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香川照之の昆虫愛がすごすぎる!愛と情熱しかないEテレ「昆虫すごいぜ!」ができるまで

「香川さん、あの瞬間は昆虫なんです。完全に。着ぐるみを着ているだけじゃなくて」

昨年10月に放送され、ネットで大きな話題を呼んだNHK Eテレ「香川照之の昆虫すごいぜ!」。その名の通り、俳優・香川照之さんがその昆虫マニアっぷりをいかんなく発揮し、知られざる昆虫のすごさを教えてくれる番組です。

とにかく、序盤から香川さんの昆虫愛が爆発! 自ら監修したこだわりのカマキリ(メス)の着ぐるみに身を包み、マシンガントークを繰り広げます。

「俳優生活苦節28年、やっと本当にやりたい仕事ができました!」「草むらを見るとムラムラする」「今日の衣装はカマキリの“メス”なので、私のことは『お母さん』と呼びなさい」――などなど、さまざまな名言が飛び出しました。

視聴者からは「香川照之、何やってるの!?」「完全にイメージが変わった」「こんな香川照之見たことない」と感嘆の声が続出。この熱量を番組にしたNHKさんもすごい……。

そんな“問題作”の第2弾が5月5日に放送決定! 「トノサマバッタ」に続く今回のテーマは「モンシロチョウ」。身近なこの昆虫の、魅力や生態を熱く語ります。

しかし……この番組、一体どうやって生まれたんですか? チーフ・プロデューサーの大古滋久さんを直撃。撮影裏話もたっぷり聞いてきましたよ!

30分の打ち合わせのはずが。止まらない昆虫愛

――第1弾、本当に面白かったので第2弾が決まってうれしいです! 画面の向こうから熱気とエネルギーが伝わってくるこの番組、そもそも、何をきっかけに生まれたのでしょうか。

きっかけは、他局の番組です。昨年5月のTBS「櫻井・有吉THE夜会」で、香川さんが「夢はEテレで昆虫番組をやること!」と熱弁していらしたんですよ。

僕はたまたまそれをお風呂上がりに自宅で見ていて。こんな正面からラブコールされちゃうと……なんとか期待に応えたいじゃないですか。

翌朝、早速局の編成と話して、その日中に香川さんの事務所にオファーしました。

――す、すごい速さですね!

せっかくのチャンス、全力でいくぞ! と1分1秒を争ってオファーしました(笑)。

まずは一度お話を、と最初にお会いしたのは6月だったでしょうか。香川さん、お忙しい方なので「まぁせいぜい30分くらいかな」と思っていたら……結局2時間くらいノンストップでお話を聞き続けることに。

もうね、とにかく止まらないんですよ! 昆虫へのあふれる愛が!

――番組でのあの勢いを見れば想像がつきます!

香川さんが昆虫にハマるきっかけになったカマキリにはじまり、トノサマバッタ、クワガタ、クマゼミ、タマムシ……と、昆虫たちの紹介したいポイントやエピソードを次々に語ってくれました。そしてそれが、どれも熱い!

プロデューサーとしてはこの時に「あ、これいけるな」「番組、できたな」と思いました。

――ただ生態に詳しいだけでなく「人間たちよ、昆虫から学べ!」というスタンスなのが印象的でした。

打ち合わせの時も「僕は昆虫から生き方を学んでいるんです」と、力強く何度もおっしゃってましたね。

人間は道具や技術に支えられているけど本当は弱い存在だ、本能で生きる昆虫たちの強さやまっすぐさからこそ、学ぶべきものがある――香川さん自身、日々昆虫の生き方に刺激を受け、励まされているそうです。

映画やドラマの撮影中も「このあたりには確かあれが生息しているはず」と、時間を見つけてふれあいにいくとか。

なので番組も、単に昆虫の生態を香川さんと一緒に紹介するだけでなく、ご自身の思いや熱意が伝わるようなものにしたいと思いました。

「リアルなカマキリになりたい」

――カマキリ(メス)の着ぐるみも、ご本人の厳しい監修があったそうですね。

「夜会」でも着ぐるみでカマキリになっていたので、こちらからも「では、カマキリ先生にしましょうか」とシンプルにご提案したのですが「やるならリアルなカマキリになりたい!」と。触覚や脚の位置など、何度も打ち合わせを重ねて完成しました。

……それでも、前回のものは「リアルじゃない」と不満な点がいくつもあったそうです。なので第2弾では、さらにEテレの総力を結集し、ますますグレードアップしております。こだわりポイントは、番組内でも紹介があると思うので、楽しみにしていただければ。

――番組後半の大掛かりな実験も圧巻でした。「トノサマバッタのジャンプ力を知るべく、カマキリの着ぐるみを着て吊り上げられる香川照之さん」という図がシュールすぎて……名俳優を贅沢に使いすぎじゃないですか!

