カナダ最大の民放ネットワークCTVのニュース番組で司会を務めていたジャーナリストが突然、解雇され、波紋が広がっている。
解雇されたリサ・ラフラム氏は、CTVの親会社ベルメディアに30年以上勤務していたベテランジャーナリストだ。
地元メディアの報道によると、ベルメディアの副社長らが出席した会議で、同氏の白髪に対する不適切な発言があったとされる。
報道を受け、年齢による偏見や差別(エイジズム)に反対する声が、SNSを中心に上がっている。
ラフラム氏は8月15日、自身のツイッターに動画を投稿。会社から解雇を通告されたことを明らかにした。
「ビジネス上の判断を理由に、長きにわたり務めた番組司会者の契約終了を言い渡されました」
「突然のことで、大変ショックを受けており、悲しんでいます」と心情を語った。
「日々の生活に影響を与えるようなニュースを、視聴者の皆さんにお届けする時間が、58歳の私にはたくさん残されている…そう思っていました」
動画内でラフラム氏は、番組を去るのは「自身の意図ではない」と示した。
ラフラム氏が投稿した動画は30日現在、400万回以上再生されている。
カナダの大手紙グローブ・アンド・メールの報道によると、ベルメディアのマイケル・メリング副社長は会議中、「リサ(・ラフラム氏)を白髪にさせることを許可したのは誰だ」といった内容の発言をしたとされる。
ベルメディアは声明を発表し、ラフラム氏の年齢・性別・髪色は、「同氏の解雇とは無関係」だと強調した。
そんな中、SNSを中心にラフラム氏を支持する声が集まっている。エイジズムに声を上げる企業もいる。
ファストフードチェーン「ウェンディーズ・カナダ」は、赤髪のマスコットが白髪になった画像を投稿。
ラフラム氏の名前をハッシュタグで入れ、「どんな髪色でも関係なく、スターはスターだ」とコメントしている。
ツイートは約1万リツイートされ、賛同の声が集まっている。
また、パーソナルケアブランド「ダヴ・カナダ」は、「美しく歳を重ねる女性をサポートする」キャンペーンを実施。
アカウントのプロフィール写真を白髪の自撮り写真にするよう、ユーザーに呼びかけた。
ダヴ・カナダは、すべての女性が働きやすい職場を推進する団体に、10万カナダドル(約1000万円)を寄付すると表明した。
同社が発信する「歳を重ねることは美しい」「白髪は美しい」といったメッセージに、称賛のコメントが寄せられている。