016〜20年度に計35件。
重傷を負ったケースは10件で、「噴き出し口の高温蒸気に触れた」が6件、「転倒した製品からこぼれたお湯に触れた」、「噴き出したお湯でやけど」がそれぞれ2件ずつでした。
また、被害年齢が判明した15件のうち、1歳以下は計7件と半数近くになりました。
90度を超える蒸気、こぼれ出たお湯は80度
スチーム式加湿器では、蒸気の噴き出し口の温度が90度を超えるものもあり、加湿器を倒した実験では、こぼれ出たお湯の温度は80度を計測したそうです。
東京都内では2017年11月、男児(1)がスチーム式加湿機能付き空気洗浄機の蒸気口を触り、左手の皮膚を移植する重度のやけどを負った事例もあります。
NITEは、「加湿器の吹き出し口から噴き出す蒸気は子どもの興味を引く」とし、子どもの手の届くところや、じゅうたんなど不安定な場所に加湿器を置かないように呼びかけています。