「ゴッドハンドだ……!!」外科医の凄技が、1枚の紙で証明された!

    お医者さんへのリスペクトが止まらない……!!

    お医者さんの精密な技術が分かる動画が話題に。

    外科医がTwitter上に投稿した動画が、200万回以上再生、3万以上のリツイートと12万以上の「いいね」を集め、話題となっています。

    動画に映っているのは、ある作業をする手元の様子でした。

    リプライ欄で「お医者さんってやっぱりすごい」「すごい技術!」「素晴らしい!」などの賞賛の声が寄せられる、その凄技とは……?

    え!手術器具で折り鶴……!?

    一時期、腹腔鏡で鶴を折ることを頑張って練習していました。腹腔鏡手術のかなりいい練習になるのでオススメします。動画は10倍速なので速く見えますが実際はゆっくり丁寧に操作。数千羽折っている先生、3分を切る先生、FBでタイムや完成度を競い合っているコミュニティもあり奥が深いです。

    Twitter: @ope_naka

    この圧巻の凄技は、次の文章とともに投稿されました。

    一時期、腹腔鏡で鶴を折ることを頑張って練習していました。

    腹腔鏡手術のかなりいい練習になるのでオススメします。動画は10倍速なので速く見えますが実際はゆっくり丁寧に操作。

    数千羽折っている先生、3分を切る先生、FBでタイムや完成度を競い合っているコミュニティもあり奥が深いです。

    「腹腔鏡手術」とは、お腹に数カ所、1cm前後の小さな穴をあけて行う手術です。腹腔鏡というテレビカメラでお腹の中を見ながら行います。動画の中で使用されているのは、この手術で使用される器具「鉗子」です。

    BuzzFeedはこの投稿をした、オペ中さんを取材しました。

    オペ中さんは、地方の病院で働く外科医です。

    折り鶴で腹腔鏡手術の練習を始めたのは研修医時代のことでした。手術経験を積みたかったものの、実際の手術を多く執刀できる立場ではなかったことから、この練習を始めたといいます。

    「当時は実際の腹腔鏡手術を執刀できなかったため、余計に折り鶴にのめり込んだのだと思います。おかげである程度自信を持ち、外科医のスタートに立つことができました」

    今まで折った鶴は、約300羽!

    ご質問やご要望が多かったので、手元や画面を映した動画も少しだけアップします。腹腔鏡練習用のボックスに鉗子を挿入して折っていきます。操作中は画面を注視し手元は見ていません。折り紙は7.5cm四方です。等速だとかなりゆっくり操作しているように見えるかと思います。右手が邪魔ですみません。

    Twitter: @ope_naka

    折り鶴の際の鉗子操作の様子。

    折り鶴が折れるようになるまでの道のりは、簡単なものではありませんでした。

    1羽目は、約1時間かけて完成させ、「かろうじて鶴に見えるようなもの」に。そこから練習を重ね、今のクオリティで折れるようになったのは約50羽ほど折った時でした。

    「徐々に時間が縮まっていきました。おそらく300羽ほどこれまでに折っています。時間も約5〜6分で安定しています」

    この練習によって様々な技術が得られたと、オペ中さんは振り返ります。

    「利き手かどうか関係なく、左右の鉗子を頭で考えることなく操作ができるようになったと思います。また、平面の画面から立体を認識して操作することにもつながったかと思います」

    折り鶴を折れない≠手術が下手ではない

    オペ中さんはTwitter上での反響を受け、「腹腔鏡手術の発展や、啓蒙にある程度貢献できたと思うと嬉しいです」と答える一方で、この練習法や外科医について正しく理解してもらいたいと伝えます。

    「鶴を折る以外にも縫合など様々な練習があり、鶴を折れなくても一流の腕を持つ外科医は大勢います。また、外科医に求められるものは決して手術の腕だけではなく、他にも勉強することは多く、外科医にとって手術が全てではありません」

    「練習を続ければ必ず折れるようになります」。未来の研修医に向けてのメッセージ。

    オペ中さんは、この練習法について「鶴を折ることと実際の手術は、感覚もプレッシャーも全く違います」と強調し、「腹腔鏡手術を執刀する上で、鶴を折れるくらい自在に鉗子操作ができるとより良いという意味では、トレーニングとして有用」と説明します。

    そして未来の研修医に向けて、こうメッセージを送ります。

    「腹腔鏡を扱う科に進む研修医のみなさんにトライしてもらいたい練習です。練習を続ければ必ず折れるようになります」