「住所くれ、会いに行くわ」大好きなYouTuberに、289日間メッセを送り続けたら“奇跡”が起きた

    YouTuberヒカルのもとに毎日欠かすことなく動画の感想を送ってくるファン。300日近く経った時、実は彼が難病を抱えていることを知ります。大きなハンデを背負いながら前向きに行動し続けるファンと出会い、ヒカルが語ったこととは。

    289日間、フォロワー約200万人のトップYouTuberに毎日DMを送り続けるファン。返事もこないのに、ひたすら動画の感想を送り続けた彼の目的は、実は……。

    YouTuberヒカルが、難病を抱える自分のファンに会いに行く動画が話題を呼んでいます。公開から2日で100万再生を超え、SNSやコメント欄で多くの感想が寄せられています。

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    「僕は歩けないから会いに行けない」289日間ずっと毎日ヒカルに会いたいとDMをしてきた少年に会いに行きました

    深夜2時のDMに即レス「住所くれ、会いに行くわ」

    彼は、ヒカルが出演した動画の感想を、毎日欠かさず長文で送ってくる一人のファンでした。

    アイコンや名前は認知していたものの、返事はおろか、一度も反応しておらず、すべてに目を通しているわけでもなかったと言います。

    そんなある日、289日目に送られてきたメッセージには「ヒカルさんに会いたいです」とありました。「こんなファン他にもいるし、だからと言って会うわけないっていう。で、このあとなんですよ」。

    僕は車椅子で身体も弱く、筋力もほとんどありません。イベントにも行きたいですが、家族に連れていってもらう必要があり、都合を考えるとなかなか難しいです。

    ヒカルさんが動画にできるような内容であれば、なんでもお話します。もちろん可能なら、障害者に関するお話をしたいです。

    自分には大きなハンデがありますが、それでもヒカルさんのような影響力をつけたり、世の中に貢献できる人になろうと頑張っています。そのためには何か行動しないときっかけもできないので連絡させていただきました。

    深夜2時45分に送られてきたこのDMを、たまたますぐに開封したというヒカル。

    300日近くDMを送りながらも、自身に障害があることをこの時までまったく明かしていなかったため、かなり驚いたと言います。7分後には「住所くれ、会いに行くわ」と返事をしました。

    普段はファンにこちらから会いに行くなんてことは絶対しないと念押ししつつ、自分のためでもあると強調します。

    「何かこの子から得られるものがあると思った、俺自身が。この子も俺にあって勇気もらったり希望もらったりするかもしれないけど、多分俺自身も何かをもらうんですよね」

    289日間ずっとDMしてきた子に会いに行ってきました

    色々と考える成長の場をありがとう pic.twitter.com/pI2FD5S9MB

    — ヒカル【NextStageへ】 (@kinnpatuhikaru) May 22, 2023

    涙ぐみ言葉に詰まる場面も

    289日間DMを送り続けたファン――まなとくんの病気は、脊髄性進行性筋委縮症。身体の筋肉が少しずつ衰えていく難病で、進行を遅らせることはできても、完治に至る治療法はありません。

    まなとくんは1歳の頃に病気がわかり、20歳に至る今まで少しずつ身体が動かしにくくなっていると言います。車椅子で生活し、食事や排泄など日常生活全般に介助が必要です。

    そんな中でも在宅で仕事をし、趣味のゲームやアニメ、YouTube鑑賞を楽しんでいると言います。

    車椅子のかたわらに座り込み、「自分の運命を簡単に受け入れられたのか?」「夢はあるん?」など聞いていくヒカル。

    「人生楽しい?」「はい、めちゃくちゃ楽しいです」。ヒカルの動画がなぜ好きか、自分も発信力をつけたいという思いを語ります。

    明るい語りぶりとは裏腹に、筋力が落ち、大好きなゲームが少しずつできなくなっている現実は感じる。完治に至る治療法はないうえに、今できる治療も痛みをともなって辛い。

    それでも「少しでも進行を遅らせられるならやる」「10年後どうなっているか不安になることもあるけど、考えても仕方がない。今できること、やりたいことををやる」。

    そう前向きに話すまなとくんを前に、ヒカルが涙ぐみながら言葉を詰まらせ、沈黙ののち「……凄いな」と言葉を絞り出す場面もありました。

    「俺は俺のために雇うから。情とかではないから」

    動画編集を勉強しているというまなとくんが、勇気を持って言い出したヒカルへのお願いは「もしよければ、僕を雇っていただけないでしょうか」。

    「まさかそんなこと言われると思わなかった」と戸惑いながら、動画のテロップを作成する仕事ならまかせられるかも、と現実味を帯びていきます。

    ファンだから、障害者だから、かわいそうだからという理由でOKを出したのではないと強調するヒカル。

    「情で雇うのはしたくない、持ってるスキルに見合ったことがあるなら」

    「そのうえで、ハンデを持った編集者がいるってことがどっかに影響を与えるんじゃないか」

    と“雇う”ことで関わり続けようと決めます。

    そして、今日まなとくんに会ったことは自分にも大きな学びと刺激になったと改めて語ります。

    「ただまっすぐに生きるだけで人に勇気を与えられる存在ってことやん。ハンデを背負ってる分、普通に生きていることが『凄い!』になるわけやから」

    「今日会って『あ、(自分も)もっと頑張ろう』って思ったな。その気持ちって薄れたり忘れたりしていくけど、雇っておけば忘れないもんな」

    「って考えたらこっちからしたら安いもんやな、払う給料なんて。俺がやる気になったらそれよりはるかに稼げるから(笑)」

    「だから、俺にもメリットしかないから。俺は俺のために雇うから。情とかではなく」

    「役に立てよ、俺の」。応援と期待が込められたヒカルらしい熱いエールに、まなとくんもその日一番の笑顔で「はい!もちろんです」と答えました。

    「誰かから必要とされるなんて嬉しいだろうなぁ」コメント欄にも熱い声

    70分を超える長い動画にもかかわらず、YouTubeでは公開2日で130万再生を突破。コメント欄には、25日現在で5000件以上のコメントが寄せられています。

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    「俺の役に立てよ」って言葉がほんとに心に染みた。社会から排除されてきた部分があった中で、誰かから必要とされるなんて嬉しいだろうなぁ、、

    医療従事者で、障害児の病棟にいたけど、医療従事者でもなかなか関わるの難しい人もいるけど、ヒカルさんは障害者に対して、物応じせず、特別扱いせず普通の人と対等に接しててほんとすごいと思う。こういう世界があることを発信することで、生きやすくなってほしい。

    特別支援学校教諭です。自分も毎日障害のある子どもと関わる中で本当に色々なことを子どもから学ばせてもらっています。自分自身教師という立場ではありますが、私は子どもたちが教師であると思っています。この動画を見て勇気と希望をもらった人は私含め多くいるのではないかと思います。

    自閉症児を持つ母です。「毎日楽しくて幸せ」って言えるマナト君も、そう思ってもらえる環境を整えてきたご両親にも頭が上がりません。

    動画への反響を受け、まなとくん自身もTwitterアカウントを開設。

    「このような機会を作ってくださったヒカルさんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!」と伝えています。

    このような機会を作ってくださったヒカルさんには感謝の気持ちでいっぱいです🙇‍♂️
    本当にありがとうございました!@kinnpatuhikaru@hikaru_casalert https://t.co/PcdHjerEWh

    — まなと (@Manato_200373) May 22, 2023