「3歳園児バス置き去り」悲しい事件をもう二度と起こさないために。私たちにできること

    「日本もでも、早急にバス置き去り防止装置の設置を義務化を」NPO法人フローレンスの会長・駒崎弘樹さんの呼びかけに、多くの人々から賛同の声が上がっています。

    「日本も、早急にバス置き去り防止装置の設置を義務化すべきです」

    「『気をつけようね』じゃ事故は防げないんです」

    静岡県牧之原市の幼稚園で、通園バスの車内に取り残された3歳の女の子が熱中症で死亡した事件。

    2021年夏にも同じような死亡事故が起きています。たった1年前の教訓が生かされなかったことに多くの人が衝撃を受けました。

    なぜ、またこんなことが起きたのか。今度こそ防ぐことはできないのか。

    認定NPO法人フローレンス会長の駒崎弘樹さんは、自身のnoteで「置き去り防止装置の設置を義務化するよう、政治家に声を届けよう」と呼びかけています。

    あまりにも悲しくて記事をアップしました! 政治家に届けたいので、拡散に協力してもらえたら嬉しいです!! :空になった水筒が我々に問いかけるもの ー政府よ、置き去り防止装置の設置を義務付けせよ|駒崎弘樹 #note https://t.co/OVSuQhoOsg

    Twitter: @Hiroki_Komazaki

    同様の事故があった韓国の対応は?

    昨年8月に福岡で男の子が送迎バスに取り残され死亡した事故のあと、政府は安全管理を徹底するよう改めて都道府県に呼びかけたものの、それ以上の具体的な対策は採っていませんでした。

    2018年に同様の事故が起きた韓国では「政府の対応が全く違った」と、駒崎さんは以下のように書いています。

    この事件(編注:2018年にソウル市内で起きた死亡事故)を受け、同年10月、韓国政府はすぐに道路交通法を改正。

    改正法では、保育所や幼稚園の運営者に、バス車内の園児置き去りを防ぐ装置の設置が義務付けられました。従わない場合は、罰金も課されます。

    この装置を使った仕組みは、「Sleeping Child Check System(寝てる子チェックシステム)」と呼ばれるもの。アメリカやカナダのスクールバスでも既に導入されているようです。

    運転手は、エンジンを切ったあと、3分以内に車内の後部に設置されたボタンを押しに行かなければいけません。もし運転手がそれを怠ったら、アラームがなる仕組みになっています。

    運転手の注意力に頼るのは限界があるため、運転手が後部座席まで歩いて見に行くための仕組みを導入したわけです。

    いや、これ、日本でもやろうよ!って言うことなんですよ。

    韓国だけでなく、欧米諸国でも導入されている、物理的にアラートが鳴る仕組み。

    これを日本でも義務化するよう「心ある政治家の方は、早いところ議論を始めてください」と呼びかけています。

    YouTubeでこの動画を見る

    youtube.com

    韓国で使われているシステムの解説動画

    この駒崎さんの呼びかけに、一夜にして複数の政治家が反応

    立憲民主党 寺田学議員「超党派のママパパ議連含めて、この韓国方式検討して進められないか模索します」

    超党派のママパパ議連含めて、この韓国方式検討して進められないか模索します。 自治体や園任せにせず、全国一律のしっかりとした制度で、どこの地域の子供も安全に通えるように。 https://t.co/gp3JpBRtSx

    Twitter: @teratamanabu

    公明党 矢倉かつお議員「政府は本気で対策を」

    静岡県の認定こども園の置き去り事故。本当に心が痛みます。 どんなに苦しかったか こんなことがもう二度とあってはいけない。 駒崎弘樹(@Hiroki_Komazaki )さんのご提案。 置き去り防止装置の設置を義務付けを 政府は本気で対策を。 https://t.co/5hCYo2cMuk

    Twitter: @Yakura_Katsuo

    墨田区 おおこし勝広議員「今後二度とこうした事故を出さないためにも!政治家はできることをやらなければ!」

    全くご指摘の通りです!今後二度とこうした事故を出さないためにも!政治家はできることをやらなければ!墨田区でも提案してみます! https://t.co/IFkyXZch48

    Twitter: @ooks_katu

    堺市 ふちがみ猛志議員「子どもの命のリスクをお金で回避できるなら安いもの。自治体が先行して動けば、国も動かざるを得なくなる」

    堺市の施設にある幼児用送迎バスは23台。まずは自前のバスだけでも速やかに設置するよう、本日の委員会で緊急要望。26日の委員会で回答するよう求めました。子どもの命のリスクをお金で回避できるなら安いもの。自治体が先行して動けば、国も動かざるを得なくなる。悲惨な事故をなくすのは大人の責任。 https://t.co/kqr1FeU4LD

    Twitter: @T_Fuchigami

    政治を動かすために 私たちができること

    駒崎さんは、BuzzFeed Newsの取材に「議員のみなさんからも、対策を進めていきたいという声は確実に上がっています」と話します。

    「今日、立憲民主党の国対ヒアリングにもオンラインで参加し、検知システムの義務化を訴えてきました。関係各省の官僚からも『検討していきたい』という返答がありました」

    そして、政治家に限らず、事件に心を痛めている人はぜひ少しでも行動を起こしてほしいと呼びかける。

    「待機児童の問題や虐待対策など、世論の大きな後押しで政策や現場が動いたことは、この数年でもたくさんあります」

    「『保育士の給与を上げてくれ』なんて要望は昔は見向きもされませんでしたが、保育士が少ないことで待機児童が、困っている親がたくさんいることが明らかになると、すぐに事態は動きました」

    「虐待に対応する児童相談所の待遇の悪さが問題になった時もそうです。職員を増やす、IT化をすすめるなど、これまでとは比べものにならないスピードで変化しました」

    政治に声を届けるために、一般市民にできることとして2つをあげた。

    「まずは、住んでいる自治体の議員さんに『うちの市や町だけでも対策をしてくれ』とお願いすることです」

    「具体的に市内の園バスすべてに置き去り防止の機器を設置するような自治体が出てくれば、周囲のモデルにもなります。全国の自治体が動き出せば、国も追従しやすい」

    「もう一つは、SNSで個人個人が声をあげること。これは、確実に意味があります」

    「SNSで声が集まれば、テレビや新聞をはじめ、メディアが動いてくれる可能性が高まります。そうするとさらに広い層に社会問題として認知され、政治家に届く可能性も高まります」

    「これまでに多くの携わってきた身からして感じますが、世論の後押しはとても大事です。悲しみを繰り返さないために、政治家にこういう解決法があることを届けましょう」