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裁量労働制で働く人へ 「ホントに裁量ありますか?」 NPOが電話相談

裁量労働制を適用できる条件は、厳しく定められている。

裁量労働制とは何か。

独立行政法人労働政策研究・研修機構のサイトでは、次のような説明がされている。

裁量労働制とは、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認める制度です。

ざっくり言うと、どんな風に働くかを働く人自身が決められる場合に、実際に働いたかどうかに関わらず「一定時間働いたとみなす」という制度だ。

たとえば、一定の成果さえ出せば、オフィスに行っても行かなくても、いつどこで働いてもいい・・・そうだとしたら、労働者にとっても悪くない話に思える。

ただし、この制度は、労働者に本当に裁量がなければ成り立たない。そのため、裁量労働制を適用できる条件は、厳しく定められている。

裁量がないと…

だが、実態としては、微妙な運用がされているケースもある。

BuzzFeed Newsは、外資系メーカー勤務の女性社員Aさんに話を聞いた。

Aさんは2014年に入社しておよそ1年後、「昇進」と同時に、企画業務型の裁量労働制の対象にすると告げられた。Aさんは「詳しい説明はなかった。同意書を渡され、サインしてしまった」と口惜しそうに話した。

Aさんによると、担当していた仕事は、細々としたルールがカッチリと決まっているもので自由度が少ないもの。昇進後も、それまでと業務内容は全く変わらなかったという。

働き方の部分でも自由度が低く、裁量労働のはずなのに、オフィスへの出勤が事実上、義務付けられていた。また、社外の人たちの都合に合わせて動かなければならないため、月80時間の時間外労働をしなければならない月もあった。

事実上、業務内容や仕事の進め方について、裁量はほとんどなかったと、Aさんは語る。

一方、「裁量労働制」になって以降、残業代が一部の深夜勤務を除いて出なくなった。基本給は上がったもの、「未払い残業代」は8カ月分で合わせて200万円に及んでいたという。

最終的にAさんは、労働基準監督署に相談。労基署が「会社は裁量労働制を導入するために必要な手続きをとっていなかった」として、裁量労働制の適用を無効だと判断したため、この200万円を支払ってもらえたそうだ。

ホットライン

労働問題に取り組むNPO法人・POSSEにはこのところ、裁量労働制をめぐる相談が、何件か寄せられているという。

メンバーの坂倉昇平さんは、「裁量労働制の適用条件は本来、厳しく限定されているのに、実際はこの条件を満たさないまま、違法に残業代を支払わないという事例がある」と指摘していた。

POSSEは7月23日午後5時〜午後9時まで、裁量労働制の残業不払い問題について、無料で相談ホットラインを開くそうだ。電話番号は0120-987-215。