「業界には変化が必要」英ヴォーグ、最新号の点字版を発表。初の試みにネットでは称賛の声

    英国版ヴォーグのエドワード・エニンフル編集長が、インスタグラムを更新。目の不自由な読者のために、5月号の点字版を制作したことを発表した。

    英国版ヴォーグのエドワード・エニンフル編集長が5月12日、インスタグラムを更新。目の不自由な読者のために、5月号の点字版を制作したことを発表した。

    点字版の雑誌は、英ヴォーグの歴史上、初めての試みだという。

    4月25日に発売された英ヴォーグ5月号では、さまざまな分野で活躍する、障がいを持つ19人に焦点が当てられている。

    表紙は、多発性硬化症を公表した俳優セルマ・ブレアなどが飾った。

    エニンフル編集長は、インスタグラムで「業界には変化が必要だ」とつづった。

    「私たちチームは5月号の制作過程を通して、私たちのいる業界には、目にみえる長期的な変化が必要だと強く実感しました」

    「ヴォーグ/ファッション業界/出版業界には、まだまだ取り組むべき課題がたくさんありますが、この度、点字版の雑誌を制作できたことをうれしく思います」

    エニンフル編集長は2016年、ファッション業界の多様化に貢献したとして、大英帝国勲章(OBE)を受賞した。編集長自身も、視覚と聴覚に障がいがあることを発表している。

    ガーディアン紙のインタビューで、「障がいは、『私らしさ』のひとつ。ポジティブに受け入れてきたものだ」と語った。

    しかし多くの人が、公の場で障がいを持っていることを明かせない現状について語った。

    「私は視力が非常に弱く、聴力も一般の半分以下。今は補聴器をつけています。本を読むことが難しいときもあるし、取材を受けるときは聞き取りやすい話し方をしてもらう必要があります」

    「外見だけでは分かりにくい障がいを持つ人の中には、『人生の妨げになるかもしれない』と、あえて障がいのことを隠す人がたくさんいるんです」

    点字版雑誌の発表に、ネットでは「ヴォーグがさまざまな人を包括し、5月号を点字に翻訳する費用を負担してくれているのはすばらしいことだ」といった声が寄せられている。

    希望する読者は、無料で音声ファイルや点字ファイルを受け取ることができる。点字版の雑誌本体を希望する場合は、メールでの応募が必要になる。

    サムネイル:Getty Images