「12歳の次女が作文の宿題をめんどくさがっていたので、ChatGPTさんにAI家庭教師してもらった」
漫画家のうめさんによる、娘さんとAIのやりとりを紹介するツイートが大きな話題を呼んでいます。
次女(12)が作文の宿題がめんどくさいらしく、ウダウダしていたので、プロンプト書いて ChatGPTさんにAI家庭教師してもらった。
人間とちがって、焦ったり、恣意的な誘導をしたりしないの素晴らしい。AIさんが相手してくれるよ、と言ったら、かなり前のめりに。
双方ちょっと誤読もあるけれど、ものの10分くらいで「あと書けそう!」となっていたのでよかったー
「とても良いAIの使い方」「凄い時代だ!頭の整理に活用できそう」「こういう使い方ができないとこれから先、生きていけなさそう…」など、同じ年代のお子さんがいる人に限らず、大人も参考にしたいという声が多く寄せられています。
一緒に考えてくれる「AI家庭教師」誕生
作文のテーマは「小学校生活で一番心に残った思い出」でした。
いろいろ書けそうですが、6年間の小学校生活を振り返れと言われても……結構大変。
何から手を付ければいいのかわからず、手が止まってしまう娘さんの気持ちはよくわかります。
「わたしはあなたをサポートするAI家庭教師です」と会話を始めたChatGPTは、「小学校生活で一番心に残った思い出は、具体的にどのような出来事ですか?」などひとつずつシンプルな質問を繰り返していきます。
「いろいろあってわからないです」と投げやりに答えても、「大丈夫です!ひとつずつ考えていきましょう」と励ましてくれます。
「例えば友達との楽しい出来事や、先生との思い出、部活や学校行事など、何か特に印象に残っているものはありますか?」と優しく誘導。
AI家庭教師の丁寧な声かけで、数分で「6年生の音楽会で、鍵盤ハーモニカでパイレーツ・オブ・カリビアンメドレーを弾いたこと」という具体的な思い出をあげることができました。
何について書くか決まったら、あとは作文に生かせそうな細かいエピソードを掘り出していくだけ。もちろん、ここでもAI家庭教師は大活躍です。
「練習や本番で特に記憶に残っているエピソードは?」「ぶつかった困難はありますか?」「音楽が楽しくなったきっかけを、もう少し詳しく教えてもらえますか?」と、たくさんの褒め言葉を添えながら、回答を少しずつふくらませていきます。有能すぎる…!
本番で演奏して感じたこと、演奏後の気持ちまでしっかり聞いて、AI家庭教師の相談タイムは終了。
「これまでのお話から、作文のアイデアがたくさん出てきましたね」「もし、これで作文を書き始められそうであれば、どうぞお試しください」と送り出してくれました。
娘さんは10分ほどAIと会話をしたところで「あとは書けそう!」と机に向かったそう。
これは宿題に限らず、他のシーンでも活躍しそうな技。
漠然としたテーマを解きほぐし、頭を整理してくれる存在としてここまでAIが使えるとは…!
「AI家庭教師」の作り方、詳しく聞いてみた
『東京トイボックス』シリーズなどの代表作を持つ漫画家・うめさんは夫婦で活動する2人組のユニットです。娘さんも登場する育児漫画『ニブンノイクジ』も執筆しています。
一連のエピソードを投稿した、企画・シナリオ・演出担当の小沢高広さんにお話を聞きました。
――作文の書き方を一緒に考える「AI家庭教師」とてもいいアイデアだと思いました!娘さんから相談があって試したのでしょうか?
僕から提案しました。「作文書いちゃいなよ〜」と声をかけてから数日経っても、ぐだぐだしていたもので。
――AI家庭教師の人格や会話のスタイルは最初にプロンプトでどのように指示されているのでしょうか?
そんなに難しいことはしていません。
まず「あなたはAI家庭教師です。私は中学1年生です」「あなたは私が作文を書くサポートをしてください。対話を通じて、私が自分で作文を書けるようアイデアをまとめることが、目標です」と役割と目標を定義。
次に、やりとりの最初の声かけだけ、
「あなたはまず『こんにちは! わたしはあなたをサポートするAI家庭教師です。あなたが楽しく作文を書けるようお手伝いをさせてください。今日はどんなテーマで作文を書きますか?』と私に話しかけてください」
と決めておきました。
あとはルールとして
「具体的なエピソードとそのときの気持ちを明らかにする問いをしてください」
「質問は一度にひとつずつにしてください」
としたくらいです。
「その瞬間、すごく笑顔に」娘がAIを信頼した時
――これまでは娘さんから同様の相談があった時、ご夫婦のどちらかが対応されていたのだと思うのですが、AIに託すことのメリットがあれば教えてください。
対応してましたけど、なんやかんや大人は忙しいので、早く終わらせたいんですよね。それでだんだんイライラしたり、ついつい言う通りに書かせようとしたりしちゃう。
それに比べると、AIはいつまでも待ってくれるし、感情的にならない。このメリットはものすごく大きいと思います。
――娘さんの反応はいかがでしたか?
楽しそうにキーを叩いてました。「いろいろあってわからないです」という回答に対し、ChatGPTが「大丈夫です!」と答えた瞬間、すごく笑顔になっていて。
おそらくAI家庭教師に対して信頼感を抱いた瞬間だったんじゃないかと思います。
――先生ご自身も、マンガのプロットを相談する「AI壁打ち」を実践されていました。ChatGPTをうまく活用するポイントはどこにあると思いますか?
少なくとも、2023年4月時点では検索に使うのは向いてませんね。ただ、自分の考えを整理するのにはかなり向いていると思います。
やわらかい丁寧な言葉でじわじわと追い詰められていって、自分だけじゃ気づけなかった意外な思考の穴に辿り着くのがいいですね。この手の相談相手としてはすごく有能だと思っています。
あとは、心苦しい断りのメールを代わりに書いてもらうとかもおすすめです(笑)