気をつけて。「フランスが週末に仕事のメールを禁止した」ってニュースはウソ

    ちょっとした騒ぎに

    自由、平等、博愛。個人主義の国、フランス。

    「上司から緊急のメールが来たけど、夜の7時2分だし、無視してワインを飲みながら社会主義の話でもしようか」というイメージがフランスにはある。 確かに、勤務時間後の業務メールの返信を禁ずる法案が通過していたとしても、不思議ではない。

    少なくとも、幾つかの海外のメディアは、そう考えたようだ。こんなニュースを報じた。

    日本でもハフィントンポストや……

    Spotlight……

    しかし……真実は「ノン!」。新しい法案など、一つも通過していない。さらに言えば、報道のきっかけとなった法案には、Eメールについての言及すらない(原文にはDes messageries électroniques 電子的なメッセージ一般をさす言葉が入っている)。

    この出来事の発端は、現在フランスの国民議会と上院で審議にかけられている労働法25条が誤解されたことにある。25条は「従業員が連絡を絶つ権利」については言及しているが、Eメール禁止には触れていない。

    「【職業の男女均等や職場生活の質に関する年次交渉】従業員が連絡を絶つ権利や企業によるデジタルツールの使用方法の管理は、休憩時間や休暇、そして個人や家族の生活の尊重を保証することが目的だ。

    協約がない場合、雇用主が規則を定義し、従業員に適用する。50人以上の企業では、規則は労使協議会の助言に従って作成される。労使協議会がない場合は、デジタルツールの使用方法についてのトレーニングや認知のための活動を実施する」

    この法案が通過すれば、雇用主や従業員は、勤務時間外にデジタルコミュニケーションを制限する方法を交渉し、決めなければならない。

    労使協議会が存在しない小規模な企業では、上司が規則を定義する。中規模以上の企業では定義するための規則を作成する。企業規模によって対応には差が出るだろう。

    実は、英語メディアがこの話題について騒いだのは初めてではない。2014年にはガーディアンの記事がフランスの新しい労働協約を誤って伝えた影響で、多くの間違った見出しや記事が生まれた

    UPDATE

    原文のニュアンスについて、一部注釈を加えました。

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