校長の差別発言がネットに流出→実はAIによる偽造だった。体育教師の男を逮捕

    米メリーランド州の元高校教師が、音声生成AIで校長先生になりすまし、音声を偽造した罪で逮捕・起訴された。

    米メリーランド州にある高校の元体育教師が、音声生成AIツールを使用し、校長になりすましたとして、逮捕・起訴された。

    同州パイクスビル高校で、体育教師をしていたダゾン・ダリエン(31)被告は今年1月、当時校長だった男性の声を改ざんした罪に問われている。

    地元紙によると、被告は校長の声を生成AIに読み込ませ、黒人生徒に対する差別や反ユダヤ主義に言及した音声をSNSに流出させた。

    発言したのは、男性校長ではないかという疑惑が浮上すると、SNS上では校長への批判コメントが殺到。高校に苦情の電話が多数寄せられた。その影響で、男性は校長の職を一時解任されたという。

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    米メリーランド州パイクスビル高校。同校の生徒がテレビ局の取材に答えている。

    地元テレビによると、被告の勤務態度など、複数の問題をめぐって、被告と校長の間にトラブルがあったとみられている。

    被告は当時、校長から学校の資金を不正に利用していた疑いをかけられており、校内で調査が進められていた。警察は、被告がその報復目的で、今回の事件を起こしたとみている。

    警察は声明を発表。流出した音声が、「本物ではないという決定的な証拠が見つかった」という。

    被告は昨年12月から1月にかけ、学校のネットワークに何度もアクセスし、音声生成AIツールを検索。音声を流出させたSNSのアカウントは、被告のメールアドレスと紐づけられていた。

    警察の発表によれば、被告以外に音声の流出に関与した教員が複数おり、彼らも告発されている。

    被告は4月25日朝、空港で飛行機に乗り込もうとしているところを、警察に逮捕された。逃亡しようとした疑いが持たれている。また拘束時には、拳銃を所持していたという。