お笑い芸人「フォーリンラブ」のバービーさんとピーチ・ジョン(PEACH JOHN)がコラボしたコレクションが2月5日に発売されました。

デザインや着け心地の異なるブラジャー3種、パンティ4種を展開。C65〜G90と幅広いサイズをそろえ、さまざまな体型の女性の悩みに寄り添います。
バービーさん自身がデザイン画を描き、コンセプトから細かい素材までフル監修。
「ブラが合わずにアザになった」「シルエット重視だと跡がつく、リラックス重視だと胸の形が崩れる」など、実体験に基づく不満や悩み、SNSで寄せられた多くの女性たちの声を踏まえて作られています。

発売日には、ピーチ・ジョン公式通販サイトに通常の10倍以上のアクセスが殺到。
「発売前から期待が高まっていることは感じていたが、想像を大きく上回る売れ行き」(広報)で、1分間に100枚以上が売れ、数分で完売したサイズもあったそう。
「買えなかった」「もう一度チャンスを」という声が殺到し、人気商品1シリーズ1色の再販を急遽決定したほどの大反響となりました。

「とにかく自分の体を誇らしく思ってほしい」「あなたの体は、あなた自身のもの」
この大反響は、単にタレントコラボの力ではありません。今の時代を生きる一人の女性として、バービーさんがブラジャーに込めた強いメッセージがありました。

「しっくりくるブラ」=幻の生き物
――「ブラジャー」に対して、並々ならぬ思いがあったのでしょうか。
もうね、不満だらけですよ。人生ずっと。つけはじめた中学生くらいからず〜〜っと!
ぴったりつけられるサイズがそもそも少ない。機能性を重視したらデザインが不満。ひとつ満足したら何か足りない……その繰り返しでした。
「いつかしっくりくるものに出会えるはず」と漠然と夢見ていましたもん。白馬の王子様とか幻の生き物レベルですよ!

私、カップサイズがG80なんですが、これがまたちょうど微妙なところなんですよね〜。普通の下着屋さんだと「FまではあるけどGはない」とか「アンダー80からは大きいサイズ専門店になる」とか、ギリギリ自分のサイズに出会えないことも多かったんです。
もっとボンと大きかったらきっぱり諦めがついていたのかもしれないけど、「あとちょっと小さければこれがつけられたのに!」「なんで私はみんなと同じものから選べないんだろう?」とフラストレーションがどんどん溜まっていきました。

――今回のコラボはバービーさんからの持ち込み企画だったとお聞きしました。
20代の頃から趣味で中国の下着工場の検索とかはしていたんですけど、自分で作りたいと明確に思っていたわけではなかったんですよね。
知人に理想の下着についてアツく語っていたら、「そこまで言うなら自分でやってみたら?」と言われたことがきっかけで、数年前から本格的に動き始めました。
いろんなブランドの店舗に行って研究して、メーカーさんを回って「こんなのを作りたいんです!」とプレゼンしたんですが、もう全然ダメ。お断り続きで。
諦めかけていた時に、知り合いのスタイリストさんが「ピーチ・ジョン、行った?」と紹介してくれたんです。これが最後のチャンスだと思って、デザイン画も用意して、かなり気合を入れてプレゼンに臨みました。
――デザイン画の時点で、完成した商品にかなり近いですね。
提案した3パターンそれぞれに利用シーンとコンセプトをきちんと用意しました。それくらい私の中ではやりたいことが明確だったんです。
どれか一個でも商品化できればと思っていたのですが、ピーチ・ジョンさんがどれも気に入ってくださって。全種類やりましょう! とお返事をいただいたのはうれしい驚きでした。
――タレントさんプロデュースの商品って最後にデザインや色を選ぶ、くらいのことも少なくない印象があります。
私も「これで」「あれで」くらいで済むならそうしたかったですよ!(笑)
何度も断られる中で、自分程度のタレントのネームバリューではどの企業も動いてくれないんだなって思い知りました。
「芸人・バービーなんで」作りたいんです、じゃなくて「一人の女性として考え続けた理想のブラを」作りたいんです、という方向から熱意を伝えたからこそ実現できたんだと思います。
みんな言えなかっただけなんだ
――2019年8月にInstagramでブラ作りを進めていることを初めて公表。多くの女性から切実な悩みが寄せられました。
すごかったですね。こんなにコメントついたこともなかったし、「人に見られる場所に書くのは恥ずかしいから」とわざわざ長文のDMをくれた人もたくさんいて。
昔から「私は世の下着にこんなに不満があるのに、みんなそんなことないの? もしかして自分だけ?」と思っていたんですが、そうじゃなかったんだ、みんな言わなかっただけなんだ、って心底思いました。
「ここイヤなんだけど〜!」と臆面もなく大声で言えちゃう私と違って、恥ずかしかったんですね。下着についてオープンに話せない環境があるのは、「そういうの、はしたないよね」という漠然とした社会の圧力なんでしょうね。

