適度に揺れて乳児をあやす椅子「バウンサー」について、関係機関が適切な利用を呼びかけている。
1人で子どもを見ている時などに便利な製品だが、誤った使い方をすると転落や窒息の危険がある。
実際に起きた事故の事例や、気をつけたい5つのポイントをまとめた。
バウンサーとは?
バウンサーは、フレームに背もたれがあるシートを取り付けた「ゆりかご」のような製品。
抱っこせずにあやすことができるため、子どもがぐずった時などに使うケースが多い。1人で子どもを見ているときにも有効だ。
しかし、付属のベルトを子どもにつけないで使用すると、重大な事故につながる恐れがある。
消費者庁には次のような事故事例が寄せられている。いずれも付属のベルトを装着しないで子どもをバウンサーに乗せていた。
「後頭部をフローリングにぶつけた」「うつ伏せで倒れていた」
「バウンサーの背もたれを起こして座らせていた。泣き声がしたので子どもを見ると、50センチ下のマットに顔から落ちていた。頭を打撲し、鼻から出血した」(0歳2か月)
「滑り落ちて後頭部をフローリングにぶつけた」(0歳6か月)
「子どもを乗せたバウンサーを高さ約70センチのテーブル状に置き、家事のため約10分離れた。泣き声がしたので戻ると、フローリングの床にうつ伏せで倒れて泣いていた」(0歳2か月)
「高さ50センチのバウンサーから転落し、うつ伏せで泣いていた。バウンサーで寝返りをうつことがよくあった」(0歳6ヶ月)
窒息の危険性も
窒息にも注意が必要だ。
ベルトが装着されていないと、子どもが寝返りをうって横向きやうつ伏せになった際、顔がシートに覆われて窒息する恐れがある。
そのため、子どもがバウンサーに座ったまま寝入ってしまった場合、抱きかかえてベビーベッドなどに移動させなければならない。
消費者庁の事故情報データバンクシステムによると、東京都内で2018年11月、バウンサーで寝ていた乳児の顔が付属品の幌(ほろ)で覆われ、窒息死した事故もあった。
注意すべき5つのポイント
商品を購入する際は、一般財団法人「製品安全協会」(東京)が定めた安全基準(SG基準)をクリアしたものを選ぶ必要がある。
対象年齢や使用方法を事前に確認することも重要で、特に首がすわっていない子どもの場合はバウンサーの背もたれを最も倒した位置に調整しなければならない。
経産省や消費者庁は次のようにバウンサーの適切な利用を呼びかけている。
- 必ずベルトを装着する
- 目の届く範囲で使用する
- バウンサーごと転倒する危険性があるため、傾斜や段差、高いところに絶対に置かない
- 子どもが寝た場合はベビーベッドなどに移動させる
- 寝返りをうった際に顔がシートに覆われないようにする