「女性の社会進出を否定するもの」日本スポーツとジェンダー学会、森喜朗氏の差別発言に声明

    森喜朗氏の女性差別発言に対し、「日本スポーツとジェンダー学会」が緊急声明を発表。森氏の発言のみならず、その場に居合わせたスポーツ関係者の反応も含め強く非難している。

    「日本スポーツとジェンダー学会」が2月4日、国内外から批判を集めている東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会長の森喜朗元首相(83)の女性差別発言に抗議する緊急声明を発表した

    森氏の発言のみならず、その場に居合わせたスポーツ関係者の反応も含め、「性にもとづく差別が日本の体育・スポーツ界をリードすべき立場にある組織に蔓延していることのあらわれであると判断されてもやむを得ないもの」と強く非難。

    森氏の一連の発言が「客観的な証拠に基づかず、女性の特性を恣意的に作り上げ貶めるものであること」「スポーツ界のみならず、日本社会全体の女性進出が非常に遅延しているという問題の重大さを認識しておらず、女性の社会進出を否定するものである」とも指摘している。

    「オリンピック・パラリンピックは、巨額の税金が投入される公共性の高いスポーツイベント」であり、お詫びと撤回で終わらせずに「今後このような性差別的認識や男女不平等を具体的にどのように改善していくのか、明確な方針と具体策の提示を求めます」と結んでいる。

    また、国際オリンピック委員会(IOC)によって定められたオリンピックの根本原則を示す「オリンピック憲章」や、2014年のIOC総会で採択された40の提言「オリンピック・アジェンダ2020」、東京都の「人権施策推進指針」など、東京大会開催にあたって尊重すべき5つの理念や方針、条項に反する発言であることも具体的に指摘している。

    声明文は以下の通り。

    2021年2月3日に開かれた公益財団法人日本オリンピック委員会の臨時評議員会において、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、東京2020組織委員会)会長を務める森喜朗氏が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」「(女性は)競争意識が強い」といった趣旨の発言をし、さらに「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」という意見を否定することもなく紹介したことが報道されています(読売、朝日、日本経済、毎日各紙、NHK、2021年2月3~4日)。

    この発言について森氏は、2月4日午後に開かれた記者会見において「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であった」と認め、発言について謝罪、撤回しました。

    日本スポーツとジェンダー学会では、創立から20年の間、こうしたスポーツ界における性差別的な認識と組織のあり方を批判的に検証し、改革に必要な情報の提供を行ってきました。しかし、森氏の発言と発言時にその場に居合わせたスポーツ関係者の反応は、性にもとづく差別が日本の体育・スポーツ界をリードすべき立場にある組織に蔓延していることのあらわれであると判断されてもやむを得ないものでした。

    日本スポーツとジェンダー学会執行部は、森氏のこの発言が客観的な証拠に基づかず、女性の特性を恣意的に作り上げ貶めるものであること、また、スポーツ界のみならず、日本社会全体の女性進出が非常に遅延しているという問題の重大さを認識しておらず、女性の社会進出を否定するものであると受け止めました。

    森氏は東京2020の組織委員会会長という立場であるだけでなく、現公益財団法人日本スポーツ協会最高顧問、元首相でもあり、日本のスポーツ界、ひいては日本社会全体に長期に渡り、大きな影響力を持つ立場にあります。

    オリンピック・パラリンピックは、巨額の税金が投入される公共性の高いスポーツイベントです。その組織委員長として、日本スポーツ協会の最高顧問として、今後このような性差別的認識や男女不平等を具体的にどのように改善していくのか、明確な方針と具体策の提示を求めます。

    お詫びと撤回という、発言がなされた場だけを捉えた反応や対応ではなく、日本のスポーツ界が真にこの問題と向き合い、より良い方向に向かうための言葉こそが、スポーツに関わる組織のリーダーに求められています。

    (以下、本発言に関連する具体的な方針、条項の抜粋は略)

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