過去に自殺を図ろうとした水泳選手、復帰後の米大会で優勝。涙のスピーチが話題

    「失敗してもいい。でも長い人生に負けちゃダメだ」苦悩を経験した水泳部の学生が勝利スピーチで語った内容に、称賛の声が上がっています。

    ※この記事には、自殺に関する内容が含まれます。

    アメリカのルイビル大学・水泳部に所属する学生が、ACC(大西洋沿岸の大学による地区大会)で優勝しました。そのときのスピーチがネット上で話題を呼んでいます。

    学生の名は、アブデルラーマン・エルアラビさん。

    エルアラビさんは、2月16日に行われた男子50ヤード(約45m)自由形で、18.79秒で優勝。ルイビル大学の歴代記録を更新しました。

    しかし、この偉業には「特別な意味」がこめられていました。

    アメリカの競泳情報誌「Swimming World」によれば、過去のACCで、2つの銀メダルと1つの銅メダルを獲得しているエルアラビさん。

    2022年、NCAA(全米大学体育協会)の2週間前に出場を辞退しました。

    原因は、自殺未遂を図り、昏睡状態に陥ったことでした。

    同年5月、エルアラビさんは心境をインスタグラムにつづっています。

    「生きることに希望が持てなくなりました。同居していた仲間に、愛している、これから永遠の眠りにつくと、メッセージを送りました」

    「最後に覚えているのは、彼らが救急車を呼んで、私の状態を説明する姿でした」

    「2日後、私は昏睡状態から目覚めました。病院で人工呼吸器を口にくわえた状態でした。コーチや医師からは、意識不明になる直前、自ら電話をかけたのを感謝されました」

    エルアラビさんは、悩んでいる人に向けてメッセージを発信します。

    「自分はひとりぼっちだとか、誰からも愛されていないとか思わないでほしい。私もそう思っていましたが、間違っていました。だからこの話を発信します」

    水泳を辞めたいとも考えていたエルアラビさんは、逆境からはいあがり、地区大会優勝・記録更新を果たしました。

    試合後、エルアラビさんは勝利を噛み締め、力強く語りました。

    「ここに立っていることが信じられません」

    「ダメになってもいい。失敗してもいい。競争に負けてもいい。ただ長い人生にだけは負けちゃダメだ」

    「昨年、私は戦いに負けました。この勝利は、戦いに負けた去年の私にささげるもの」

    「チームメイトや家族、私のそばでサポートしてくれるすべての人に言いたい。本当にごめんなさい」と、自殺未遂を図ったことに対し、謝罪の思いを口にします。

    リポーターが「謝らないで」と声をかけると、会場からは応援の声が聞こえます。感極まったエルアラビさんの目からは、涙が…。

    動画は40万回以上再生され、コメント欄には「彼は勇敢」「生きていてくれてありがとう」「これこそ真のロールモデル。大丈夫じゃなくてもいいって大事」など、称賛のコメントが寄せられています。


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