みなさんのコメントを見てあらためて感じたのは、胸やお尻ってコンプレックスを持ちやすいところなんだってこと。
異性の目もあるし、小さくても大きくても揶揄されるし……恥ずかしい、隠したいって思いを抱えている人が本当に多い。それだけ誰かの目を意識しちゃってる、比較しちゃってるってことですよね。
でも、本当は全然違うじゃないですか。あなたの体は、誰かのものじゃなくて、あなた自身のもの。鏡の前で下着姿になって「なかなかいいんじゃない?私の体」って自信を持ってもらえる下着を作りたいと思いました。
――「#気高いおっぱい」というハッシュタグに通じますね。
シルエット重視だと跡がつく。 リラックス重視だとどんどん胸の形が崩れる。 私自身がずっと悩んできたことを、ぎゅっと詰め込みます。 すべてのおっぱいが気高く胸を張れる毎日を送れますように!! #バービーのランジェリー #ユニバーサルサイズ #universalsize #気高いおっぱい 始動です!
まさにそうです! とにかく自分の体を誇らしく思ってほしい、というのがこの商品たちに込めた一番のメッセージですね。
もちろん中には「大きい胸がコンプレックスだから、目立たず小さく見えるブラがほしい」という声もありました。それもひとつの大事なニーズのひとつだと思うんです。
でも私は、今みんなが社会から受けている抑圧、時代の流れを感じて、まずは女性性を認める、女性であることを目一杯楽しむためのものを作りたいと思いました。
――バービーさんはご自身の体にコンプレックスを抱いた経験はありますか?
人並みに落ち込むことはあるけど、体のことで傷ついたり悩んだりしたことはないかなぁ。基本的に我が強いので(笑)、学生時代も周りを気にせず好きな格好をしていたし、自分だけ浮いていても全然気にならなかったし。
でもね、私のようなタイプはからかわれたり卑猥なことを言われたりしても「は? 何バカなこと言ってんの?」って聞き流せるけど、世の多くの女の子たちは、たわいもない言葉で本当に傷ついているんですよ。
「胸ばかり見られてイヤだ」「もっと小さく見せたい」って本気で思っちゃうんですよ。言っている側にとってはめちゃくちゃ無責任な、すぐに忘れる軽口なのにね。
だから、「そういうの真に受けなくていいんだよ!」は大声で伝えていきたいですね。しょうもない言葉で植え付けられたコンプレックスを浄化したい気持ちは強くありました。

「プラスサイズ」にしちゃったら意味なくない?
――今回のコラボブラ3種類は、いずれもカップはC〜G、アンダーは65〜90センチをそろえる幅広いサイズ展開。「プラスサイズ用」のラインナップでないところにも意思を感じます。
結局、既存のラインナップからあぶれたものを「プラスサイズ」って言っちゃったら元も子もなくないですか?
「そっか、私、“普通”の枠に入れてもらえないんだ……」ってなっちゃいますよね。同じ悩みを、同じ“かわいい”を、みんなで共有したい思いは強かったです。

