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真夜中の労働ホットライン、相談の4割が「過労死ライン越え」の長時間労働

「衝撃を受けた」と弁護士たち

電通の過労自殺事件をきっかけに、弁護士が実施した「命を、守る。真夜中の労働ホットライン」の結果がまとまった。相談は11月4日の夜9時から翌朝2時までの間に73件。そのうちの29件で、過労死ライン(月あたり80時間の残業)を超える長時間労働の相談があった。

相談に応じる弁護士が受話器を置くと、1分と経たずに次の電話がかかってくる状況だった。深夜になっても電話はなりやまず、0時過ぎの方が1時間あたりの相談件数は多かった。

相談内容の分類は、多い順に長時間労働(34件)、残業代不払い(27件)、過密労働(22件)、いじめ・差別・ハラスメント(16件)などだった。どれだけ残業しても固定の金額しか払われない、タイムカードや出退勤記録にウソを書かされる、といった相談もあった。

相談者は若い世代が多く、20代、30代を合わせると約半数に及んでいた。

ホットラインを実施したブラック企業被害対策弁護団の大久保修一弁護士は、「あくまで本人の話にもとづく数字ですが、過労死ラインを超える長時間労働の相談がこれほど多かったことに、衝撃を受けました」と話す。

共同通信によると、電通では30人以上の社員が1カ月の残業時間を実際より100時間以上減らして申告していた。厚生労働省などは、組織的な「残業隠し」の疑いで捜査を進めるという。

過労自殺した入社1年目の電通社員・高橋まつりさん(当時24歳)は、亡くなる前に月105時間の残業をしていたと労基署に認定されている。

弁護団代表の佐々木亮弁護士は次のように話していた。

「日本人は『働き者』とされ、それが日本の美徳とされていますが、働きすぎると体を壊すのは万国共通です」

「ところがいま国会では、長時間労働の歯止めとなる残業代を、一定条件を満たせばゼロにできる『残業代ゼロ法案』が議論されています。もしこうした法案が通れば、過労死ラインを超える働き方を強いられる人が増える可能性があります」

「長時間労働を防ぐためには、勤務と勤務の間に、休息のための時間(インターバル)を必ず設けなくてはならない制度などが必要でしょう」