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「数秒で体に火が…」5年間で492人が死亡している「着衣着火」の怖さ。キッチンで“絶対にしてはいけない”服装とは?

5年間で492人の死者を出している「着衣着火」の恐ろしさについてNITEが会見しました。特に冬場にキッチンで調理する際、服装には注意する必要があります。

この5年間で492人が命を落とした危険な火災がある。

着衣着火」だ。

着ている服に火が引火し、体に燃え移る火災のことで、毎年100人近くが亡くなっている。

特に冬場はキッチンで調理している際に巻き込まれる危険性がある。

ちょっとした油断が命取りとなる着衣着火の恐ろしさとは。もし、着火してしまった場合の対処法は。

毎年100人前後が死亡

NITE(製品評価技術基盤機構)が総務省消防庁のデータをもとにまとめたデータによると、着衣着火の死者数は2017〜21年で計492人にのぼった。

毎年100人前後(88〜111人)が死亡しており、被害者の9割近くは65歳以上の高齢者だった。

着衣着火の要因で最も多かったのは

NITEに通知があった着衣着火の火災件数は、17〜21年で計20件。

命を落としたり、重いやけどを負ったりするケースが多く、20件のうち死亡が6件、重傷が5件。

また、20件のうち、着衣着火が起きた要因として最も多かったのは「ガスコンロ」の7件で、死者と重傷者がいずれも2人いた。

ついで「ライター」が4件、「草焼きバーナー」が3件だった。

火災の原因は「消費者の誤使用・不注意」が最多の9件だった。

ガスコンロを使用中、電気ストーブを背に……

NITEに寄せられた火災の被害は次のとおりだ。

2019年11月、北海道で80歳以上の女性がガスコンロを使用中、着衣に着火して死亡した。

2017年11月、東京都で70歳代の男性が電気ストーブを背にして暖をとっていたところ、着衣に着火してやけどを負った。

電気ストーブに接触したか、衣服が加熱して発火した可能性がある。

2017年10月、静岡県で50歳代の男性が使用したライターを衣服のポケットに入れたところ、衣服が燃えて重傷やけどを負った。

ライターのノズル付近に異物が付着し、ノズルが戻らなくなって残火があったとみられる。

2020年11月、兵庫県で80歳以上の男性が草焼きバーナーにから出た火が衣服に移り、死亡した。

草焼きバーナーのホースに亀裂があり、灯油が漏れており、漏れ出た灯油に火口の炎が引火し、男性に燃え移ったと推定される。

「モフモフ」「ダルダル」の服に要注意

特に冬場はガスコンロに注意が必要だ。

寒い時期は、毛先が長い「モフモフ」の服や、裾や袖が広がっている「ダルダル」の服を着る人が多い。

そのような服装で調理をすると、コンロの奥に置かれた物をとろうとした際など、服に引火する危険性があるという。

実際、NITEが公開した実験動画では、数秒でコンロの火が服に燃え移り、体に燃え広がっていく様子が映し出されていた。

NITEは、調理をする際にそのような服を着ないか、エプロンやアームカバーをすることを勧めている。

万が一、衣服に火が燃え移ったら

では、万が一、衣服に火が燃え移った場合はどうすればいいのだろうか。

近くに水場や消火器がある場合は、水をかけるなどして消化し、衣服を素早く脱ぐ必要がある。

このほか、火を消すには「ストップ、ドロップ&ロール」という方法がある。

「止まって、倒れて転がる」という意味で、体と地面の間にできるだけ隙間がないように倒れ込み、燃えているところを地面に押し付けるようにしながら左右に転がる。

この際、両手で顔を覆うと、やけどを防ぐことができる。

してはいけないこととは?

【危険】5年間で492人が死亡している「着衣着火」。 NITEの実験映像からは、ガスコンロの火が服に引火し、一瞬で体に燃え広がる恐ろしさがわかります。 特に冬場は“ある服装“をしてはいけません。燃え移った場合の対処法もまとめました。 https://t.co/ct1bw1etP3

Twitter: @BFJNews

NITEの提供動画をもとに作成

一方、パニックになって走ると、風で酸素が取り込まれ、火の勢いが大きくなる可能性がある。ストップという言葉が用いられているのはそのためだ。

1月26日に会見したNITEの担当者は「冬はガスコンロや暖房器具を使う機会が増える。厚着をすると、着火に気づきにくくなるため注意が必要だ。自分自身は火に近付いていない感覚でも引火する危険性がある」と話した。