理想の生活では…?「気が合うオタ友と一緒に住みたい」夢を叶えたアラフォー女性の話

    楽しそうすぎる〜〜〜!

    ひとり暮らしはさみしいけど、実家に戻るのもなんか違う。今すぐ結婚や同棲したい(できる)わけでもないし……。

    よし! 友達同士で住もう!!

    そんな理想の生活を実現したアラフォーオタク女子4人組の生活をつづる『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)が発売されました。

    ネットで知り合った同世代の友人たちと乗り出した、独身・アラフォー・女性複数人の共同生活。

    お互いの趣味をマイペースに楽しみながら、適度な距離を保って小さな社会を営む日々に、読み進めるほど「自分もやってみたい」「この暮らし、ありかも」と思う人も少なくないはず。

    4人暮らしの発起人は、この本の著者でもあるヴィジュアル系好きフリーライター・藤谷千明さん。

    オタク女子4人暮らし、実際どんな感じなの? ぶっちゃけ揉めないの? 誰かが「脱退」しちゃったらどうするの? 赤裸々なお話、聞きました。

    『鬼滅の刃』は共有資産

    ――都内の一軒家でそれぞれ自室があり、共用のリビングと本やCDを置く“倉庫”も。率直にめちゃくちゃ羨ましい! と思いました。

    ひとり暮らしじゃこうはいかないですもんね。ライターという仕事柄、本や雑誌、CDは増えていく一方なので実務的な意味でも本当に助かっています。

    一人の家だと、自分の部屋に人を招くって結構大変ですけど、今の家は自室が散らかっていてもリビングはきれいなので人を呼びやすいんですよね。“ちょっとしたパーティー”がしやすくなりました。

    ――わかります、家に誰か呼ぶのって準備がハードル高い……。リビングで巨大な流しそうめんをやった話が超楽しそうでした。

    これめっちゃ盛り上がってオススメですよ、無重力そうめん! 「そうめん見たい!」って友人が去年の夏はいっぱい来ました。「食べたい」じゃなくて「見たい」ってなんだよっていう(笑)。

    一人では買いにくいオモチャを大人の財力とノリで買えるのがいいところですね。

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    「無重力」の意味はこの動画をご参照ください

    リビングには各自のお気に入りマンガの最新刊が集まる“新刊コーナー”があったり、『鬼滅の刃』を共益費で全巻購入したり、誰かが好きなアニメやオーディション番組をみんなで見たり、まあまあ楽しく過ごしています。

    ――くう……楽しそうなことしかない!

    まぁでも毎日騒いでいるわけじゃなくて、日常は淡々としていますけどね。

    何かしよう! となっても全員参加でもないし、気が向いた時に人と遊んだり話したりできる距離感はちょうどいいです。

    あと、人数がいると食べ物を箱で注文できるようになったのが楽しいです。こないだも冷蔵庫にさくらんぼが3キロあったし、今はシャインマスカットが数キロあるし、来週は梨が届くし……。

    コロナの影響で販路がなくなった「食べて応援」系のものって、どうしても量が多いじゃないですか。

    果物もお肉も4人いればなんとかなる、それでも食べきれなければご近所さんにあげたらいいや! とポチりやすくなりました。

    ――いいですねえ。食費もそうですが、家賃や生活費も折半したら安いですよね。

    家賃は自室の広さや家にいる時間の長さで傾斜をつけているんですが、フリーランスで長めに家にいる私は月6万円、一番安い人は月4万円ですね。

    生活コストは、電気代やネット回線を入れても6万円ちょっと。ひとり暮らし時代と比べてほぼ半減しました。

    「ハワイ行きたい」レベルのよくある夢

    ――いいことばっかりだ……。周りでも「こんな生活してみたい」と思う人も多いんじゃないでしょうか。

    「どうですか!?」「私もやってみたいです!」と食いついてもらえることはすごく多いです。

    それくらい、「気が合うオタク友達と一緒に住みた〜い」というのはオタクにとってかなりよくある願望だと思います。

    「こんな物件にオタク同士で住みたい!」とルームシェアしやすそうな部屋の間取り図がTwitterでバズったこともありましたしね。よくある度で言うと「ハワイ行きた〜い」くらい……。

    ――ハワイくらい(笑)。確かにそれくらいの距離感でぼんやり「憧れ」かも。逆に言うと、この本には「憧れ」から一歩踏み出したリアリティがあって参考になりました。

    それはひとつ意識した点でした。ルームシェアしてます! という書籍やネット記事を見ても物件をどう手に入れたかとか、どうやって生活を回しているかとか、実務的なところがあんまり書いていなくて。

    例えば、とある記事を読んだら、いきなり「家族が所有していた物件に友達と住むことにしました!」と出てきて、これは羨ましいけど参考にならないなと……。

    ――ないですからね、普通はそんなの!