いやほんとに、体当たりですよね。ありがたい限りです。喜んでいただけたようでよかったです(笑)。

このあたりは人気シリーズ「大科学実験」のディレクターの知恵を借りました。そんな風に、Eテレがこれまで積み重ねてきた理科番組や実験番組のノウハウをフル活用してできた番組です。

今回もすごいですよ!「もし、モンシロチョウが人間サイズだったら羽の大きさはどれくらい?」ということで、全長4メートル、重量8キロの羽を装着し、またもや飛んでもらっています。

――撮影で最も大変だったことは?

とにかく、敵は天気でした。忙しい香川さんのスケジュールを縫ってロケの日程を決めたのですが、前回も今回も抑えた日程がことごとく雨で……「今度こそ晴れてくれ」と日々胃が痛かったです。

そして、いざロケが始まると、香川さんのエネルギーがすごいんですよ! 今回のモンシロチョウの捕獲も、草むらで4時間、格闘しています。「昆虫に休みはない!」と、休憩なし、汗びっしょり。担当ディレクターも大変です(笑)。香川さんと同じく昆虫マニアの彼が、本当に頑張ってくれました。

――ひえー! 香川さんとスタッフのみなさんの汗と涙の結晶ですね……!

あの時の香川さん、昆虫として生きているんですよ。ただカマキリの着ぐるみを着ているのではなく、なってるんです、昆虫に。

昆虫として、あの一瞬を生きているんです……!

香川照之何やってるの!? 予想以上の大反響

――第2弾につながったのは、やはり「第1弾が好評だったから」でしょうか。

もちろん! 特にネットでは、僕らの予想を遥かに超える盛り上がりでした。

10月10日午前9時に放送だったのですが、あっというまに「昆虫すごいぜ」「香川照之」「カマキリ先生」などがTwitterのトレンドワードの上位を独占したようで……。初めての経験でした。

――祝日の朝は、普段あまりテレビを見ない方も目にしやすい時間だったのかもしれませんね。

そうですね、親子で見てくださった方も多いようでした。再放送はいつ? の問い合わせも多かったですし、メールや電話での感想も200件以上寄せられる大反響でした。

香川さん……というかカマキリ先生の絵を描いて送ってくれる子どもたちもたくさんいて、子どもから大人まで楽しんでいただけたことがうれしかったですね。「カマキリ先生、2時間目はいつですか?」という言葉が次につながりました。

「僕の代表作」シリーズ化の可能性は?

――香川さんご自身はどう受け止めていらっしゃいましたか?

好評の声はもちろん届いていて、とても喜んでおられました。街で出会った方に「カマキリポーズ」を無言でされた……なんてこともあったようですよ。「これが僕の代表作です」とまで言ってくださっているようです(笑)。

――このままシリーズ化なんてことは……?

ぜひ実現したいですね! 僕としてはやる気満々です。香川さんは昆虫の数だけ語れるものがある方なので、前向きに検討していこうと思っています。

――最後に、あらためて「2時間目 モンシロチョウ」の見どころを教えてください。

やはり香川さんの熱量! これに尽きます。

「香川照之のマニアックさ、すげー!」という視点はもちろんですが、楽しそうに昆虫たちとたわむれ、熱く語る香川さんを見ていると「虫、取ってみたいな、草むらで遊びたいな」という気持ちになると思います。

モンシロチョウをつかまえようと体当たりで挑むその姿を見ているだけで、自然と力が入り、エネルギーが湧いてくるはず。昆虫に興味がない人にもぜひ見てほしいです!

第2弾放送にあたって、香川照之さんのコメント(全文)

Q.続編の実現をどう受け止めていますか?

僕はただ、本当に好きなことをやらせていただけただけなんですが、僕の周りでは、もはや、香川照之と言えばこれ(カマキリのポーズ)になっていまして、大きな反響を感じています。

それを受けての第2弾ですが、とにかく、番組でまた普通に虫とりが出来るな、という喜びがすべてですね(笑)。それが一番です。

Q.モンシロチョウ回の見どころは?

(成虫になってから)10日しか生きられないはかなさもそうですが、胴体を触った時の、あのピクピクという感覚、あれは実際に触らないと分からないので、実際に昆虫を捕獲して、羽を触って、胴体を触った時に、ああ、ものすごく生きているなぁと。僕にとっては、今回、それがすごく新鮮でした。

モンシロチョウは春が来て最初に現れる昆虫です。だから、モンシロチョウを見たら、さぁ昆虫の季節がやってきたぞ、と。僕にとってはプレイボール! という感じですね。虫を捕る子どもが減っていますけれども、ぜひ、ご家族でこの番組を見て、みんなで昆虫をとってもらえたらうれしいです。

モンシロチョウは比較的捕獲するのは簡単ですが、その先にはもっと捕まえるのが難しいチョウもたくさんいて奥深い。まずは、モンシロチョウからハマッてみてください(笑)


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