香川県を走る高松琴平電気鉄道(ことでん)で、青と黄色のウクライナカラーの車両の運行がスタートしました🚃🇺🇦
国外へ避難する人々や生活必需品、医薬品を運ぶため、戦火のなかも運行し続けている国営ウクライナ鉄道。駅員や乗務員も日々危険と隣合わせで、現実に鉄道駅を狙ったミサイル攻撃で50人以上の死者も出ています。
過酷な状況にあるウクライナの鉄道事業者を思い、遠く日本から「連帯を示すため」に実施したという今回のカラーリング。込めた思いを聞きました。
ことでんイエローを生かして
「いつものようにホームで電車を待っていた時、『そういえば、(ウクライナの国旗と)同じ黄色だ』と気づきました」
発案者は、若手社員の一人である地域開発本部の今井恭子さん。思いついたきっかけをこう話します。
改めて見てみると、会社のロゴも青と水色。ことでんのキャラクターであるイルカの「ことちゃん」も青。
「考えてみれば、ことでんは青にもゆかりがあるなぁと……。私たちの車両を通して、ウクライナへの連帯を示せないか? と社内で提案したのが3月中旬頃でした」
「ことでん」琴平線の車両は、本来は白と黄色の2色です。車体上部を青に塗り、ウクライナの国旗と同じ色に模様替えすることを提案しました。
社内で調整し、約1ヶ月の準備期間を経て、琴平線の20編成のうち、1編成(2両)がウクライナカラーにチェンジ。4月19日に運行開始に至りました。
「命がけで運行を続ける鉄道会社とその職員を応援したい」
公式Twitterでは、今回の特別車両に込めた思いをこんな風に語っています。
「公共交通が政治的なメッセージを出しているという批判も一部頂いております。それも社内で議論しましたが、鉄道事業者としては非戦闘員であるウクライナの鉄道事業従事者が、戦火の中運行を続け、攻撃を受け多数死亡している事実を目の前にして、彼らへの連帯を示すことが過度に政治的だとは考えません」
「様々な考えがあるのは承知しています。一部の方を不快にさせているのであれば、お詫びします。ただ、鉄道会社として、命がけで運行を続ける鉄道会社とその職員を応援したいという気持ちが募り、会社としてこのような判断をしました」
4月15日付で社内に配布した資料でも、強い思いが語られました。
社員の皆さま、ご存じでしたか? ウクライナ国旗の配色は、当社ロゴとことちゃんの青、琴平線の黄色にそっくりなのです。
ロシア軍の侵攻から約1カ月半が経ちました。実際に壊された線路や駅、地雷による職員の殉職などがある中でもウクライナ鉄道は運行を守り、これまでに避難民 300 万人以上を乗せて隣国へ、また、医薬品や食料を乗せて国内へと走り続けています。
ウクライナで鉄道の運行を担っている人々は、元々は私たちと同じように日常の平和な風景の中、鉄道を走らせていたでしょう。
しかし今や、その日常が奪われ、死の恐怖と戦いながら、命にかえても人々を守ろうと鉄道を走らせています。当社は同じ鉄道事業者として、その人々に敬意を表するとともに、世界平和に向けて、下記の取り組みを実施することといたしました。
車両には平和への祈りを込め、英文でメッセージを記載しています。
We stand with you. To the Ukrainian railway operators working to protect people’s lives - We wish for world peace.
訳:私たちはあなた方と共にあります。人々の命を守るために働く、ウクライナの鉄道従事者たちへ。世界平和を願っています。
チャリティグッズも販売
乗客や全国のことでんファンにもウクライナへに思いを寄せるきっかけにしてほしいと、一部の駅に募金箱を設置。
5月3日には、売上をすべてウクライナ大使館に寄付するチャリティステッカー(500円・税込)の販売も開始します。
ウクライナカラーの車両は、4月19日から11月中旬頃まで運行予定。
「私たちの思いが、何かしらの形で現地の方にも届いたらうれしいです。ぜひ全国からも乗りに来ていただければと思います」(今井さん)