「うちにあった30年前の日本酒、飲めますか?」→プロが開栓したらまさかの展開に

    日本酒って、奥深い……👀‼️

    自宅の床下で30年間眠っていたこれ、飲めますか…?

    発端はそんなお客さんの疑問でした。時を重ね、熟成した日本酒が話題です。

    茨城県つくば市の酒蔵、浦里酒造店の公式アカウント(@kiritsukuba1877)が、お客さんがお店に持ってきた古い大吟醸についてTwitterに投稿したところ、9700回以上リツイートされ、2.7万を超える「いいね」が集まりました。

    「飲めるのか…すげぇ…」「発酵の神秘というか、職人の為せる技というか」「これは飲んでみたい!」などの大きな反響が寄せられています。

    話題になった投稿とは?

    お客様が「自宅の床下貯蔵庫から古い大吟醸が出てきたが呑めるのか?」とお持ちになりました。 確認したところ本生の平成元醸造年度 全国新酒鑑評会 金賞酒で、33年ヴィンテージでした。 お客様の同意のもと品質チェックのために開栓したところ、素晴らしい熟成をしていました!! (続く)

    Twitter: @kiritsukuba1877

    「自宅の床下貯蔵庫から古い大吟醸が出てきたが、呑めるのか?」

    始まりは、1人のお客さんが浦里酒造店に持ち込んだ約30年前の「霧筑波」大吟醸でした。

    お店で確認してみたところ、持って来られた日本酒は33年のヴィンテージもの。

    お客さんの同意のもと、品質チェックのために開栓してみると“素晴らしい熟成“をしていた――6代目蔵元でもあり、杜氏(日本酒の醸造工程を行う職人)でもある浦里知可良さんはそう振り返ります。

    酒はメイラード反応による琥珀色を呈しており、カラメル様の素晴らしい熟成香、水よりも滑らかな味わいでした。

    30年越えなのでタンパク質が凝固した黒澱が浮遊していましたが、火落ち(アルコール耐性乳酸菌の繁殖)することなく非常に素晴らしい熟成をしており、「感動」のひと言です。

    (今回話題になった日本酒は)弊社の先先代の杜氏である南部杜氏阿部耕一郎氏入魂の1本。

    30年を経ても全く崩れることなく凛とした佇まいの大吟醸で、この酒の完成度を通して阿部杜氏の酒造りの全てが伝わって来ました。現杜氏として身の引き締まる思いです。

    こんなに古い日本酒でも飲める…どころか時間をかけてしっかり熟成しているんですね!コメント欄でも様々な声が寄せられました。

    「日本酒でも30年熟成とかできるのか…美味そう(*´﹃`*)」

    「33年ものの古酒。 酒造りって、本当にすごい」

    「ロマンが感じられるお話ありがとうございました」

    BuzzFeedは、投稿した6代目蔵元兼杜氏の浦里知可良さんに話を聞きました。

    ――今回話題を集めた大吟醸が“素晴らしい熟成”をしたのは、お酒の作り手である阿部耕一郎氏の影響が大きいのでしょうか?

    杜氏の技術はもちろんのこと、比較的低温で温度が安定していて、かつ遮光された床下という熟成に適した環境で貯蔵されていたことが一番の要因だと思います。

    ――もし、何年も前の日本酒が出てきたら、そのまま飲んでもいいのでしょうか?その時の注意点などあれば、教えてください。

    未開封の場合は、そのまま問題なくお召し上がりいただけます。

    長期熟成酒の場合、タンパク質が凝固してモヤモヤした黒い「オリ」が発生します。タンパク質なので飲用しても問題はありませんが、その「オリ」が入らないようにゆっくりと注いでいただければと存じます。

    また、熟成酒の場合は、お客様の好みの味わいに熟成していない場合もあります。お口に合わなかった場合は料理にお使いいただければ、料理のコクがぐっと増します。

    ――自宅で日本酒の熟成にチャレンジするとしたら、気を付けるべきことやおすすめの場所はありますか?

    ​まず、「火入れ」の日本酒であること。今回話題になった日本酒は「本生」でうまくいきましたが、「火入れ」の方が熟成に向きます。

    そして、新聞紙で包むなどして遮光をすること。加えて、床下や押し入れなど比較的低温で温度が安定した環境だと良い熟成がしやすいです。

    ――投稿に連なった最後のスレッドで、「日本酒にも必ずヴィンテージの価値が認められる時代が来ます」と言及した浦里さん。日本酒の“ヴィンテージの価値”とは、どのようなものだとお考えですか?

    ヴィンテージの価値は、熟成による味わいの変化と特別感にあると思います。

    熟成による味わいは時が磨いた味わいなので、どんなに技術が優れた杜氏でも作り出すことはできません。

    また、今回のお酒は平成元年のお酒で、平成元年生まれの方にはより特別感が感じられるでしょう。そういった時間が生み出す特別感こそが、ヴィンテージの価値だと思います。

    ――ツイートに対する大きな反響を、どのように受け止められていますか?

    大きな反響を集めた要因として、多くの方が抱く「古い日本酒は飲めない」という認識があると思います。

    この投稿を機に、多くの方に日本酒の熟成について知っていただければ幸いです。