日本を代表する特撮ヒーロー、ウルトラマン。初代ウルトラマンの正当な続編となる『ULTRAMAN』は、2019年に日本のNetflixで一番見られたアニメになりました。

今作におけるウルトラマンは“光の巨人”でなく、「等身大」のヒーロー。かつての主人公・早田隊員の息子である進次郎が、自身の持つ力と葛藤しながら新たなヒーローとしての道を切り開いていきます。


同名マンガを原作に、2019年4月にフル3D CGアニメーションとしてNetflixで配信開始し、映像のクオリティや濃密な人間ドラマが話題に。往年の特撮ファンだけでなく、新たなファン層も獲得しました。
国外からも大きな反響を受け、早々にシーズン2の制作が決定。4月からは地上波テレビでも放送されます。
「アニメのスーツを、実物で見たい!」というファンの声を受け、2020年1月末には「Makuake」で実写PV制作のクラウドファンディングがスタート。3月6日までに600万円以上を集めています。

特撮に始まったシリーズが、マンガ、アニメへ。そしてまた原点である特撮へ。
半世紀を超える歴史を持ちながら、Netflixやクラウドファンディングを活用し、さまざまなメディアミックスを仕掛けるウルトラマン。
世界配信の力、インターネットの力を今どう感じているのでしょうか。円谷プロダクションの石塚徹プロデューサーに聞きました。
アジアや北米でも大反響
――『ULTRAMAN』は2019年国内のNetflixで最も見られたアニメになりました。ここまでの反響をどう捉えていますか?

もともとのウルトラマンファン、特撮ファンに限らず、「このアニメで初めてウルトラマンを観た」という人も含めて、かなり広い層に届いた手応えがあります。ウルトラマン自体の知名度ゆえというより、何よりまず、作品として面白かったのが一番ではないでしょうか。
Netflixさんからは細かい視聴者データをいただいているわけではないのですが、海外、特にアジアと米国での人気が高かったと聞きました。
実際、Twitterで「#ULTRAMAN」で検索すると驚くほどたくさんの言語で感想やファンアートが投稿されています。海外のイベントに出展しても本当に皆さんの熱狂度がすごいんです! タイムラグなしで同じ作品を楽しめる今の時代は、本当に面白いですね。
――ウルトラマンシリーズは、これまでも海外のファンが多かったのでしょうか?
アジアでは特に強く展開してきていたので、その土壌はもちろんあったと思います。とはいえ、この傾向は日本でも同じですが、特撮としてのウルトラマンファンは、やはりある程度年配の方が多いのです。幼少期から楽しんでくださっている長年のファンの皆さんですね。

そんな中、今作に関してはNetflixという媒体の特性もあり、ネットに強い20〜30代の若い視聴者が多い印象を受けています。
この世代は「子どもの頃好きだったけど一度卒業してしまった」という方も多いので、またウルトラマンの世界に戻ってこられるきっかけになれたのかなと思っています。
――なるほど。そのあたりはネット配信ならではの強みですね。
現代の若者の葛藤を描いている、作品のテーマとの親和性もあったかもしれませんね。
「実写とアニメの間」への挑戦
――映像の作り方も“世界標準”にこだわったとお聞きしました。
見ていただいたらわかりますが、生身の俳優の演技をモーションキャプチャーで撮影し、そこに3D CGのアニメーションを乗せているんです。実写とアニメの間のような……。
俳優はセリフの間合いまで含めてきちんとお芝居しているので、声優さんはそのお芝居も汲み取りながらアフレコするという独特のやり方になっています。
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モーションキャプチャーメイキング映像
――実写とアニメ、単純に制作工程が2倍になりますよね……大変!
本当に! 神山(健治)、荒牧(伸志)両監督にとっても大きな挑戦だったと思います。

音楽も「フィルムスコアリング」という、ハリウッド映画などで取り入れられている贅沢な方法を導入しました。
アニメにおける音楽制作の一般的な手法は、監督から作曲者にテーマや曲調を伝え、それに沿って数曲を制作していただく形。
ですが、今回は映像作りが先なんです。ストーリーの中での位置づけ、感情の盛り上がりなどをすり合わせた上で、そのシーンごとにぴったりのドラマチックな音楽を作ってもらっています。
制作陣の魂がこもった作品が、多くの方に支持を頂けたことに大変嬉しく思います。視聴数ももちろんですが、“アニメーション界のアカデミー賞”とも言われるアニー賞にノミネートされたのも大変光栄で、制作陣の励みになりました。
「等身大のウルトラマン」
――地上波や劇場版ではなく、Netflixでの配信になったのはどんな経緯だったんでしょうか。
企画が立ち上がったのは2015年くらいですかね。2011年に原作漫画の連載が始まり、すでに国内外の漫画賞をいただくなど評価は得ていました。

