ミサイル警報「Jアラート」はどんなときに鳴るのか

    鳴るとき、鳴らないとき

    7月4日午前、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。菅義偉・内閣官房長官は記者会見し、「本日9時39分ごろ、北朝鮮西岸より弾道ミサイルが発射され、約40分間飛しょうし、日本海のわが国の排他的経済水域に落下したと推定される」と述べた。飛行機・船舶等への被害は確認されていないという。

    今回のミサイル発射で、国の緊急速報「Jアラート」は鳴らなかった。

    「Jアラート」は津波・地震などの大規模災害のほか、弾道ミサイルでも出されることがある。市町村の防災行政無線等が自動的に起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・緊急速報メールが配信される。

    弾道ミサイルのJアラートを出すかどうかは、内閣官房が決めている。どういう時に鳴らしているのか。

    内閣官房の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に、次のように答えた。

    「Jアラートは、ミサイルが我が国の領土・領海に飛来する可能性があると判断した場合に出すことになっています」

    今回、ミサイルが落下したのは排他的経済水域(沿岸から200カイリ=約370キロが基準)で、領海(沿岸から12カイリ=約22キロが基準)には飛来していないとみられる。

    Jアラートが出たケースと出なかったケースについて、過去の事例を見ていこう。

    【Jアラートが出たケース】

    2016年2月7日、北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付近からミサイルが発射された時には、Jアラートが出た。携帯電話のエリアメールでは、次のような文章が流れた。

    政府からの発表
    2016/02/07 09:34
    「発射情報、発射情報。先ほど、北朝鮮からミサイルが発射された模様です。続報が入り次第、お知らせします。」
    (総務省消防庁)

    2016年2月7日のミサイルについての分析

    ミサイルは領土・領海を通過すると判断された。アラートが出たのはそのためだ。事実、ミサイルは沖縄の上空を通過している。

    【Jアラートが出なかったケース】

    一方、2017年3月6日にミサイルが発射されたときには、アラートが出なかった。

    内閣府の担当者は「途中の段階で日本海に落ちるだろうと予測しました」と話す。予測通り、このミサイルは秋田県男鹿半島から西に約300~350キロの日本海上に落下したと見られている。

    落下地点は、日本の領海(基線から約22キロまで)ではない。そう予想されたため、Jアラートを出さなかった、というわけだ。