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自販機横のボックスに捨てられていた「異物の正体」

ペットボトルの水平リサイクル(ボトル to ボトル)を意外なものが阻んでいました。

突然ですがクイズです。

自動販売機の横にたたずむこの箱、なんだかわかりますか?

「ゴミ箱でしょ?」て、思うじゃないですか。正しくは回収ボックスです。

自動販売機で購入された飲料の空き容器を回収し、リサイクルを目的として設置されています。

リサイクル工場で知った事実

埼玉にある再資源化工場「リサイクル・プラザJB」を見学する機会がありました。

ここでは東京都、埼玉県、千葉県のサントリー自動販売機事業会社24拠点が回収した缶・ビン・ペットボトルをリサイクルしています。

回収された空き容器は機械と人の手によって選別され、圧縮・加工などの工程を経ます。その後、再利用可能な姿に生まれ変わり出荷されます。

ここからはペットボトルにフォーカスします。

PETボトルリサイクル推進協議会の発表によると、2019年度の日本のペットボトル回収率は93.0%。リサイクル率は85.8%。世界的に見ると非常に高い水準です。

サントリーでは、使用済みペットボトルを回収・再生し、新たなボトルを生み出すリサイクルシステム「ボトル to ボトル」を推進。
2030年までに国内で使用する全ペットボトルを「サステナブルボトル」に切り替え、新たな化石由来原料の使用ゼロを目指しています。


このようにリサイクルに向けた動きが加速する一方で、事業会社だけでは解決できない問題が浮き彫りになっています。

回収ボックスに捨てられた異物

こちらは回収ボックスに捨てられていた異物の一部です。

煙草の吸殻や、液体が入ったままのペットボトル。

手前にはスプレー缶。真ん中にみえるのはなんとインスリン注射針です。

ほかにもプラスチック容器やコンビニ弁当の空き箱、プラカップ、調理器具、電池や電球……。

業界団体の調査によると、回収ボックスの中身の約3割(※)が清涼飲料容器以外の異物だったそうです。(※2018年12月東京都内にて調査)

こういった心無い行動が、リサイクルに大きな影響を及ぼしています。

たとえペットボトルだとしても

異物そのものは可燃系のものであれば焼却。プラスチック系のものはサーマルリサイクルなどに回されます。
(サーマルリサイクルとは、廃棄物を焼却した際に生じる熱を回収・利用すること)


盲点だったのは飲み残しペットボトルです

飲み残しがあるペットボトルは中身の液体を確認できない上に、品質上のリスクがあります。

このような容器は、別のプラスチック素材として生まれ変わったり、サーマルリサイクルに回されます。

つまり、ペットボトルとしての資源循環から外れ、いずれ石油や化石燃料を使用して処理されるのです。

ぜったいに捨ててはいけないもの

コロナ禍を境に増えた異物があります。使用済みマスクです。

マスクが入っていると容器回収者に感染するリスクが生じます。

また、その後再処理を行うリサイクル企業でも感染リスクが発生し、再資源化の効率が低減します。

リサイクルを含めた環境問題の取り組みは、事業会社の努力だけでは成立しない。私たち消費者の正しい理解と行動が不可欠です。

では具体的にできることは何か。サントリーが呼びかけているのは以下の6点です。

1.ペットボトルのキャップを外す
(キャップが付いていると収集車で潰れず運べる量が減る)
2.ペットボトルのラベルをはがす
3.軽く水洗いする
4.ボトルをつぶす
5.回収ボックスにカン・びん・ペットボトル以外入れない
6.飲み残しをしない


真新しいことは何ひとつありません。

新しくないからこそつい忘れてしまいそう。

そんなときは工場で見た異物を思い出してペットボトルを捨てよう。

そう強く思いました。