私は「大きい人」の側ですが、突き詰めていけば、ほとんどのブラに対するお悩みは「大きい人の悩み」「小さい人の悩み」でなくて、「みんなの悩み」だと思うんです。
例えば、ブラをつけた時の背中の段差が気になる人って、私も含めとても多いと思うんですが、それって胸の大きさに関係ない。何枚も布が重なった、縫製が分厚い部分があると、そこだけに圧がかかって段差ができてしまうんですよね。
なので、例えば「クイーンブラ」は、生地に幅広のストレッチ素材を選んで、全体的に着圧をかけることで引き上げています。
しっかりホールド感はありつつ、肌や体に無理がないように。通常より柔らかいワイヤーを選んだり、サイドボーン(胸を支えるワイヤー)の代わりにテープを使ってバストを流れるのを防いだり。素材は気をつけて選びました。
“私”のためのセクシーランジェリー
――最もメッセージを込めたという「クイーンブラ」。他にこだわったポイントは?
とにかく、まずはセクシーにかわいく! ローズ柄のストレッチレースで透け感もあって「ザ・セクシーランジェリー」な感じに仕上げています。
クイーンブラは、1番私がメッセージを込めた作品です。今まで『自分には似合わないかも』と、ストラップデザインやソング(Tバック)を避けてきた方にも、楽しんでもらいたい! ぜひセクシーな自分の下着姿を見て高揚してください。#気高いおっぱい
私がずっと探し求めていた「モールド×超脇高」が実現できたのも本当にうれしかったです! 薄いレースや布じゃなくて、クッション性がある立体的なモールド素材を使ったかわいいブラって全然ないんですよねぇ……大きいサイズになるとなおさら。

若い頃に「理想のモールド」に恋い焦がれすぎて、個人で工場に注文できないのか調べたくらい、思い入れがあるパーツなんです。さすがに個人発注は無理だったので、今回こうして夢がかなってよかったです(笑)。
――専門用語を交えたアツい語りっぷり、下着への愛が伝わってきます……!
そりゃもう!! 20年くらいずっと考えてきましたからね!
超脇高のサイドベルトも最高ですよ〜。脇や背中のお肉をぎゅっとカップに入れ込んでくれるので、胸周りがスッキリ見えます。「え〜こんなにきれいなシルエットになるんだ!?」と絶対テンション上がります!
――真っ赤と真っ黒! という思い切ったカラーも素敵です。

絶対ド派手な赤にしたくて。生半可な色にはしない、そこはこだわりました。黒はちょっと勝負しすぎかな? とも思ったんですけど、好評でよかったですね〜。着ると本当にセクシーでかわいい!
デザイン自体も、最初はもっと海外ブランドであるような、胸元でストラップがギャンギャンにクロスしているような、めっちゃエロいやつにしたかったんですよ。
でも「カップが大きくなると耐久性に難あり」という機能面や「あんまり大胆すぎるとうちのユーザーさんが着いてこられないかも」というピーチ・ジョンさんのお声を受けて、少しずつ外側に移動して妥協点を探っていきました(笑)。
最終的に、デザイン性も残しつつ、胸全体を引き上げる役目も担ってくれる位置になって大成功でした。
ちなみに私のエロさへのこだわりは、中央の編み上げ部分に残っています。ここ本当にお気に入り! ちょっと透けていていい感じです!
「なんか買っちゃった!」なノリで楽しんで
――ボトムがパンティとソング(Tバックタイプ)の2種展開なのもすごいです。
これもピーチ・ジョンさんとの攻防の末……ですね。私は「絶対ヒモっぽいセクシーなやつ!」と思っていたんですが、勇気が出ない方もいると思うので、2種類用意していただきました。

