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「多様性を完全に排除…」小学校教師、児童にディズニー映画を見せて問題に。理由は「同性愛者のキャラが登場しているから」

フロリダ州の小学校教師が、同性愛者のキャラクターが登場するディズニー映画を児童にみせたとして、学校などから調査を受けていることがわかった。

米フロリダ州の小学校教師が、同性愛者のキャラクターが登場するディズニー映画『ストレンジ・ワールド』を5年生の児童に見せたとして、学校などから調査を受けていることがわかった。

フロリダ州は2022年、教室で性的指向と性自認に触れることを禁止する州法を施行。当初は幼稚園から小学3年生までを対象としていたが、今年4月に高校生にまで年齢を引き上げた。

自身も同性愛者であることを公言しているカリーヌ・ジャンピエール大統領報道官は州法ができた当時、「恥ずべき州法が施行された」と同法律を強く非難している。

CNNの取材に対し、教師のジェナ・バービーさんは「小学5年生もこの州法の対象だったことを知らなかった。こんなにも大ごとになるなんて…」と訴えている。

映画『ストレンジ・ワールド』は、家族の絆を描いた作品。バービーさんは事前にPG指定(保護者の判断が必要な内容)の映画を流すことを保護者に伝えており、書類に署名をもらっていたと話す。

しかし、苦情を寄せた保護者によると、映画の作品名までは明記されていなかったという。また、この保護者はフロリダ州教育委員会の委員を務めており、委員会の会議で「宗教、性的指向や性自認などの信念を子どもに押し付けるのは、教師の仕事ではない」とバービーさんを批判している。

後日、学校側は「同性愛を描いた作品ではなかったが、登場する男性キャラクターが、他の男性に好意を寄せる描写があった。今後、この映画は流さない」と保護者に説明した。

バービーさんは、いまも学校で教師として子どもたちに教えているが、調査の結果によっては、停職や教員免許剥奪になる可能性がある。米CNNの取材で、バービーさんはこう反論した。

「この映画の要点は、地球。映画で発信しているメッセージ『どうやって地球を守っていくか』が、生態系や環境の授業内容に関連していたので、同映画をみることにしたんです」

「児童たちは、なぜこの映画をみたことが、ここまで大きな問題になっているのか疑問に思っているようです。私も子どもたちも、(同性愛者のキャラクターが出てることを)気に留めていなかったので」

「調査を受けてからは、子どもたちから『あの映画の何が悪いの?何がダメなの?』と質問されます。私には答えられないので、『保護者に聞いて』としか言えないんです」

「子どもたちに、あの映画(同性愛者のキャラクター)は、教師をクビにするほどダメなものだったという解釈を与えかねません」

「教育委員会は、学校から多様性を完全に排除しようとしている。個性や多様性をはぎ取り、1つの考え方に当てはめようとしているのです。教育のすべてを台無しにしています。それこそが、苦情を寄せた保護者の訴える『押し付け』ではないのでしょうか」

サムネイル:Getty Images