家族からの体罰が「8割」の宗教団体も……旧統一教会など「宗教2世」に関する調査で明らかになったこと

    宗教2世らを対象にしたアンケート調査結果が発表されました。

    評論家の荻上チキさんが所長を務める社会調査支援機構「チキラボ」が11月1日、いわゆる「宗教2世」に虐待や結婚の制限、脱会後の状況などを尋ねた調査結果を発表した。

    回答者の多くは、子どもが親や教団から安全に離れられる制度や、宗教トラブルの相談先などを望んでおり、宗教に関して社会的な改善を求めていることが分かった。

    また、脱会後に家族との関係が悪化した人も多く、一部の宗教団体では回答者の8割が家族からの体罰を経験していたことも分かった。

    「2世信者」ら1131人が回答

    チキラボの調査は今年9月9〜19日に行われた。

    当事者に過去の体験やその後の人生を聞き、社会で議論すべき論点を明確にすることが目的だという。

    調査方法はアンケートフォームを設けたウェブ調査で、「宗教2世」1131人が回答(各回答に「答えたくない」の項目もあり)。

    内訳は、2世が604人、3世が431人、4世以上が65人。仏教系が611人、キリスト教系が345人、神道系が100人だった。

    宗教団体別(自由記述)では、創価学会が428人と最も多く、エホバの証人が168人、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が47人と続いた。

    なお、この調査でいう「宗教2世」は、親が信仰してきた宗教・教団への入信を求められた子どものことを指し、孫の3世以降も含んでいる。

    脱会した6割弱が家族関係の悪化を経験

    今回の調査でまず分かったことは、回答者の多くが「宗教をめぐる問題について社会的な改善を求めている」という点だ。

    具体的には「子どもでも親や教団から安全に離れられる制度の整備」(73%)、「社会問題を起こした宗教団体への解散命令や法人格の取り消し」(71.9%)などを挙げた。

    すでに脱会した人の58.3%が「家族関係の悪化」を経験したことも判明した。

    「家族から脅迫・非難・暴力を受けた」(22.4%)、「友人など人とのつながりが減った」19.9%)、「経済的自立が困難だった」(18.2%)も目立った。

    家族からの体罰や学業・就業の制限も

    宗教団体別では、「エホバの証人」として回答した人の8割以上が「家族からの体罰」を経験し、6割以上が「学業や就業の制限」を受けていた。

    「旧統一教会」の回答者では、7割が教団から献金を要求され、6割強が家族から献金を要求されていた。

    そのほか、「あなたは神や教祖に選ばれた特別な子だと言われた」(70.2%)や、「(受験や就職など)不信心だから思ったような結果にならなかったと言われた」(29.8%)という人も多かった。

    恋愛・交友関係を制限

    恋愛や交友関係について尋ねると、「20歳以降も家族に恋愛・交友関係を制限された」と回答した人は、統一教会が55.3%、エホバの証人が29.2%、創価学会が9.8%だった。

    また、脱会後も宗教的な価値観が残っているせいで、性意識や性行動に罪悪感や背徳感を抱く気持ちがあったと回答したのは、旧統一教会が63.6%、エホバの証人が58.7%、創価学会が10.6%だった。

    このほかの自由記述欄では、「女性はひたすら従うのみ」「同性愛は存在しないなど(と言われた)」「女性は男性に従属し、男性は女性を従属させるように振る舞わなければならない」などが記載されていた。

    同機構の荻上チキ所長は「今、報道で取り上げられている2世信者の声は特殊なのかどうかという点では、今回の調査で決して特殊ではないということが分かった」と話した。

    そのうえで、「一部心ない誹謗中傷が声を上げた2世信者、元信者に向けられているが、それぞれ勇気を持って発信している。調査結果のような思いをしている方は相当程度いるということをお伝えしたい」と述べた。