石油ストーブなど、暖房器具の火災に注意が必要だ。
NITE(製品評価技術基盤機構)に報告があった建物火災の原因のトップ3を暖房器具が占めており、不注意や誤使用によるものだった。
特に、石油ストーブや石油ファンヒーターは死亡火災につながるケースが多い。
どのような不注意で火災になるのか。“うっかりミス”で命を落とさないため、気をつけるべきことは何か。
「可燃物が接触して」「灯油が漏れて」
NITEには2017〜21年度、建物火災の報告が312件あった。
原因のトップ3は、「可燃物が接触して着火」(20件)、「灯油が漏れて引火」(19件)、「ガソリンを誤給油して出荷」(14件)だった。
製品は、石油ストーブや石油ファンヒーター、電気ストーブで、312件のうち141件(45%)が誤使用・不注意による火災だった。
9棟に延焼したケースも
実際にあった火災は次の通り。
【2018年12月、富山県】
70歳代の女性が電気ストーブに布団をかけたまま他の部屋に移動したところ、約5分後に出火し、建物1棟を全焼した。電気ストーブの熱源に接触したことが原因とみられる。
【2019年2月、埼玉県】
80歳以上の男性が石油ストーブに給油していたところ、カートリッジタンクの口金が外れており、漏れた灯油が石油ストーブの火に引火した。
自宅のほか、9棟に延焼する大きな火災となり、1人が死亡した。
【2018年6月、新潟県】
80歳代の男性が石油ストーブを使用中、異常燃焼を起こして建物を全焼し、3棟に延焼した。
この火災で、1人が死亡し、2人が重軽傷を負った。男性が灯油ではなく、誤ってガソリンを給油していたとみられる。
NITEによると、ガソリンスタンドの従業員が灯油とガソリンを取り違えて渡した事例もあった。
ガソリンは灯油よりも気化しやすく火が付きやすいという特徴がある。灯油用の暖房器具にガソリンを入れると、極めて危険だ。
死亡火災は312件のうち74件
特に、石油ストーブが原因の火災は死者が多い。
NITEに通知があった建物火災312件のうち、「石油ストーブ」が原因だったのは82件で、死亡火災が25件に上った。
「石油ファンヒーター」も、38件のうち10件が死亡火災だった。全体の死亡火災は、312件のうち74件(91人)だった。
確認しなければならないこと
このような火災を防ぐために必要なことは何か。
NITEは、
①暖房器具の周囲に燃えやすものを置かない
②ストーブの給油時は必ず消火する
③灯油が漏れていないことを確認する
ことなどを呼びかけている。
また、死亡火災の被害者は約7割が70歳以上の高齢者だったことから、給油する際は家族がサポートすることが重要という。
NITEの担当者は「冬から春にかけて空気が乾燥し、風の強い日が多いことから火災が発生しやすい。ガソリンと灯油はそれぞれ専用の容器で、別の場所に保管してほしい」と話した。
なお、国民生活センターによると、ガソリンは高温になる場所に保管しないなどの安全な取り扱いが求められる。
取り扱いの方法を誤ると、ガソリンの漏洩や噴出につながるため、注意が必要だ。