「女子力とは逆方向へ」 “イケメンすぎる女子” 中山咲月さんが踏み出した一歩

    私にしかない個性が、私にはある

    スカートを履く。ヒールを選ぶ。「女子力」の定義はいたるところに潜んでいる。

    そんな女子像から少し抜け出し、“中性女子”として人気を集めているのが、モデル・中山咲月さんだ。

    好きな服を着ることが怖い

    雑誌「ピチレモン」の専属モデルとして13歳でデビュー。当時からボーイッシュな格好が好きだった。でも「女の子らしくない」と言われることは怖かった。

    本当に好きな服より、少し可愛さが残る服を買う日々が続く。

    転機となったのは高校の文化祭。舞台で男役を演じた。「かっこいい」と大評判になった。

    「かわいいって女の子はよく言うじゃないですか。でも『かっこいい』はなかなか言われない。特別感があって嬉しかったんです。本当に褒められた気がした」

    「ジェンダーレス」の波に乗る

    そんな中山さんを後押ししたのが、人気モデル・りゅうちぇるさんに代表される「ジェンダーレス男子」の存在だ。

    「中性的な男性モデルがたくさんでてきて、じゃあ女子もいいじゃん!って思いました。『その枠に入れさせてください!』って。そこから、どんどん好みをオープンにして、理想的な“中性”のかっこよさを追求し始めました」

    しかし、ある瞬間だけ男性になりきる「男装」とは違うという。

    「『こういう服のジャンルが好き』っていうのと同じで、女子だけど中性的な見た目が好きなだけ。男性に変身したい、という気持ちではない。この見た目のままが自分なんです」

    “中性”を追求する面白さ

    そんな中山さんが最近研究しているのは、外見だけでなく、内面からにじみ出る本当の格好良さだ。

    「女性だからこそ、男性を見てかっこいいと思うタイミングがわかります。それを自分でも試してみるんです。女子校に通っているので、他の子が届かない高さにある荷物を取ってあげたりとか(笑)」

    こうした努力も、すっかり習慣になった。

    「かっこいいと言われるタイミングがわかれば、表現の引き出しが増えていきます。それをモデル業にも活かしたい。いつかは“中性女子”がテーマの雑誌が出るくらい、引っ張っていけたらいいなと思います」

    最後にもし、いま「女の子らしくしろ」と言われたらどうする? と聞いてみた。

    「たしかに冷たい視線は減りましたが、『流行のもの着たら?』とか『女性らしく』と言われることもあります。でも、そういう時は『私にしかない個性が、私にはある』と思えるようになりました」