3月1日、来年春の採用に向けた会社説明会が解禁された。
面接の開始時期が前倒しされ、“短期決戦”と謳われる今年の就職活動。学生たちは開始早々多くの説明会に足を運び、6月の面接解禁に向けた準備を進める。
就活生はここで、一つの選択を迫られている。履歴書は手書きで書くべきなのだろうか。
ANAに聞いてみた。

「2016年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング」の文系部門では第3位、毎年のように上位を占めるランキング常連のANAに聞いた。
ーー手書き文字とデジタル文字、どちらを推奨していますか?
「現在、書面でエントリーシートを送ってもらっていますが、正直、どちらでも良いです」
ーー両者で印象は変わるのでしょうか?
「全く差異はないです。学生さんのやりやすい方で結構です」
ーーデジタル文字だと気持ちがこもっていないように感じるなんてことは?
「特にないです」(断言)
ーー履歴書ではどんな部分を見ていますか?
「中身を見ています。送っていただいたものは全て目を通しております。」
予想を反するクールなご回答に、拍子抜け。忙しい就活生にとっては大変ありがたい話だが…。
“手書き”派の企業にも、話を聞いてみた。

書く方の手間となるだけでなく、読む方の負担にもなり得る手書き文字。それが今もなお支持されるのはなぜなのか。
「2016年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング」の文系部門、第2位に選ばれたエイチ・アイ・エスでは、手書き文字を指定している。
その理由を聞いてみた。
「面倒くさい分、やる気が計れるんです」
“コピペ”の機能を使えば、一瞬で文章を書き込めるこの時代。もしかしたら他の企業にも同じことを書いているかもしれない。
どのくらい時間をかけたのか、きちんと書いているのか。やる気を持って志望している人を見分けるために、手書きを指定しているという。
「デジタル文字では、人となりが見えづらいのです」
提出書類の中に“好きなように表現する欄”を設けることもあり、そこには絵や図を描いても構わない。手書きでないと伝わらない個性や人柄があるという。
「そこを見るのは、サービス業だからこそです」
デジタル文字を否定しているわけではなく、サービス業という職業を意識し、細やかな点に注目しているのだ。
手間は掛かるが、そこには尊重すべき価値があるという。
結論:就活生はどうすればいいのか

就活をサポートする専門家はどう考えるのか。「キャリタス就活」などの就職情報サービスを提供する株式会社ディスコに聞いた。
「一般的に、手書きの方が印象は良いですね」
手書き文字だからといって優先されることはないが、印象は変わる。同じ内容なら、丁寧な手書きの方が印象は良いという。
もう一つ大きな理由は、「履歴書は選考過程で何度も使うから」だという。
出して終わりではなく、履歴書やエントリーシートは、最終面接まで面接官の手元に置かれる。良い手書きの履歴書は、繰り返し印象付けられるため、そこに違いが生まれるのだ。
「新卒では特にこの傾向が強まります」
中途採用とは違い、実績がないので、“やる気”や“ポテンシャル”など、抽象的なものを見ることになる。その結果、細部を注視することに。
企業によってもちろん考え方は違うが、今もなお手書き文字の支持は厚いようだ。