それ以前にも実写化やアニメ化のお話はいただいていたのですが、円谷プロとしても丁寧に育てたい作品だったのでタイミングを見計らっていて。
原作の段階から、海外のフィギュアメーカーさんからハイエンドモデルのフィギュアを作りたいと問い合わせがあるなど、国外からの注目の高さはすでに感じていました。
なので、この作品でこそ世界で主流になっている3D CGに挑戦したい、世界のファンに届けたい、ということになり、そこでNetflixさんの名前が上がったんです。
――今作の大きな特徴が「大きなウルトラマン」ではなく「等身大のウルトラマン」。ちょっと驚きました。

円谷プロにとっては、もちろんひとつのチャレンジでした。海外の、例えばマーベル作品などでは当たり前ですけど、やっぱりウルトラマンといえばあの大きさのイメージがありますもんね。
アニメでさらに強く感じましたが、等身大だから表現できるもの、等身大だからこその悩みがあり、そこが現代的なドラマにつながっているなと思います。
物語としても、初代ウルトラマンの世界観と直結したストーリー、正当な続編は初めてなんです。だからこそ、私たちとしてもとても大事にしてきた作品でした。

マンガからアニメへ、そして原点・特撮へ
――今回、クラウドファンディングサービス「Makuake」で「実写PV」の資金を募っています。これはどういうきっかけではじまったのですか?
やはり一番は「このスーツ、実写で動いているところが見たい!」というファンの皆さんの声ですね。
カラータイマーがあって、赤と銀のカラーリングで、スペシウム光線が必殺技で……初代ウルトラマンへのオマージュをひしひしと感じるカッコいいスーツなので、実際に形になったらどんなにいいだろうと!

SNSやイベント時のアンケートなどでのたくさんの要望を受けて、こちらが一方的に提示するよりも、皆さんと一緒に作っていきたいということでクラウドファンディングの形を選びました。


――作品のファンだったら「応援したい!」「好きを伝えたい!」の手段があるのはうれしいですよね。
本当に思った以上の速さで……。初日で300万円を超える金額が集まって驚きました。
声優の木村良平さん、江口拓也さんのファンもたくさん参加してくださって。既存のウルトラマンシリーズのファンの中では比較的少なめな若い女性層が、「ULTRAMAN」という作品自体をこれだけ魅力的に感じてくださっているのはうれしかったです。
――木村さん、江口さんのお二人がとってもうれしそうなのも印象的でした。
やっぱり「ウルトラマンになりたい」は男子の夢ですよね!
このクラウドファンディングが決まる前から、キャストさん自身からも「ウルトラマンスーツ、ほんとカッコいいよね」「実物見たいよね」「いっそ着たいよね」なんて話は何度も出ていて。
私たちスタッフ、キャストの皆さん、そしてファンの皆さんのみんなが同じ方向を向いていたからこそ、これだけ盛り上がるプロジェクトになったと思います。
【 #声優と夜あそび ご視聴ありがとうございました】 番組ゲスト #木村良平 さんの応援に、 ULTRAMANとSEVENが駆け付けました! #ULTRAMAN は4月から待望の地上波放送がスタート! 実写PVプロジェクトも始動中! 引き続き、応援よろしくお願いします! https://t.co/DYLFuDWGtC #安元江口と夜あそび
――放送開始から半世紀を超えるウルトラマンシリーズ。いま、インターネットの力を今どう感じていますか?
ウルトラマンって、国籍や年齢を問わずコミュニケーションの中心になれる存在なんですよね。

おじいちゃんと孫の共通の話題になるし、海外でウルトラマンのTシャツを着ていったら、道行く人に話しかけられた! なんて話もよく聞きますし。人と人をつなげるという意味で、ネットとの相性はすごくいいなと。
だからこそ、オフラインのイベントもさらに大事にしていきたいです。この作品でウルトラマンに出会った方が、実際にヒーローショーを見たら、また違う感動があるはず。今回制作したウルトラマンスーツをお見せする機会もぜひ作りたいと思っています。
長い歴史がありファンが多いシリーズだからこそ、守るべきものは守りながら、挑戦し続けていかなくてはと思っています。
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3月6日公開 最新PV