    なので、「保証人どうしたんだろう?」「イニシャルコストってどれくらい必要なんだろう?」なんて現実的なステップや金額感もなるべく赤裸々に書くようにしました。

    今、新型コロナの影響などで支出を抑えたい方も増えていると思うんですよね。人と一緒に住む最大の利点は「固定費をぐっと抑えられること」なので、その意味でも参考にしてもらえたらいいなと思っています。

    「このまま身体が動かなくなったら…」

    ――藤谷さん自身は、もともと「ルームシェアしたいな」という思いは持っていたんでしょうか。

    正直そこまででは。長くパートナーと2人で暮らしていたのもあって、友達と住むことはほとんど考えたことがなかったです。

    考え始めたきっかけは、パートナーと別れてひとり暮らしをはじめて、左肩を壊してしまったことでした。利き手でもないし、四肢の中では一番ダメージが少ない場所だと思うんですけど、それでもかなり不便だったんですよね。

    もっと悪化したら日常生活に支障が出てくるかもしれない、もしこのままどんどん身体が動かなくなっていったら……と不安がどんどん広がって。

    ――万が一何かあった時、をどうしても考えちゃいますよね。

    いやぁ、本当に。身体を壊すとダイレクトにメンタルに響くんですよ……。

    「結婚もしてない、実家も頼れないオタクが、ひとり暮らし以外に取り得る選択肢、ある?」と考えた時に浮上してきたのが「恋愛関係にある人や血縁者ではない、気心の知れた誰かと住む」でした。

    同居人はSNSつながりで

    ――メンバーが思いの外あっさり決まっていくのもまたリアルでした。「面白そう!」でトントン進んでいく感じが。

    言葉にすると適当そうに聞こえますけど(笑)、「それ面白そう!」と思える人たち同士だってことはすごく大事だなと思いました。懐の深さというか、人生の方向性というか。

    ――中には、ネットで出会って、住むまでに1〜2度会った程度の人もいますよね。不安はなかったんでしょうか?

    そこはあまりなかったですね。会うことは少なくても、10年くらいお互いSNSを見ている人たちだったのが大きいと思います。

    長くSNSを見ていると、何が好きで何が嫌いか、どこに怒りポイントがあるか、ってなんとなくわかるじゃないですか。若い世代になるとまた違うかもしれませんが、私たちは基本的に「本アカ」しかないので。

    ――確かに、物理的に身近にいる会社の同僚なんかより、Twitetrで見ている人のほうが生活や考え方が見える部分はありますよね。

    そうなんです。インターネットの上にも、人格がはっきりあるんですよね。

    本名も仕事もよくわからないけど(笑)、「この人はなんとなく大丈夫なんじゃないか」「やっていけそうなんじゃないか」はツイートから感じていましたし、その「なんとなく」はすごく大事だったと思います。

    本に出てくるタコ焼きの写真、いつも人に見せると爆笑されるのだが…(´6ω6) ※下半分がワシのじゃ!

    たこ焼きパーティもできる!

    ルームシェア、大人こそ向いている説

    ――それぞれひとり暮らし歴やバックグラウンドも違う4人。一緒に住んでいて喧嘩しないの? はやっぱり気になります。

    「オタクはこだわりが強い人が多そう、うまくいかないんじゃないの?」も結構言われるんですが、今のところ私たちは意外とうまくいっています

    身も蓋もないですが、みんな大人なので。まずはそれぞれの生活があって、必要なところで助け合っている感じです。

    家事もきっちり分担しているわけでなくて、やるべきことをリストアップしておいて手が空いている人がやろう、というゆるい運用なんですが、十分なんとかなっていますね。むしろみんな積極的にやりすぎて「全然できてなくてすみません」って人が出てきちゃうくらい。

    多感な20代の頃だったらまた違ったかもしれませんが、アラサーを超えてアラフォーになろうとしている同世代なのもあるかもしれません。

    ――なるほど。ルームシェアというとなんとなく若者のものっぽい気がしますが、実は大人こそ向いている説。

    実際、私は20代の頃に妹と一緒に住んでいたんですけど、半年くらいで即解散したんですよ。「全然家事やってくれない!」「歯磨きしながら水道出しっぱなしにしないで!」とか些細なことでめちゃくちゃ喧嘩して。

    ――肉親ではうまくいかなかったけど……というのも面白いですね。

    もちろん兄弟姉妹で仲良く暮らしている人もいますけどね。私の場合は家族だったからこその甘えが部分があった気がします。「家族なのに、なんでわかってくれないの!?」って。

    同棲でもそうかもしれませんが、要するに、近しい関係だからこそ期待しすぎちゃうんですよね。「好きならわかってよ! やってよ!」になっちゃう。

    ――それ、すごく大事なことですね。距離があるからこそできる気遣い。

    「察してよ!」 には限界がありますからね。

    画面越しに育んできた関係なのもあって、私たちは基本的にテキストコミュニケーションなんです。何か決めるべきことやお願い事があったら同じ家にいてもグループLINEで話す(笑)。テキストで残るし、言った言わないにならないし、一番便利。

    なので、昔は同居人に対して「なんでわかってくれないの!」だったけど、今は「そもそもわかる必要、ないよな?」と思うようになりました。だって、言葉で伝えればいいですからね。そのためのツールを駆使すればいい。愛に頼るより、ITに頼ればいいんです。

    【試し読み】 『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』の試し読みが公開されております。だいたいこのようなテンションで終始お送りしている本なので、興味のある方はぜひご覧ください。 https://t.co/XTvuwclPtp https://t.co/XTvuwclPtp