今、10代女子が韓国に熱視線を注ぐ理由

    ギャル雑誌「ポップティーン」に最近は毎月のように韓国カルチャー特集が。10代女子のトレンド、聞いてきました。

    今年の紅白歌合戦初出場歌手の一組として、韓国のガールズ・グループ「TWICE」が選ばれました。

    日本では今年6月にデビューしたばかりの彼女たち。たった半年で紅白の舞台に駆け上がった……わけでは実はありません。

    日本のテレビや雑誌に登場する前から10代の女性を中心に認知度は高く、デビュー前から「みんな知ってる」人気ユニット。

    YouTubeのMVが口コミで広がり、顔文字「(ToT)」を表した「TTポーズ」は女子高生の間ではプリクラや写真撮影の定番ポーズでした。

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    韓国カルチャーの勢いは音楽だけにとどまりません。

    創刊30年以上の10代向けファッション誌「Popteen」でも、この1年ほどは毎月のように韓国に関する特集が掲載されています。

    「世界でいちばん可愛い♡オルチャン最新トレンド100」「POPモデルは韓国が大好き♡」

    ファッションやコスメの面でもトレンドの最先端のひとつは「韓国」です。

    今、10代女子が韓国にアツい視線を注ぐ理由は? 一番近くで彼女たちの熱を感じている、編集部の太田綾乃さんに聞きました。

    女の子が憧れる女の子

    「今の特徴は『女の子が憧れる女の子』の構図ができていること。カジュアルなのに新しさがあるファッションや、ナチュラルに見える凝ったメイクをまねしたい、というモチベーションがとても強いです」

    太田さんがそう話すように、ポップティーン読者の人気が高いTWICEとBLACKPINKはどちらも女性ユニット。

    BLACKPINKはこの夏、日本デビューに先駆け武道館公演を成功させた今注目のグループです。

    「韓国スタイルはとにかく『かわいい』! 10代の読者たちにとっては『憧れ』の要素がすごく強いです」

    「ギャル系、原宿系など自分のファッションへの姿勢を端的に示す次の言葉として『オルチャン』は新鮮に映ったのだと思います」

    その“憧れ”の視点は、欧米のセレブやファッションモデルへ向けられていたものに近いのでしょうか?

    「海外への情熱という意味では近いものはあると思います。ハーフになりたい! という女の子も、ある時期はたくさんいましたよね」

    大人にとっては近い外国でも、中高生にとっては一人では絶対に行けない場所。かといって、ファッションセレブが集うまったくの別世界でもありません。お母さんにお願いすれば一緒に旅行するチャンスもあるかもしれない……。

    海外への強い<憧れ>と、意識や距離の面では意外に近い<親近感>。その両方を併せ持つのが、韓国トレンドがこれだけ注目される背景にありそうです。

    インスタ映えへの情熱

    編集部の視線で見えてきた「憧れと親近感」。実際、リアルな10代はどんな距離感で捉えてるのでしょうか?

    ポップティーンの人気モデル、16歳の鶴嶋乃愛さん(のあにゃん)と、19歳の徳本夏恵さん(なちょす)の2人に聞きました。

    鶴嶋さんはK-POPも韓国コスメも大好き。その愛を買われ、誌面でも「韓国担当」を務めることも多いとか。

    「小学生の頃からアイドルが好きで、特に乃木坂46さんが好きでした。K-POPに興味を持ったのは、ファッションやメイクがかわいかったから! こんな風にモデルのお仕事を始めたくらい、自分には興味がある世界だったので、必然的に韓国のアイドルさんにも目が向くようになりました」

    徳本さんは逆に「K-POPには全然詳しくなくて……」。

    「それでも韓国のコスメブランドの名前はたくさん覚えていますし、自分でもいくつも持ってます。それくらい、同世代ではもはや“当たり前”かも。ブームというより定番です」

    読者の韓国人気を受け、韓国人メンバー・JINを擁するボーイズグループ「UNIONE」とコラボMVを撮影。2人はソウルで撮影に臨みました。

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    「ロンディ」MVのスペシャルバージョン

    初渡韓の感想は……「めーーっちゃ楽しかった!!」(声を揃えて)

    とにかくソウルは「どこに行ってもインスタ映え!」が印象的だったそう。

    「カフェはお店の入り口からかわいい、中もかわいい、食べ物もかわいい! 何も食べずにお店の前で写真だけ撮る人もいました」(鶴嶋さん)

    自動販売機…じゃなくてカフェの入口のドアです

    「私はピンク色のカルボナーラに感動した♡ 服屋さんもフォトスポットがあるだけじゃなくて、試着室までかわいいのがすごかった!」(徳本さん)

    あとあとこれめっちゃ言いたかった!! 韓国撮影で出会ったすごい食べ物!! アイスを混ぜるとピンクになっちゃうカルボナーラ💓 こんなピンクやのに味もすごい美味しくてびっくり😳😳 これの他にも凄い、可愛いインスタ映え食べ物いっぱい… https://t.co/a2tTdRepP1

    アイスの正体はピンク色のクリームチーズ。すごい発想…!

    なるほど、確かに女の子たちは試着室でこそ自撮りしますよね……。よくわかってる!

    コスメのパッケージも凝ったものが多く、写真に撮ってアップしたくなるものばかり。「インスタ映え」が徹底的に意識されています。

    幼少からソウルの街並みの変化を見てきたUNIONEのJINさんは「今でこそソウルにインスタ映えスポットはたくさんありますが、この傾向はこの数年のこと。日本でも増えていくんじゃないでしょうか」と話します。

    10代は飽きっぽい

    「女子が女子に向ける憧れ」「インスタ映え」などの特徴に続き、もうひとつ、太田さんが指摘するのは、「常に新しさがある」こと。

    「ティントリップ、クッションファンデ、シースルー前髪……聞きなれない言葉や新鮮なアイデアがどんどん出てくるので、流行を追いかけているだけで忙しい」

    「日々刻々とトレンドが変わっていくこと自体が若い彼女たちには面白いのだと思います。ほんの数ヶ月前、夏の流行りはもうちょっと“古い”ですからね」

    確かに一概に「オルチャンメイク」と言っても、いまいちつかみどころがないように感じていました。その細かい変化を追いかけていくことも含めて魅力なんですね。

    「今の高校生の情報源は、テレビより圧倒的にスマホ。好きな情報は自分で収集していくスタイルです。韓国のインスタグラマーやYouTuberを熱心に追いかけている人も多いです。本当に好きな子は編集部よりも詳しいかも」

    「10代って、すぐ飽きちゃうんですよ。好きなブランドやコスメも、読者アンケートを見ると毎年目まぐるしく変わっていきます。好きなお菓子『じゃがりこ』だけです、10年連続1位なのは!(笑)」