0歳児が寝ている間に窒息する事故が相次いでいる。
消費者庁によると、0歳児の「不慮の事故死」の大半は窒息。なかでも寝ている時とみられる「ベッド内で」が最も多いという。
11月は冬に発症しやすいとされる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間でもある。
子どもの「命」を守るためのポイントをまとめた。
0歳児が全年齢の93%を……
消費者庁は、厚労省の「人口動態調査」の5年分(2016年〜20年)を分析した。
交通事故や転落、窒息など「不慮の事故」は、0〜14歳の子ども全体で1314件。0歳児はそのうち350件と、全年齢の4分の1を占めた。
0歳児の死因は「窒息」が271件と圧倒的に多く、原因は「ベッド内」が最多の118件(43%)だった。
なお、「ベッド内」での窒息は、0歳児が全年齢の93%(127件中118件)を占めている。
実際の事故報告
消費者庁などには、次のような事故報告が医療機関からあがっている。
授乳後に大人用ベッドに寝かせていたら、ベッドと壁の隙間に子どもの頭が挟まり、体がえび反りになっていた。(0歳6か月、窒息・打撲)
子どもを仰向けで寝かせ、大人用のタオルケットを体にかけた。30分後に様子を見にいくと、柔らかい枕の上でうつ伏せになり、タオルケットが首に巻き付いていた。(同7か月、意識障害で入院)
低反発マットに子どもを寝かせて目を30分ほど話していたら、初めて寝返りをしたため、顔がマットに埋もれていた。心臓マッサージで息を吹き返した。(同5か月、窒息)
保護者が添い寝をしていて気がついたら子どもの上に覆いかぶさっていた。集中治療室で人工呼吸管理を行い、2週間以上入院した。(同0か月、窒息)
これ以外でも、2センチ大のボールを誤って口に入れたり、食事を喉に詰まらせたりする事故が起きている。
窒息事故を起こさないために
消費者庁や厚労省は、窒息事故を起こさないため、主に6つの点に注意するよう呼びかけている。
- 寝返りをした場合に備えて周囲に柔らかい寝具を置かない
- できるだけベビーベッドに寝かせる
- 頭や体が挟まれないように周囲に隙間をつくらない
- 鼻や口が塞がれないように、固めの敷布団、マットレス、枕を使う
- 掛け布団は払いのけられる軽いものを使う
- よだれかけなど首に巻きつくものは置かない
SIDSの発症率が低くなる3つのポイント
また、厚労省は11月を「乳幼児突然死症候群(SIDS)」対策強化月間として、注意を呼びかけている。
SIDSは「何の予兆や既往歴もないのに乳幼児が突然死に至る病気」で、12月以降の冬季に発症しやすい傾向にある。
乳幼児のSIDSによる死者数は、1996〜2014年が538〜125人。以降は16年(109人)を除いて60〜90人台で推移し、21年は81人だった。
発症の原因はわかっていないが、次の3つのポイントを守ることで発症率が低くなるというデータがあるという。
- 1歳になるまではあおむけで寝かせる(医学上の理由でうつ伏せを勧められている場合は除く)。
- できるだけ母乳で育てる
- タバコをやめる
SIDSのリスク軽減と同時に窒息事故も防げる
SIDSはあおむけでも発症するが、うつ伏せに寝かせたときの方が発症率が高い。
「あおむけの姿勢では唾液や吐乳などで窒息しないか」と思う人も多いが、「健康な赤ちゃんであれば通常、反射で飲み込んだり、咳をして吐き出したりする」という。
厚労省は「あおむけに寝かせることは、睡眠中の窒息事故を防ぐうえでも有効」としている。