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    自作の「ジェネリック本搾り」をキリン担当者に飲ませた話

    本当に叱られるかと思いました。

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    本搾りという果汁とお酒のみで作られた缶チューハイがあります。

    原材料が果汁とお酒のみと聞くと「そんなに少ない材料でも作れるの?」「誰でも作れるんじゃ」と思ったに違いありません。

    僕は思いました。そしてたぶん作れる。はず。

    というわけで、本搾りグレープフルーツを再現してみます。

    材料はシンプル

    ウォッカ、100%グレープフルーツジュース、炭酸。 近所のスーパーや、酒類の取り扱いに厚みがあるコンビニなどでも手に入ります。

    次にそれぞれの割合です。本搾りグレープフルーツの内容量は350ml、アルコール度数6%、果汁28%なので計算上は以下になるはず。

    果汁の量
    内容量350mlに対しグレープフルーツ果汁28%
    350 × 0.28 = 98ml

    ウォッカの量
    6%の缶チューハイ350mlに含まれるアルコール40度数のウォッカの場合
    350 × 0.06 ÷ 0.4 = 52.5ml

    炭酸水の量
    350ml - 果汁98ml - ウォッカ52.5ml = 199.5ml

    ※熱膨張は考えません

    えいやっと混ぜる

    そんなわけで完成した自作本搾り。飲んでみるとほどよく苦味があり、アルコール感も本家そっくりで美味しい。

    酔っていたら気づかないレベルです。

    トロピカーナの色味が、本搾りで使用している果汁に近い色味なのか、見た目もそっくりです。

    もはやジェネリック。本家を脅かす発見をしてしまったかもしれません。

    これはまた作ろう!











    という雑談をキリン関係者としたところ、本搾りブランド担当者が興味を示していると連絡が。

    しかもどういうわけか"ジェネリック本搾り"を披露することなってしまいました。

    正気でしょうか。

    キリン本社にお邪魔します

    指定された日にキリン本社に行ってみると、ブランド担当の小野寺さんが笑顔で迎えてくれました。内心どう思っているかは謎です。

    担当者の目の前で類似品を作る。写真じゃ伝わりませんが、心は震えています。

    ウォッカとジュース、計量器等々は持参しました。さすがにキリン社内でウィルキンソンは出せなかった。

    (本カクテルをつくる行為について神田税務署 酒類指導官に問い合わせたところ、飲む直前に調合すれば酒税法上問題ないとのこと)

    本家の実飲

    まずはじっくり観察する小野寺さん。

    香りを比較して、テイスティング。

    「ふんふん。あ、でも、良くわかります」

    ――………どうでしょうか?

    アルコール度数と果汁のバランスがとれていてすごく美味しいです。華やかな優しい香りが印象的ですね。

    リアル本搾りとの違いは、まずは香りでしょうか。手作り本搾りは甘い香りが主体になっていますよね。

    リアル本搾りには苦味も酸味も入っていて、もっと厳しさがあるんです。

    ――厳しさとは

    本搾りグレープフルーツって香りも味も苦いし、酸っぱいし、ちょっと塩っぽい感じがします。複雑で複層的な味わいが特徴なんです。

    ――言われてみると僕のは苦味が物足りない。

    華やかでジューシーな味わいが美味しいですよ。

    ――居酒屋のようにグレープフルーツを搾れば近づきそうです?

    一種類のグレープフルーツだけでは実現するのは難しいと思います。

    本搾りグレープフルーツって複雑な味わいを作るために、世界中のグレープフルーツを組み合わせているんです。

    ――何種類ブレンドしているんですか?

    そこは企業秘密なのですが、約30種類のグレープフルーツから選んでいます。

    皮を感じるような香りとか、飲んだときに喉がきゅっとしまるような感じも計算しているんです。

    せっかくなので本搾りの生い立ちを聞く

    本搾りがメルシャンから登場したのは2003年。当時、缶チューハイ市場を席巻していたのはキリン氷結でした。

    メルシャンの初代開発担当者は、ビールメーカーが作るチューハイとは違うものを探りました。そこで着目したのが居酒屋の生搾りチューハイ。

    「単にジュースを入れただけでなく、果実を搾ったときに手についた皮の香りも含めたような、ナチュラルな味わいを目指したんです」

    当時の開発者は居酒屋を何十件も巡り、生搾りチューハイをこっそり分析し、やっと製品化にこぎつけたといいます。

    発売後、電子掲示板 2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)で本搾りのスレッドが盛り上がっているのを発見し、開発者たちは励まされていたそうです。

    紆余曲折あった本搾り

    本搾りは"お客様のおかげで成長してきたブランド"だと語ります。

    東日本大震災の直後、商品を工場から出荷ができなくなり、市場から消えかけたことがありました。するとお客様相談室に「本搾りを復活させほしい」と、たくさんの声が届いたそうです。


    「あらためて根強いファンがいらっしゃるんだと気づきました」

    「味わいをリニューアルするとお客様から『味を変えないで』などのご意見をいただくこともあります。しっかりと見てくださってくださるファンが多く、励みになります」


    熱いファンたちに支えられてか、キリンの中では大々的なCMを打たないブランドなのにもかかわらず、2012年から9年連続で最高売上を更新しています。

    ファンがつく理由は?

    ただの缶チューハイになぜ熱狂的なファンがつき、支持さるのか。


    小野寺さんは「何も足さない果実そのままのおいしさがあるから」だと話します。

    「本搾りレモンなんかは初めて飲んだとき、かなり酸っぱいと感じるはずです」

    「でも、本搾りだからこそ引き出せる"レモンらしい酸っぱさ"や主張がありながら、お酒として楽しめるおいしさを実現している。そんな、おいしさに妥協しない姿勢が支持されているのかもしれません」


    シンプルな料理ほど料理人の実力が試されるように、シンプルなお酒づくりも技術者の腕が試されます。


    「そういうところまで感じ取ってくださったらもちろん嬉しいですけど、単純に美味しいって思ってくださるだけで嬉しいです」

    何はともあれ、叱られなくてよかった。キリン本搾りはAmazonでも購入できます。

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    ※未成年者の飲酒は法律で禁じられています。お酒は二十歳になってから