「ヘッドライトや懐中電灯が発火」原因は誤った「充電」方法。1部屋が燃えた火災も……

    災害時やアウトドアなどで使われる「充電式ライト」を誤った形で充電してしまうと、発火する危険性があります。注意すべきポイントをまとめました。

    停電や避難時、アウトドアで使われる「充電式ライト」が、過充電によって発火する事故が発生している。

    ヘッドライトや懐中電灯など様々な充電式の製品がある。これらを、附属品やメーカーの指定品ではない他社製の充電器で充電すると、発火して火災につながる恐れがある。

    NITE(製品評価技術基盤機構)の実験でも「パン!」という破裂音とともに発火。このような危険を回避するためのポイントをまとめた。

    なぜ過充電になるのか

    NITEによると、最近は明るくて長持ちするLEDとリチウムイオン電池を組み合わせた充電式ライトが多く販売されている。

    しかし、他社製品で充電すると、リチウムイオン電池が「過充電」となり、発火するケースがある。

    過充電は「コップに水を入れてあふれさせてしまった状態」にたとえられる。

    なぜ他社製品では過充電になるのか。

    原因は、電圧だ。

    付属の充電器よりバッテリーへの出力電圧が高い他社製品を使うことにより、過充電が起きるという。

    一方、充電器と製品をつなぐプラグの形状は同じものが多く、他製品でも充電に接続できてしまうことがあるため注意が必要だ。

    重大事故も発生

    充電式ライトの事故は、2017年度〜21年度の5年間で計50件発生している。

    50件のうち41件が充電中で、埼玉県では19年8月、LEDヘッドライトを充電中に出火し、1部屋が燃える火災も発生した。

    住人男性は、付属品ではない充電器を使用してライトを充電していたという。

    また、50件のうち、14件が「重大事故」(死亡や重傷事故、火災などを分類)だった。

    NITEの実験動画でも、突然ヘッドライトから「パン!」という大きな音とともに火が出る様子が映っており、危険であることがわかった。

    古典的な対策とは?

    NITEが呼びかける事故防止のポイントは次の通り。

    1. 充電は製品に付属の充電器で行う
    2. 充電中は可燃物の物を近くに置かない
    3. 充電器に液体やほこりが付着している場合は使用しない
    4. 衝撃を与えない
    5. 直射日光が当たる場所や車のダッシュボードに放置しない


    また、製品に次のような異常があれば破裂や発火の恐れがあるため、直ちに使用を中止する必要があるという。

    1. 充電が行われない
    2. 充電中に熱くなった
    3. 外装が膨張し、変形した
    4. 不意に電源が切れた


    NITEの担当者は「災害時だけでなく、キャンプなどアウトドアで充電式ライトを使う人は多い。古典的な対策ではあるが、充電器にラベルをつけてどの製品のものかわかるようにしてほしい」と話した。

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