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がん患者になっても「性欲はある」。語られなかった問題に光を当てた動画が話題に

「GIRLvsCANCER」は、がんと向き合う女性を支援する非営利団体だ。社会で語られることのない、がん患者の性生活に光を当て、話題を呼んでいる。

イギリスを拠点に活動している非営利団体「GIRLvsCANCER」は、がん患者の女性が直面するさまざまな問題を、社会に発信している。

同団体は、がんと向き合う女性が集うコミュニティだ。患者のための相談窓口のほか、切除手術を受けた女性用のランジェリーや水着の製造、募金活動などを行なう。

広告代理店「バートル・ボーグル・ヘガーティ」との共同キャンペーンで「女性がん患者の性生活」に焦点を当て、話題を呼んだ。 

Get F*CKED」と名付けられた同キャンペーン。「CANCER WON’T BE THE LAST THINGS THAT F*CKS ME(私が最後にヤラれるのは『がん』ではない)」というメッセージとともに、3人の女性のリアルな体験談が紹介されている。

同団体はがん治療による長期的な副作用として「性欲と自尊心の低下」を挙げており、社会で語られることのない、がん患者の性生活というテーマに触れた。

「がん患者としてではなく、本来の自分らしさを取り戻すために」、女性たちがあらゆるスティグマに声を上げる。

キャンペーンは、「MIND(こころ)」「BODY(からだ)」「SOUL(魂)」と題された3本の短編動画で構成されている。

がんとの闘い、そして自身のセクシュアリティの再発見について、3人の女性たちが体験を振り返る。

MIND」に出演した女性は、がんを通して再認識した自分の身体、そして自分自身についてを、マスターベーションを暗示する口調で語った。

「自分のおっぱいに裏切られた。当時は失恋したばかりで、やっと立ち直ったと思っていたのに。やっと自分に自信が持てたのに。そんな時、しこりを感じたの」

「今度は私のからだが壊れた。気づいたらメスが私の胸を切り裂いていた。でもそれだけではなかった、治療は続いた」

「恋愛も簡単ではなかった。でも、自分と繋がる方法を見つけたの。胸はそろっていないかもしれないけど、私は前と同じ人間」

「私はヒーローでも、戦士でもない。私は私、自分を愛する準備ができている。私の傷や火傷もぜんぶ、ありのままの自分を」

そう話す女性の息遣いは荒くなる。そして、最後は満足した表情をカメラに見せる。

GIRLvsCANCERの設立者、ローレン・マホーンさんもがんサバイバーだ。

2016年、ローレンさんが31歳のとき、ステージ3の乳がんだと診断された。右胸にできた2.8cmのしこりのせいで「人生が大きく変わった」と話す。

当時、がん患者同士で悩みを分かち合いたいという思いから、コミュニティを探すも、同年代で似た境遇にいる人は見つからなかったという。その経験から、女性がん患者のためのコミュニティを立ち上げようと決心した。

がんと診断された当時の心境を、ローレンさんは「2016年8月31日、私の人生は変わった」「おっぱいのない女性になってしまった」と振り返っている

GIRLvsCANCERのSNSには、同じ境遇にいる女性たちからさまざまな声が寄せられている。

💬「14歳から、がん治療による傷跡を背負ってきました。大人になっても、ずっとあるこの手術痕。45歳で再びがんを発症し、片方の胸を失いました。しかし、私の性生活は今が最高です。2回目のがんが『自分を愛する方法』を教えてくれたから」

💬「49歳、2児の母親です。6年前にがんと診断され、治療が終わってから8カ月後に、最高の男性と出会いました。当時は自分の体に自信が持てませんでした。あれから5年、その男性と2カ月前に結婚しました。とても幸せです」