• medicaljp badge

新型コロナの影響で相次ぐイベント中止。主催者はどう判断すべき?参加者にできることは?専門家に聞く

新型コロナウイルスの国内感染拡大を受け、中止になるイベントや展示会が多数出ている。主催者はどう判断すべき? 参加者が気をつけることは? 川崎市が専門家による解説動画を公開した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の広がりが懸念されている今、不特定多数が集まるイベントの開催・参加にあたって私たちは何を注意すべきか?

川崎市が、同市の健康安全研究所所長・岡部信彦さんによる解説動画を公開しました。

内容は、以下の通り(※インタビューは2月21日に実施し、その時点の情報に基づく)。

1.国内で感染が続々報告される中で、主催者にとっては開催すべきかの判断が難しい。どう考えればいいか?

先日の専門家会議でも話し合ったが、イベントといっても、大きなものから小さなものまでいろいろあるが、全部中止あるいは見合わせた方がいいだろうと決められているわけではない。

イベントの規模や種類によって異なるし、地域によっても、まだ患者が全然いないところから、少し出始めたところまであり、考え方は違ってこなくてはいけない。

委員会の専門家たちの間では、例えばマラソン、スポーツ観戦するスタジアム、劇場など、ウイルスがバッと広がることはない空間で感染する可能性は少ないだろうと意見が一致した。

しかし、すぐ側に病気の人がいた場合は別。コロナウイルスに限らず、比較的狭いところで人が集まって、2〜3時間一緒に話をしたり、長い時間おしゃべりをしているようなところが一番感染が広がりやすいと考えられる。そういうところは、今のところは少し遠慮してもらった方がいい。

その上で、もしイベントを実施するとすれば絶対守ってもらいたいのは「風邪のような症状で調子が悪い」「熱が出ている」「咳が出ている」などの人は参加を自粛すること。

「症状のある人はできるだけ来ないでほしい」と呼びかける、念の為に手をよく洗うようにする、アルコール消毒を置いておくなどの工夫があると安心感に結びつくのでは。

先日WHO(世界保健機関)からも発表があったが、中国を含めて8割の方は軽い症状で治まっており、2割の重症になる方は、お年寄りや糖尿病や心臓病の持病がある方が多い。

そういうリスクファクター(危険な要素)がある人はやはり普通の方よりもさらに気をつけた方がよい。イベントに行くのはやめて、他の楽しみ方を見つけて過ごしていただくのが、自分にも安全だと思う。

コロナウイルスに限らず、インフルエンザやその他の病気に関してもうつりやすい状況なので、できるだけ遠慮していただく。これが一番中心の考え方。

2.主催する側として気をつけることは?

比較的狭いところに集まって、換気があまりよくないという環境は避けてほしい。人同士の間隔をあける、換気をよくする、「手を洗う場所はここ」と誘導する、アルコールの消毒剤を用意するなどの対策が考えられる。

「具合の悪い方はご遠慮ください」と早めに、最初にお伝えすることもやっておいた方がいい。この病気がどこかで発生したときに広がりを少しでも抑えることにつながると思う。

3.元気な参加者であっても、気をつけることは?

とても元気がよければ、その方自身がかかるリスクが少なく、仮にかかったとしてもその後のリスクはずっと低い。

もしかかってしまった場合は、先に申し上げたのと同じように「ちょっとお休みしてください」「人混みに出ないようにしてください」などの注意は同じになる。

でも、元気な方、特に病気(新型コロナウイルス)と接触したことがない方であっても、狭いところでたくさん集まって、換気がよくないところで長時間濃厚接触……例えば2.3時間おしゃべりしているというようなことになると、気をつけたほうがいいだろうということになります。

4.「不要不急の外出を控えるべき」とも聞くが、具体的には?

繰り返しになるが、健康な人を中心に、約8割が軽い症状で落ち着いている。残りの2割になりえる基礎疾患や持病を持っている方は早めに気をつけたほうがよく、できるだけ集まりに参加しないでほしい。

ずっと行けないというわけではないので、今回は別の楽しみ方や別の方法をとってもらった方がご自身にとっていいと思う。

まとめ

・濃厚接触を避ける(狭い空間で長時間の共有)

狭い空間で長時間(2〜3時間以上)いるのは――私たちはこれを濃厚接触と言いますが――これはやっぱり避けたほうがいいだろう。

・風邪症状の人は参加をしない。学校職場を休む

咳や発熱などの風邪症状がある方は、もちろん参加をしないで様子を見ていただきたい。学校や職場も休んだほうがいい。

これはもちろんコロナウイルスだけでなく、インフルエンザやマイコプラズマ肺炎、その他のウイルス性肺炎でも同じ。症状の始まりでちょっと具合が悪い時は「人混みに行かないで」というのも共通で、学校や職場を休んでくださいね、となる。

なかなか職場から離れられないのはあるかもしれないが、病気が流行しそうな時には全体でうつさない、あるいはうつらないためにも、職場を休んでほしい。電話やWebなどさまざまなリモートワークの方法も活用してほしい。「病気がちの時はゆっくり休んでください」という世の中が、僕は必要だと思う。

・“うつらないようにする”だけでなく“うつさないようにする”気持ちが大切

「うつらないように」は皆さんもちろんそう思うでしょうが、「うつさないように」という意識も大切。

コロナだけでなく、他の病気でもうつしたらいけない。ちょっと具合が悪そう、感染症のような状況の時は、お家にいていただく、様子を見ていただく、あるいはもちろん具合が悪くなったら医療機関や相談センターに相談をしていただく。その時は他の人との積極を避けるように気をつけてほしい。

厚生労働省は「開催の必要性の検討」を要請

厚生労働省が2月20日に発表したイベント開催に関する声明は以下の通り。

新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐためには、今が重要な時期であり、国民や事業主の皆様方のご協力をお願いいたします。 

最新の感染の発生状況を踏まえると、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。

イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。

また、開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただくようお願いいたします。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただくようお願いいたします。

国民の皆様においては、風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動にご協力をお願いします。特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方については、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に御注意いただくよう、お願いいたします。

そのためには、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であり、テレワークや時差通勤も有効な手段であります。関係の皆様のご協力をお願いいたします。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の感染の広がりや重症度を見ながら適宜見直すこととしています。

フル動画はこちら(約13分)

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com