英IKEAが3月、ホームレス問題に取り組む慈善団体Shelterと協力し、英国内のホームレス問題や深刻化する住宅難に光を当てるキャンペーンを行った。
今回のキャンペーン「Real Life Roomsets(リアル・ライフ・ルームセット)」は、さまざまな事情で住む家がない家族に焦点が当てられている。
彼らが政府から提供された実際の仮住まいを、ショールームで再現。イギリスで最もホームレス率の高い4つの都市にあるIKEA店舗で展示された。
ロンドンのハマースミス店で展示されたショールームは、3児の母であるサムさんが実際に住む仮住まいだ。
サムさんはパートナーと別れた後、ホームレスとなった。3人の子どもたちを友人に預け、自身は7週間ほど車上生活をしたという。
その後、政府が用意した仮住まいに単身で移ったが、部屋にはカビが生えており、大麻の匂いが充満していた。サムさんは、仮住まい先で2度の暴行被害を受けたそうだ。
IKEAの調査によると、イギリスでは208人に1人、ロンドン市内では58人に1人がホームレスだという。また、「この1年間で家賃を払うために食事を抜いたことがある」と答えた成人は、17%にのぼる。
政府から提供される仮住まいは通常、ホステルやホテルの一室、窮屈なアパートなどで長期的な滞在は想定されていない。
しかし多くの家族が数年間、そんな環境下での生活を余儀なくされている。