ビューティケアブランド「Dove(ダヴ)」のグローバルキャンペーンが、話題を呼んでいる。
キャンペーンは、動画配信アプリTikTokで物議を呼んだ加工フィルターに対し、疑問を投げかけた内容になっている。
ダヴは3月上旬、新キャンペーン「#turnyourback(背を向けよう)」を発表した。
キャンペーンを通して、TikTokで批判を集めた加工フィルター「ボールド・グラマー」が、非現実的な美の基準を若者に押し付けていると警告。
インフルエンサーたちもキャンペーンに参加し、自身のTikTokで「ボールド・グラマーフィルターに反対」という立場を表明した。
すっぴんの動画と共にフィルターが及ぼす悪影響について発信し、「フィルターを使うのはやめよう」と呼びかけている。
ボールド・グラマーを使用すると、毛穴のない肌、ふっくらした唇、完璧に整えられた眉毛、細い鼻と頬、輪郭を際立たせ、すっぴんでもメイクを施したような顔になる。
さらにこのフィルター、顔に張り付いたように加工映像がぶれないのだ。これまでのフィルターは、顔を触ったり激しく動かしたりすると加工が外れることもあった。
このように、一見フィルターとは気づかない「自然さ」が人気を集め、ボールド・グラマーを使用した動画は、TikTokに2300万本以上投稿された。
しかし、一部のインフルエンサーたちからは「現実離れした、有害な美の基準を増進させている」と、同フィルターを疑問視する声が、以前から上がっていた。
ユーザーの@shoelover99さんは、加工前と加工後の姿を投稿し、同フィルターが若い女性の美意識を歪める可能性を示唆した。
「このような加工フィルターは、身体醜形障害を引き起こしたり、自己肯定感に悪影響を与えたりすると思う」
「『美しいと思われるには、このような見た目になる必要がある』という考えを、若い女の子たちに植えつけてしまう。それは間違っている。このフィルターを使った私は、私ではない」
彼女は「ありのままの自分でも美しい」と訴えた。
「そのままのあなたで充分。フィルターで加工した後の顔じゃなくてもいい。すでにあなたは美しいんだから」
別のユーザー@joannajkennyさんも「このフィルターは使わないで」と警鐘を鳴らす。
「現実の私はこんな見た目ではない。長い時間をかけて、美しくあるべき義務なんてないと学んだ。フィルターで加工された肌は、本物じゃない」
ダヴの調査によると、「13歳になるまでに加工フィルターを使ったことがある」「ソーシャルメディアに自撮りを投稿する前に、どこかしら加工する」という女子が大半を占めるという。
ダヴは10年以上にわたり、2000万人以上の子どもたちに自己肯定感を高める教育プログラムを提供してきた。
グローバルのみならず日本でも、自己肯定感を高めるための「ダヴ セルフエスティーム」活動を行っている。
2017年からは、すべての広告で画像加工をしないと宣言。2018年10月からは、自社の広告やパッケージに「ダブは写真加工をしていません」というマークを記載し、消費者だけでなくブランドに対しても情報の透明性を高めるよう求めてきた。