DeNAの「MERY」が写真をパクり、それを他サイトがパクる。被害は終わっていない

    MERYが盗用した画像が、MERYを出典として他サイトに盗用される。終わらぬパクリの連鎖。削除依頼に追われるプロカメラマンにDeNAが提案した「ご迷惑料」は…。

    IT大手DeNAが運営する「キュレーションメディア」による著作権問題に終わりが見えない。一度パクられた画像がさらに転載され、拡散先のメディアが何の対応もしない事例があるからだ。

    DeNAは昨年11月のBuzzFeed Newsの報道をきっかけに10メディアを休止し、12月7日に著作権や健康に関する相談窓口を設置した。調査報告書によれば、著作権に関する相談は84件あったという。

    DeNAは現在、画像盗用被害者に対して社内調査の結果とそれに基づく「ご迷惑料」を報告している。しかし、その対応や金額に被害者が納得しているわけではない。

    そのうちの1件が、地域情報を発信するサイトを運営しているA氏だ。

    BuzzFeed NewsはA氏から連絡を受け、盗用発覚から報告書を受け取るまでの経緯と「ご迷惑料」に関する情報を、DeNA側の見解とあわせて3月18日に報じた

    A氏が盗用された画像は3点で、「Find Travel」「iemo」の記事の5箇所に掲載されていた。それを踏まえてDeNAが提案した「ご迷惑料」は5000円。A氏はその金額に納得していない。

    「MERY」はプロの写真を盗用

    先述記事の掲載後、BuzzFeed NewsはプロカメラマンのB氏から連絡を受けた。

    B氏は、画像投稿サービス「Flickr」にアップロードしていた画像1点を「MERY」に盗用された。

    B氏が盗用に気づいたのは2016年12月初旬。

    B氏はDeNAに連絡し、担当者と会って話をした。「(DeNA担当者の)反省の態度から同情し、叱咤激励して問題解決の協力もしてきました」とB氏。これまでにDeNAとやり取りしたメールは90通を超える。

    しかし、その後のDeNAの対応はB氏の思いを裏切るものだった。

    DeNAは全キュレーションサイトを調査し、画像の盗用箇所は「1箇所」とB氏に報告した。だがその後、B氏が自ら調べた結果、さらに2箇所で盗用されていることがわかった。

    B氏はDeNAに対して調査方法を尋ねたが断られた。また「記事の投稿者に画像を盗用した経緯を確認してほしい」と頼んだが、相手にされなかったという。

    「出典:MERY」パクリ連鎖

    B氏を悩ませているのは、DeNAの対応だけではない。

    MERYに盗用された画像が、MERYを出典として、他のキュレーションサイトやアフィリエイトサイトにさらに盗用されていたのだ。

    把握している範囲で、計11サイト。そのうち5サイトがMERYを出典として画像を盗用。他の6サイトは出典表記がないが、記事の内容がMERYの当該記事と似ているため、MERYの影響で画像が盗用された可能性があるとB氏は見ている。各サイトの画像盗用記事の掲載時期を比べても、MERYが最も古い。

    これらには、東証一部上場企業が運営するメディアも含まれていたという。

    画像盗用サイトの一部は、B氏の申し出に応じて画像を取り下げた。B氏は各サイトに損害賠償請求もしているが、その多くは応じていない。

    いまだにMERYを出典としてB氏の画像を掲載し続けているサイトには、相席居酒屋の紹介サイト「相席ナビマガジン」、アフィリエイトサイト「話題の言葉 関連グッズ!」などがある。

    B氏は画像盗用サイトへの削除依頼を12月から続けている。

    「(サイト運営者の)中には、『MERYに責任がある。なぜこちらに連絡してくるのか!?』と納得されないところもありました」

    こうしたやり取りは深夜にまで及ぶこともあったという。

    迷惑料に「侮辱された思い」

    B氏がMERYに盗用された画像は1点、3箇所。

    MERYを出典とする盗用サイトとの交渉を続けるB氏にDeNAが提案した「ご迷惑料」は、1000円だった。

    「納得してくれるなら連絡してくださいとのこと。最初に感じたことは、信じられない、悲しい気持ちでした」

    「担当者さんとのやり取りのなかで感じていた信頼関係が崩れていきました。その後に、いまさらこんなことを言ってくるということはバカにされていたんだと、侮辱された思いでした」

    DeNAは現在、一部のウェブサイトに謝罪広告を掲出し、キュレーションメディア問題に対する相談窓口を案内している。

    謝罪広告を見て、B氏はこう言う。

    「表向きのポーズは立派です。でもその裏ではまた、透明性を欠いたことや被害者とのコミュニケーションを欠いた一方的なやり方をしています」

    B氏は納得できる説明を求め、DeNAとのやり取りを今も続けている。