やっぱり「りぼん」は特別な存在、と大人になってからも何度も思う。小学生の私は月に一度、この雑誌の発売日のために生きていた。

少女時代の思い出のほとんどがある雑誌「りぼん」。そのふろくを集めた展覧会「LOVEりぼんFUROKU 250万乙女集合!りぼんのふろく展」が、明治大学 米沢嘉博記念図書館で2月18日にはじまりました。……絶対行くしかない!!
「LOVE♥りぼん♥FUROKU」展、本日2月18日(土)オープンです。本日18時まで。第1期は池野恋・さくらももこ・柊あおい各先生の原画を展示。柊あおい先生の原画は当初の告知に加え、第1期にも展示いたします!… https://t.co/ZkGfVfRfsd
本展では、250万乙女が夢中になった時代の『りぼん』のふろくに特に注目し、初期から現在まで、ふろく文化の変遷を追います。かつてのりぼんっこ、今のりぼんっこ、全員集合!
かわいすぎて泣ける
会場には、90年代を中心に、約1000点の当時のふろくの現物を集めています。会期中に入れ替えもあるみたい。

池野恋、吉住渉、さくらももこ、水沢めぐみ、矢沢あい……ああ、知ってる先生ばかりだ。幸せすぎる!

展示室はそこまで広くはないですが、見応えがあるボリューム。いくつも並んだショーケースの中に、カラフルなふろくたちが年代ごと、月ごとにぎゅうぎゅうに詰まっています。
うわ〜これ持ってた! あ、こっちの便箋はかわいすぎて使えなかったやつ、なんて20年近く前の記憶がするっと出てくるからびっくりします。記憶の扉が開く。いろんなことを一気に思い出して涙ぐんじゃう。かわいいものしかない。

「吉住渉先生、毎月のようにふろく登場しててすごい仕事量……! しかも全部めちゃくちゃキュート」
「水沢めぐみ先生の姫ちゃん、なんてかわいいの! このレターセット今から売ってほしい」
「矢沢あい先生、構図も色使いも圧倒的にオシャレだ!」
――なんて、頭の中でずっときゃーきゃー言っちゃうくらい。同年代の、りぼんの思い出を共有している友達と一緒に行ったら絶対に楽しいと思います。
“250万乙女”の想いが渦巻く
サブタイトル「250万乙女集合!」の通り、1994年には発行部数255万部を記録した「りぼん」。
展覧会を企画した、京都国際マンガミュージアムの研究員・倉持佳代子さんも当時の「りぼんっこ」です。
米沢嘉博記念図書館のスタッフ、ヤマダトモコさんとのトークイベントでも「りぼんは漫画研究の道に入ったきっかけ、人生で一番夢中になったもの」と熱く語っていました。
倉持さんが手に持つピンクの箱は、柊あおい先生の「女の子ボックス」。ランジェリーとポプリを入れていい匂いに…‥という実用的(?)なふろくです。

缶型のこの大きなボックスも、ふろく。組み立て前は雑誌におさまるサイズに折りたたまれています。かなりしっかりしてるし凝ってる。

当初は展示総数は1000点ほどを予定していたものの、どんどん増えて京都会場ではなんと約2000点に。倉持さんによると、最も大変だったのは「組み立て作業」だったそう。
「私ともう1人の同世代の女性スタッフは小さい頃から 慣れていますが、手伝ってもらった男性たちは細かい作業に苦しんだようです」
「しばらく男性陣にまかせて席を外した時に『いいね〜こんな楽しい作業ずっとできて』と軽口叩いたら、『何言ってんだ?』って感じのすっごい目で睨まれました。乙女心はわかってもらえなかったみたい(笑)」
「展示数2000は、当館の過去の展示の中でも一際多くて本当に大変でした。ひたすら並べる作業、延々やってると変なテンションになってくるんですよ。多分、あの時の私には“250万乙女”の霊が憑依していたと思います。……あ、みんなまだ生きてるから、生霊ですね」
倉持さんの思い出のふろくは、矢沢あい先生の「ないしょボックス」。宝箱のような外見で、紙でできているのですが、本当に鍵が閉まるのです……!その分、完成までも複雑で「組み立てが難しすぎて親に泣きつきました」とのこと。

吉住渉先生のこのレターセットは青いギンガムチェックが全部手描き……!実際の原画を見ると「えっここまで描いてるの!?」とびっくりします。こちらの原画は3月17日~4月10日に展示予定です。

ひとしきり裏話を聞いた後は、会場も巻き込んでりぼんの思い出トーク。
「大事にとっておいたのに、ある日お母さんに一気に捨てられた悲しみが蘇った」「『姫ちゃんのリボン』のレターセットがあまりにかわいくて、妹と盗み合った」「応募者全員サービスがどうしてもほしくて、家の引き出しから切手を盗んでしまったのが人生で初めてした悪いこと」――などなど豪快なエピソードが上がりました。
倉持さんは「小学生の頃は娯楽も少なかったですし、毎月の1冊を擦り切れるまで読んでいて、たった数年しか購読していなかったはずなのに記憶が強いんですよね」としみじみと話します。「“個人的な経験”が250万人分積み重なって、共通の記憶になっているんだと感じました」
この日、会場には、90年代の紙ふろく全盛期を支えた職人、高橋孝一さんも来ていました。
当時の主要なふろくをほとんど担当しており、上の鍵付きのボックスも高橋さんの作品です。「りぼん」を愛した私たちにとっては“神様”も同然じゃないですか……!
「自分が作ったものが、その先でこんなに多くの女性の人生に深く関わっていることに本当に感動しました。今日、みなさんの思い出を聞かせてもらえてうれしかったです」と笑顔で話していました。
フライヤーにも秘密が。京都(上)と東京(下)を並べると「アイドルトランプ」の絵柄がそろいます!

いやはやしかし、楽しかった。私は京都会場にも足を運んでいるのですが、東京は展示スペースの広さでは劣るものの、より至近距離でじっくり見られるのがよいところだと思いました。会期中にまた行きたい……!
米沢嘉博記念図書館にて、本日から始まった「LOVE♥りぼん♥FUROKU」展。歴代の付録を見渡すショーケース。日本の出版文化における付録の重要性を再確認できる展示。 https://t.co/RWTGNZkHrN
東京では、原画やふろくは4期にわけて展示予定です。原画の展示スケジュールは以下の通り。お目当ての先生の時にどうぞ♡
- 第1期:2月18日~3月13日 池野恋先生、さくらももこ先生、柊あおい先生
- 第2期:3月17日~4月10日 水沢めぐみ先生、吉住渉先生
- 第3期:4月14日~5月8日 柊あおい先生
- 第4期:5月12日~6月4日 高須賀由枝先生、矢沢あい先生