ジャズ期待の新星はまさかの17歳、インスタグラマー。斬新すぎる考えに大人がハッとする…
新人にして、異例のチャート1位。すごい17歳がいるのです
MAPPYと呼ばれるインスタグラマーを知っていますか。

本名を甲田まひるという彼女は、インスタで多くのフォロワーを持つ17歳。ファッションアイコンとして注目されており、モデルなどとして活躍中です。
海外メディアにも取り上げられるほど、そのファッションセンスは評価されています。
さらに5月からはジャズピアニストとしての活動もスタート。
ドラムとベースを率いるピアノトリオとしてメジャーデビューを果たしました。発表したアルバムは“ジャズのメッカ”と呼ばれる「ディスクユニオン JazzTokyo」で異例のウィークリーチャート1位を獲得、iTunesのアルバムチャートでもジャズ部門で2位を獲得しています。
インスタグラマーから、どうして突如ジャズピアニストに…? MAPPYに話を聞きました。
“17歳のインスタグラマー兼ジャズピアニスト”という、なんとも不思議な肩書き。
ーーMAPPY世代で、ジャズは身近なものですか?
周りのみんなはまったく聴いてないですね。“おじさんの聴く音楽”ってイメージがあると思います。
私は小学校の時にハマってからずっと大好きなんですが、仕組みを知らないとやっぱり聴き方がわからないと思うし、同世代にとってはちょっと難しいのかもしれないです。

ーーどうしてジャズをはじめようと思ったんですか?
ピアノ自体は5歳からクラシックピアノを習ってました。ある日、先生がクラシックの曲をジャズにアレンジしてくれて、それを好きになったことがきっかけです。
ファッションの仕事をする前から、ずっとジャズピアニストになるのが夢でした。
若い子たちが今っぽい“踊れる”音楽が好きなのはすごくわかるけど、同世代の子にもぜひジャズを聴いてほしいですね。今回のアルバムでは、ジャケットデザインなど、音楽以外の部分にもすごくこだわりました。
ジャケットはまさかの“インスタ”で依頼。

(↑こちらがジャケット)
ーージャケットの意図はなんですか?
いわゆるジャズ!って見た目のジャケットにしたくなかったのと、飾ってかっこいいものにしたかったので、こういったデザインにしました。
ヒップホップのアルバムジャケットはイラストがかっこいいものが多いから、最初はヒップホップやのグラフィックが書けるアーティストをインスタで探したんです。
ファッションも音楽もジャンルで分ける意識がないので、ジャンルを気にせずに探しました。
決めかねていたところで、日頃から私の似顔絵を描いてくれる画家さんの作品を見て、この路線でいきたいと思いました。
19歳の美大生なんですけど、インスタから連絡してみたらオッケーしてくれたんです。
ーー自分で連絡とってしまうなんてすごいです。
SNSで見つけて依頼することは最近よくありますよね。急にお願いしたのでびっくりさせてしまったかもしれませんが…。
ーーインスタグラムはいつから?
小6からです。小さい頃から服が大好きで、インスタにアップするようになりました。
幼稚園の頃からダメと言われてもヒールで公園を走り回ったりするほど見た目重視な子でしたね。
ーー小学生なのに、どうやってファッションを知っていったの?
昔、『オシャレ魔女 ラブandベリー』ってあったじゃないですか。あれにハマってました。テーマごとにアイテムが分かれてて、それを組み合わせるのが楽しくて、コーデを組む勉強を自然としていたのだと思います。
(『オシャレ魔女 ラブandベリー』はゲームセンターやショッピングモールなどに設置されていた女の子向けのカードゲーム方式のアーケードゲーム)
昔からみんなと同じファッションが嫌で、好きな服を着ればいいと思っていました。
今もみんなが同じものを着始めると、それには魅力を感じなくなってしまいます。また別のものを探したり、工夫するようにしてる。
自分でなんでも決めちゃう17歳って、すごすぎる…。
ーーその歳で自分の好きなことを突き通すって、なかなかできないことですよ。
たしかに、学校は「みんな同じにしないといけないのかな?」って思わせるような環境な気がします。
最近SNSでありがちな「友だちが投稿したから自分も投稿しよう」「みんなここで写真撮ってるから自分も撮ろう」っていう雰囲気もつまらないですよね。
人と同じがいいとは思わないなぁ。

ーーどうしたらそんなに自信が持てるんですか?
うーん、自信はぜんぜんないですね。
ピアノに関しては、本当まだまだだなって思います。
特にピアノトリオで自分がリーダーの時は、リードしていかなくてはいけない立場なのでいつもめちゃめちゃ緊張します。
ーー意外です。
たくさんピアノの練習をすればするだけ自信がつくと思うじゃないですか、それはそうなんですけど、必ずしも自信が持てるわけじゃない。いっぱい練習してても自信がないときは本当にないんですよね。残念ながら。
もともと緊張しやすいので、ライブ前はいつも大騒ぎしてますよ。本番まで一時間切ると、何回もトイレに行ったりしてます。
レコーディング前の一ヶ月はその状態がずっと続くような気分で、何食べてもお腹痛い…って感じでした。
もはや、私の中で“自信つけなくていい説”が浮上してます。
ーー“自信つけなくていい説”…?
自信があるからやってるというよりは、やりたいからやっているってことに気づきました(笑)
挑戦することを楽しいと思っていけば、そういう時ってだいたい大丈夫な気がするので、「自信がない」とか言ってないで、「ワァ〜ってやっちゃいましょう!」って思ってます。
自信があるからやってるというよりは、やりたいからやる!って感じ。
やりたいことをやって、受け入れてもらえなかったら… 怖くない?
ーー我が道を行くMAPPY、素敵です。「絶対売れてやる!」みたいな気持ちはまったくないんですか?
売れるための音楽を意識して作る気はないです。たしかに売れたいけど、自分がいいと思う作品でみんなに評価されたら一番幸せですよね。
ただ、“売れる”ってことは結局“みんなが聞いてくれる”ってことだと思うので、もし自分以外に別の意見の人がたくさんいるんだったら、そっちに一度耳を傾けるのも大切だと思います。
自分の考えって驚くほど変わったりするので、いろんなものを取り入れたいです。
普段からジャンルに囚われずたくさんの音楽を聴くようにしてます。ジャズにこだわらず、かっこいい音楽を作りたい。

ーーびっくりするほど柔軟です。
「やりたいことをやる」ってやっぱりすごく難しいことだとは思いますけどね。
私のファッションが好きっていう子がじゃあ私のやってるジャズを聞いてみようって思ってくれたらすごく嬉しいです。
時々インスタで「ジャズ聞いてみたい」とか「オススメは?」とかコメントしてくれる子もいます。少しずつそうなったらいいな。