新垣結衣が「リーガルハイ」から変わったこと 脚本家・古沢良太が挑む王道ラブストーリー

    ガッキー&瑛太、卓球から生まれる絆のゆくえ 脚本家・古沢良太が挑む大人の恋物語

    10月21日に公開される映画「ミックス。」。新垣結衣と瑛太がW主演で挑むのは、ミックスダブルス。男女でペアで戦う、卓球の一種目だ。

    脚本は、「リーガルハイ」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「ALWAYS 三丁目の夕日」など、テレビドラマや映画のヒット作を多数手がける古沢良太さん。

    BuzzFeed Newsは、ミックスダブルスというテーマを選んだ理由、原作ものの映像作品が増える中でオリジナル脚本に込める思いを聞いた。

    神様に「これでしょ?」と言われた

    以前からスポーツ、特に卓球をテーマにすることに興味があったという古沢さん。

    「卓球って、妙にハマってしまう魔力がありますよね。激しく動く“接触しない格闘技”でありながら、先を常に読みあう頭脳戦でもある」

    「いつかテーマにしたいとは考えていたのですが『ピンポン』(松本大洋の漫画。実写映画やアニメにもなった)があまりに面白いじゃないですか。他の切り口がないとやる意味がないな、と長く思ってきました」

    そんな時、出会ったのが、卓球の男女混合(ミックス)ダブルスだった。今年、世界選手権で石川佳純、吉村真晴ペアが48年ぶりに金メダルを獲得したのも記憶に新しい。

    「初めて見た時、創作の神様から『これでしょ?』と言われた気がしました。男女の2人が横に並んで、同じ方向を見て立ち向かう姿を見るだけで胸が締め付けられて……」

    「僕も子供のころに遊びで卓球をよくやっていましたが、ダブルスは嫌いだったんですよね。多分、好きな人あんまりいないんじゃないかな?(笑)打ちたいのにそこに相手がいるからイライラするし、だいたい喧嘩になる(笑)」

    「一人でやった方が楽なことを、わざわざ2人でやる。時には衝突するし面倒なこともあるけど、2人だから起こせる奇跡がある。――これは恋愛にも通じるなって思ったんです」

    王道「ロマンティックコメディ」を目指して

    古沢さんは「ラブコメディ」ではなく「ロマンティックコメディ」という言葉を使う。「僕が影響を受けてきた作品たちがそう言われることが多いので、憧れの気持ちも込めて」。

    今回の作品を作る上で頭にあったのは「ローマの休日」「恋人たちの予感」など往年の名作ラブ・ストーリーだったという。

    普遍性がある、王道の物語を。時代や流行に左右されない関係をどう描くかに苦心した。

    「多満子(新垣結衣)と萩原(瑛太)は、まずはともに戦うパートナー。ペアを組み一緒に目標に向かう過程で、お互いが再生していくのが一番描きたかった部分です。だからこそ簡単に恋愛関係にしたくなくて、その積み重ね、バランスに悩みました」

    ガッキーはどんな女優?

    新垣結衣さんの代表作のひとつ「リーガルハイ」も古沢さんの脚本作品だ。

    ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で一躍時の人になった“ガッキー”と、数年ぶりに仕事をした印象は?

    「『逃げ恥』はもちろん見ていましたが、女優としての貫禄がぐっと増しましたよね。コメディエンヌとしての素晴らしい素質は以前からですが、大人の女性の等身大の繊細な感情もこうして表現できる人なんだなと思いました」

    多満子は当初もっとエキセントリックなキャラクターだったが、今の新垣さんのよさをいかせるよう、少しニュアンスを変えたという。

    古沢さんのお気に入りの役は、弥生(広末涼子)。明るく元気な多満子の姉貴分的な存在で、元ヤンのセレブ妻だ。

    「物語を動かす大事な役なのですが、何パターンか書いてもなかなかしっくり来なくて。広末さんがやってくださると決まって『元ヤンにしよう! 髪を赤くしてもらいたい!』と一気にイメージが固まりました」

    広末だけでない、豪華な共演陣も見どころだ。行きつけの中華屋の店員2人は、森崎博之と蒼井優。脇役なのに主演クラスの俳優が……。

    「蒼井優さんが興味を持ってくださっていると聞いて『え!? 』と驚きましたし、せめてもの気持ちを込めてちょっとせりふを増やしました(笑)。完成した映画を見ると、この役にこんな作り込んでくるのか、さすが……という感じです」

    オリジナル作品に懸ける思い

    TVドラマも映画も、漫画や小説を原作としたものが増える中、古沢さんは企画段階から関わるオリジナル作品を多く手がけている。

    「自分の中では『仕事が違う』くらいの印象があります。原作ものは勉強になるし学ぶこともあるのですが、やっぱり自分の作品として胸を張りきれない。『自分だったらこうするのに』と思ってしまうこともありますし」

    「ゼロから生み出すのは時間もかかるし大変ですが、それだけにやりがいがあるし、評価がダイレクトに自分に返ってくる。古沢のオリジナルだから出たい、と役者のみなさんに言ってもらえるのはとてもうれしいですし、それが今の僕の脚本家としての喜びです」

    弁護士もの、ラブコメ、ミステリー、スポーツ……これまでさまざまなテーマを扱ってきたが、書きたいテーマは常に尽きない。

    「パッと生まれたアイデアを『絶対面白い! やりたい!』と広げていく瞬間が一番わくわくしますね。僕はひたすら歩きながら考えるタイプ。脳内でクライマックスに行き着いて、自分で感動しちゃって、泣きながら歩いていることもあります」

    「長い時間かけて脚本を書き上げていく中で、飽きることはないですが、熱を忘れかけることはどうしてもあります。だから、自分の頭の中だけにあった最初の感動を、いかに温かくキープしていくか。抱えている『やりたい』はまだまだありますし、しばらくはオリジナルで戦っていきたいです」

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    BuzzFeed JapanNews