踊っているような、カンフーをしているような、拳を大きく振りあげた猫の姿——。TwitterやFacebookで見かけたことはありませんか?
そんな写真がたくさん詰まった本が、いま話題の『のら猫拳』。
猫の写真はどのように撮られているのでしょう? BuzzFeed Newsは、著者のアクセントさん(@sakata_77)にインタビューしました。
——このような写真を撮り始めたきっかけは?
もともと猫を3年ほど前から撮影していましたが、その時は自然体の猫を撮影するスタイルでした。1年程前にプロの猫写真家の知人の影響で、のら猫の撮影に猫じゃらしを使ったところ、想像以上に食いつきが良く、躍動感のある写真を撮ることができました。
「もしかして、自分たち猫写真家が思う以上に、人間と遊びたい、と思っている猫がたくさんいるのではないか」と思い、本格的に猫のアクション撮影を開始しました。
——撮影をする場所や時間の選び方は?
詳細な場所はお答えできませんが、撮影地選びは重要ですね。とにかくたくさんのポイントを巡って、遊んでくれる猫が多い地域を探しています。
時間帯は季節にもよりますが、朝と夕方が良く遊んでもらえると思います。昼は眠いのか反応は鈍いように思いますね。早朝を狙うためにテントを張って泊まり込みで撮影したこともあります。
——アクロバティックな猫の動きを表現するために、こだわっている点は?
猫が遊ぶことに集中できるように意識しています。猫によってオモチャの動き方の好みがあるので、反応を見ながら動かし方を変えて撮影します。
——気に入った一枚を撮るまでにかかる時間は?
一概には言えません。最初から元気よく遊んでくれる猫は最初からいいショットが撮れることもありますが、テンションが段々上がってくるタイプの猫もいるので、反応を見ながら撮影します。
1匹当たりの1回の撮影時間は大体10〜15分程度だと思います。ひたすらそれを繰り返してますね。オモチャを片付けてもひたすら追いかけてくる、体力があってとにかく遊びたい猫もたまにいますが……。
——写真集の中で、最も気に入っているものは?
夕暮れ時のシビアな時間帯で、実は遊んでくれるまで時間のかかった猫なので、思い入れのある一枚です(下の写真)。このエリアはこの子しか遊んでくれなくて、この猫のためだけに何度も通いました。
——写真集の中で、最も撮影するのが難しかったものは?
写真集の中で一枚だけ、おもちゃを一切使っていない、非演出の写真があります。「子ネコ対決」の最後のページです。
本当にたまたまじゃれあってるところを撮影していたら、お互いに立ち上がってクロスカウンターのようなポーズになって。狙って撮影できたわけじゃないので、一番難しいと思います。
——撮影時に使っているカメラやグッズは?
オリンパスE-M1をメインに使用しています。軽さと連写力を重視しますので、ミラーレス機が良いですね。今はミラーレスと言っても一眼レフに負けない画質です。連写力はミラーレスの方が上の場合もあります。
オモチャは市販のネズミのタイプを使用しています。食いつきが良いものがあったので、同じものをメーカーから大量に取り寄せました。
——『のら猫拳』は何度でも見返したくなる本だと思います。特にどんな人に、どんな時に見てもらいたいですか?
猫のコミカルなポーズは、幅広い年齢層の方に楽しんでもらえると思います。是非ご家庭や職場、学校のお友達と見てほしいですね。
一人で見て頂いても十分にお楽しみいただけますが、だれかと「この写真のポーズ、○○みたい!」とか言いあいながら見てもらえると嬉しいですね。
——最後に、読者や写真集が気になっている方に向けてメッセージをいただけますか?
猫は私たちにとって、非常に身近な生き物だと思います。そんな猫たちが実はカンフーやダンスをしているみたいに躍動感のある、まさに人間のような動きをすることができるんだ、という事をこの本を通して知っていただけたら嬉しいです。
また、この写真の撮影地はいずれも「人と猫の関係が良好な地域」です。この本が人と猫の関係を考えるきっかけになるといいな、と考えています。
「アクセント」プロフィール
猫写真歴は3年。猫のプロカメラマンである知人の影響で1年前から本格的に猫のアクション撮影を開始。コミカルな写真がツイッターで話題になり、フォロワーは1万人を超える。
半年で10万枚以上猫を撮影し、初写真集『のら猫拳』(エムディエヌコーポレーション)を出版。雑誌や書籍への写真提供も行っている。
「猫の持つ躍動感、コミカルさを写真を通して多くの人に知ってもらいたい」という思いで撮影を続ける。
2017年内には企画展への出展も準備中。
・Twitter:@sakata_77