舛添都知事、違法性なしのお墨付きにも止まない批判 追及の場は議会へ

    これが「厳しい指摘」?

    舛添要一都知事の会見を見て、「疑惑が晴れた」と感じた人がどれだけいるだろう。6月6日、政治資金の私的流用などについて、調査委を務めた弁護士は「一部は不適切だが、違法性はない」と結論づけた。だが、知事への批判は止まず、追及の場は都議会に移る。

    BuzzFeed Newsは、都庁での緊急記者会見に参加した。約1時間10分。「第三者」として調査を担った佐々木善三弁護士と森本哲也弁護士が調査結果について説明する間、舛添知事はうなだれ続けた。

    およそ50分が報告書の説明と知事の謝罪に費やされ、記者との質疑は20分ほど。「一部は不適切」としつつも、「違法性なし」のお墨付きをもらった舛添知事は「厳しいご指摘をいただいた」と述べた。

    では、「厳しいご指摘」の中身はどうだったか。

    これで厳しい指摘?

    2人の弁護士は、一連の疑惑について、「適法か」と「政治的道義的観点から適切か」を調べた。そして、その結果、すべて「適法」だが、一部が「不適切」とされた。具体的に見てみる。

    「ピザ釜の作り方」「江戸流そば打ち」「楽しい金魚の飼い方」といった本の購入は「不適切とまではいえない」

    40点以上に及ぶ「書」の購入も「舛添氏の書道は、趣味と政治家としての実利・実益を兼ね備えている」として、「不適切とまではいえない」

    上海の空港で購入したシルクの中国服2着についても、「書道の際に着用すると筆をスムーズに滑らせることができるためとのことであり、その説明は具体的で説得力のあるものであった」と評価し、この支出は適切だったとする

    漫画「クレヨンしんちゃん」やミステリー小説、多額の美術品の購入、家族同伴の旅行や飲食が「不適切」と判断されたが、これは当たり前の話だ。

    これで、「第三者の厳しい目」といえるのか。

    さらに厳しい世論

    舛添知事が5月に開いた釈明会見に対しては、JNNの世論調査で89%が「納得できない」という強い反発が起きた。今回はどうか。

    舛添知事は「公私の区別を明確にして、信頼を取り戻すべく、粉骨砕身、都政の運営に努めてまいりたい」と述べた。また、「けじめをつける」として次の3つを約束した。

    (1)宿泊費や飲食費は、個人資産から返金する。(2)購入した美術品は、美術館などに寄付する。(3)湯河原の別荘を売却する。

    だが、これだけで批判は止みそうにない。

    追及の場は都議会へ

    一連の疑惑を批判してきた音喜多駿都議は、会見後すぐに「明確な意図と常習性があり、極めて悪質な舛添知事の「一部不適切な行為」」と題したブログを公開し、舛添知事を強く批判した。

    舛添知事の「弁護」側である方々からの報告書で、これほど不適切と認定されるものが出てきたことは驚きでした。

    特に宿泊料・飲食費においてこれだけの不適切な支出があったことは、期間が長期にわたっていることからも、確実に意図的であり、常習性があり極めて悪質です。

    とうてい「ミス」や「勘違い」で許されるレベルではなく、民間企業でここまでの経費の使い込みを連発していれば、発覚と同時に即座にクビでしょう。

    また、会見で説明のほとんどを弁護士に任せたことも批判。「なぜこのような不適切な行為に及んだのかを聞くことができなかった」と指摘した。

    都議会では、6月7日に代表質問、8日に一般質問がある。追及の場は議会に移った。舛添都知事の苦しい局面は、まだ終わらない。