三浦九段「元の状態に戻してほしい」スマホ不正は根拠なし、判断受け会見

    「無理なんでしょうけど、元の状態に戻してほしい」

    対局中にスマホで将棋ソフトを使ったカンニング行為をした疑惑を受け、竜王戦出場停止処分を受けていた三浦弘行九段が12月27日、会見を開いた。

    第三者委員会が26日、「不正の証拠はないが、出場停止処分は妥当だった」と判断したことに「処分が妥当とは到底言えない」と反論した。

    今後、将棋連盟などに対し、竜王戦や順位戦への出場停止に伴う金銭的な損害、不当な疑いをかけられた名誉毀損に対する賠償を請求する可能性も示唆した。

    「竜王戦に出場できなかったことが本当に残念」

    「私の潔白を信じて応援してくれた方もたくさんいまして、その方たちに申し訳なく思っております。竜王戦に出場できなかったことが本当に残念」

    会見は、三浦九段の言葉から始まった。

    第三者委員会は前日の会見で、三浦九段の不正を疑われる根拠となった離席行為がそもそもなく、対局中の監視でも不審な行為は認められなかったと報告している。

    三浦九段は「発端の事実認識が間違っていたのなら、疑われる理由がそもそもなかったのでは」と悔しさをにじませる。

    三浦九段の代理人の弁護士は、第三者委員会が報告の中で「不正の証拠はないが、竜王戦開幕を数日後に控えた状態では、出場停止処分はやむを得なかった」としたことに対し、

    • 竜王戦七番勝負では、金属探知機による検査の導入がすでに決まっており、スマホ持ち込みを防ぐ手段は取られていたこと
    • 疑惑が持ち上がったのは直前ではなく、協議や対応の時間は十分にあったと思われること
    • 根拠が薄い状態であれば、一方的に挑戦権を剥奪する方が将棋界の権威や信頼を損ないかねないこと

    などから、「とりうる現実的な選択がほぼなかったとする判断は、雇い主である将棋連盟に寄り添ったものであり、妥当とは到底言えない」と反論した。

    「無理なんでしょうけど、元の状態に戻してほしい」

    弁護士は、今後の連盟側に対する姿勢について、以下のように言及した。

    「出場停止処分になったことで、三浦九段が金銭的に被害を被ったことへの請求は当然。加えて、不当な疑いで名誉を毀損したことに対する賠償や謝罪も求めていきたい。具体的な点はまだ決まっていないが、今後連盟側の方針や対応も見つつ、協議を進めていく」

    三浦九段は、将棋連盟に求めることを聞かれ、目に薄く涙を浮かべながらこう話した。

    「無理なんでしょうけど、かなわないだろうけど、竜王戦を……元の状態に戻してほしい」

    「2カ月半、将棋の勉強どころではなかったので一刻も早く元の環境に戻れれば。今は少しでも早く復帰して頑張りたい。結果を出さなければいけないと思っている」

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