家事育児をしない「九州男児」を啓発 動画「知事が妊婦に。」の裏側を聞いた

    体験しなければわからない

    「日本の男は世界一家事をしない」という調査結果がある・・・

    夫は仕事に専念し、妻ばかりに家事や育児を負担させる。

    そんな現状を打破しようと、九州と山口の各県と経済界が作成、公開した動画「知事が妊婦に。」がインターネット上で話題になっている。

    BuzzFeed Japanは、プロジェクトを担当する佐賀県の男女参画・こども局こども未来課に、作成過程の裏側を聞いた。

    「九州男児」は家事をしない、という

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    国際社会調査プログラム(ISSP)の調査では、日本の夫は世界的に見て、家事育児の時間が短い。

    佐賀県こども未来課によると、九州・山口地域の男性は、家事や育児に関わる時間が全国平均よりもさらに短く、妻は夫に比べ約7倍働いているというデータもある。

    そんな「世界一家事育児をしない男たち」に向けて、動画「知事が妊婦に」は作られた。「仕事と生活の両立」の大切さを伝え、子育てに優しい職場作りを啓発するためだ。

    官民一体となって九州地域の発展を推進する「九州地域戦略会議」は2014年、男性の育児・家事参加を促進するため、プロジェクト「九州・山口ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーン」を立ち上げた。

    佐賀県が事務局となって、啓発動画やポスターの制作を手掛けた。

    ウェブ動画制作には、今年7月~9月の約3か月を要した。予算は900万円。各県が100万円ずつ負担したという。

    若手知事3人が妊婦体験

    動画「知事が妊婦に。」に登場するのは、佐賀県の山口祥義知事、宮崎県の河野俊嗣知事、山口県の村岡嗣政知事だ。

    各知事のスケジュールを考慮し、行政の長である知事の中でも子育て世代に近い若手知事3人が出演者に選ばれた。

    妊娠7カ月に相当する7.3キロの妊婦ジャケットを着て、実際に買い物をしたり、公務をこなしたり。プロジェクトの先導役である、知事自らが妊婦の大変さを体験した。

    佐賀県知事はスーパーでの買い物、宮崎県知事はデスクワーク、山口県知事は掃除や洗濯を体験した。

    動画に映る知事は一人で車の後部座席に乗ることはおろか、靴下を履くことですら一苦労している。

    本当に妊婦って辛そうだ。。。

    知事「育児・家事の大変さ実感」

    妊婦体験を終えた知事3人はそれぞれの感想を口にした。

    佐賀県の山口知事

    「子育て支援」をいろんなことを考えて思ったこともあるんですけど、妊婦さんの時にどう過ごせるかということが極めて重要で、子育ての第一歩は妊娠中だという意識になりました。

    私も知事になり、いろいろな体験をしていますが、妊婦体験は衝撃でした。温かい言葉、さりげないフォローがいかに女性を勇気づけるかを実感しました。

    宮崎県の河野知事

    子どもを産んで、そして家事をする大変さが実感できましたので、もっともっと優しくしなきゃなと思います。

    山口県の村岡知事

    自分は経験していないからわからなかったですけど、妻がこの体験を何カ月もやったことを考えると、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

    キャンペーン事務局は、知事3人のように妊婦体験をした男性309人にアンケートをした。「妊婦体験後、家事・育児に対する気持ちに変化があったか」と聞いたところ、192人(62%)が「男性も積極的に参加するべき」、107人(35%)が「ある程度は参加するべき」と回答したという。

    さて、効果のほどは・・・。妊婦体験をしても「ある程度は参加するべき」との回答が35%も。ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーンの重要性が高いことが伝わって来る。

    他の動画も作成

    「九州・山口ワーク・ライフ・バランス推進キャンペーン」は、「知事が妊婦に。」以外にも動画を作った。

    仕事で忙しい父親が、妻と娘に感謝の気持ちを込めて、お弁当を作るという内容の「ごめんね弁当」編。出演者の男性は一般のサラリーマンで、家族には内容を伝えずサプライズで弁当を作ったという。

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    「NO残業社長」編では、経営者の社長が定時退社を促す内容。経営者や管理職をターゲットにして作成したという。

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    ワーク・ライフ・バランスが大切!仕事ばっかりしてないで。「家庭と仕事の調和」から生まれる幸せが、そこにありますよ。