ソングはねぇ、3Lなんて大きいサイズ、ほとんどないですよ。売ってない。作れて本当によかった〜!
私自身も「履けるサイズこれしかないし、これで」じゃなくて「これがいい!」を選べるのがすごくうれしいです。腰の部分の紐を2本にしているので、カジュアルなジーンズにあえてのチラ見せ、とかすっごくいいと思います。
こういうヒモヒモした頼りない(笑)下着、使ったことない人もいっぱいいると思うんですけど、せっかくなのでこのチャンスに楽しんでほしいですね。
「なんか買っちゃった! 見せる相手いないけど!」ってノリで買ってくれていい。家の鏡の前で履いて「わ〜〜お! なんかセクシーじゃん!?」なんて一人ファッションショーしてくれたらうれしいですね。
プリティーウーマンブラは、日々に追われながらも毎日アクティブな女性をイメージして作りました。 胸元は楽に、でもおっぱいの形を崩したくない人へ。 脇肉を優しくそっと抑えつつ、モールドカップで綺麗なバストシルエットを保ちます。 #プリティウーマンブラ
ワナビーノンワイヤーブラトップは、休日に部屋でひとりお気に入りの音楽にウキウキしてる女性をイメージして作りました。 着け心地抜群なのに、シルエットがとても綺麗に出ます。 作った私も驚くほど。 従来の“ワイヤーで盛り盛りブラ“に疲れたときに使ってほしい作品です。
「本音、隠さないでいいんだ」
――「料理は趣味なのに、勝手に男を落とす武器とみなされる」「『胃袋を掴む』という言葉がしんどい」など、女性としての “本音”を語るFRaUでのWeb連載「本音の置き場所」も好評です。これまであえて話してこなかったんでしょうか。
FRaU WEBにて、連載スタートしました。なかなか大きい声じゃあ言えなかった本音を綴ってみようと思います。 https://t.co/Yj5NM7ppbf
そうですね、隠していた……かな。本業が芸人・タレントですから、あえてそれを邪魔する必要はないかなと思っていました。
でも6月にアキレス腱断裂という大怪我をして、テレビタレントとしての価値も揺らいだところがあって。ちょうどその時に、テレビよりも自由に喋れるラジオという場所に呼んでもらえたんですよね。
「今までこんなこと考えていたんだよ」と初めて素直に話してみたら、予想以上に反響があって。「本音、隠さないでいいのかな」とようやく思えるようになりました。
今まで芸人として言ってはいけないと思っていたこと、初めて本音で話しましたよ。 #action954 #TBSラジオ みんなの反応嬉しかったので、いいね押して回ります。
――パワフルな言葉に勇気づけられた人は多いと思います。そんなバービーさんの思想を体現する下着を発売した今、あらためて反響を受けて考えたことはありますか?
20歳くらいの頃、白Tシャツにノーブラで乳首ガンガン透けさせて過ごしてやろうと思っていた時期があるんですよ。「もういい! 全部やめ!」みたいな……その頃の自分にとっては、それが世の中への反骨心の示し方だったんでしょうね。
それくらい、ブラジャーって特別に女性を縛ってくるものじゃないですか。物理的にはもちろんですが、多分社会的にも。
今の私は、ブラジャーを捨てるんじゃなくて、ブラジャーに縛られていたものを取り戻したいと思うようになったんだと思います。
下着って、生活をハッピーにする力があると思うんです。素敵なブラをつければ、自分のイケてるおっぱいでアガれるし、将来の自分もきれいな胸でいられるでしょ。
他人のためじゃなくて、自分のためのセクシーを。それが今、私がみんなに届けたい、みんなと共有できたらうれしい価値観です。

バービー(フォーリンラブ)
1984年北海道生まれ。2007年、お笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成しデビュー。男女の恋愛模様をネタにした「イエス、フォーリンラブ!」の決め台詞で人気を得る。
TV、ラジオ、雑誌と多数出演。昨年末開設したYouTube「バービーちゃんねる」が好評配信中。