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イチローの励みとなった特別なファン イチメーターのエイミーさんの思い

「だってそこに私の席があるから」

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イチローは7日、メジャー史上30人目の3000安打を達成した。イチローの偉業が称えられる中、注目される女性の観客がいた。

「エイミーさん」ことエイミー・フランツさん(45)は、シアトル郊外在住のイチローファン。マリナーズ時代からイチローをずっと追いかけている。

手作りの「ICHIMETER(イチメーター)」と大きく書かれた看板に安打数を示し、イチローがヒットを打つたびにエイミーさんは数字を入れ替える。

イチローファンになったきっかけは。そして、イチメーターを作った背景とは。BuzzFeed Newsはエイミーさんに話を聞いた。

「ちょうど今、マーリンズ対ホワイトソックスの試合中継をテレビで見ているところ」とエイミーさん。

イチローが大リーグ通算3000本安打を達成した7日、エイミーさんは「2999」と大きく表示されたイチメーターを持ちながら見守っていた。この日の試合をエイミーさんは振り返る。

「素晴らしかった! 達成した瞬間を目撃できたのはすごいこと。何度も試合を観てきたけど、代打でヒットを打てていなかったから……イチメーターの数字を替えているあいだ、本当に記録更新したのが信じられなかった」

中継では、エイミーさんが焦りながら数字を入れ替える様子が映し出されていた。「これほど忙しいイチメーターの入れ替えも初めて見たかも」と一部始終を見てコメントする人も。

「大抵普段は数字2つを替えるだけだったから、忙しかった。でも4つの数字すべてを入れ替えるのはすごく楽しかった」とエイミーさんは語る。

幼い頃から、兄や姉と野球やソフトボールを遊んだり、試合を観ていた。足首を痛める7、8年前まではソフトボールの練習もしていた。今でも時々、ボールを投げるという。そんな彼女が野球好きになったのは、自然なことだった。

シアトル・マリナーズの本拠地、セーフコ・フィールド。ライト・スタンド最前列席の年間パスを持っているほど、シアトル・マリナーズの大ファンだ。

「座っているところから近いから、右翼手のファンになるんです。イチローも長年そのポジションで活躍していたし、すぐにファンになった。才能があるだけじゃなく、自分のプレーに誇りを持っているから、応援したくなるんです」

「右翼手は私にとって、特別な選手たち。だってそこに私の席があるから」

イチローのマリナーズ時代、初めてヒットを打った瞬間を今でも覚えているという。「ワオ、すごく速い!」。

2004年、イチローが262安打でシーズン最多安打記録を更新するときが近づいていた。エイミーさんがどう楽しむか考えて思いついたのが、イチメーターだった。

「シーズンの終盤に、数字が入れ替えられる看板を作ろうと思ったの。イチローがプレーする側に私も座っていて、ちょうど看板を置く場所があった。ヒットを楽しく記録するのに始めたことだった」

イチメーターの数が上がっていくにつれて、エイミーさんは日本やアメリカのメディア、そしてイチローのファンから注目されるようになった。イチロー選手も、ウォームアップ中などにイチメーターを見かけては、エイミーさんに手を振ったりするようになった。頷くこともあったという。

イチローは2012年7月にマリナーズを離れてヤンキースに移籍した。このことにマリナーズのファンは衝撃を受けた。もちろん、エイミーさんもショックを隠しきれなかったが、イチローを応援し続けることを決めたという。

しかし、イチローが移籍してから数ヶ月後に、ある郵便物がエイミーさんの元に届いた。イチローから、マリナーズ時代に履いていたスパイクシューズと感謝の気持ちが込められた手紙が送られてきたのだ。

自筆の手紙にはこう書かれていた。

エイミーさんへ:

シアトルでの献身的なサポートありがとうございました。あなたのユニークでまっすぐな応援は、常に私の励みになっていました。スパイクの色はもう変わってしまいましたが、マリナーズ時代からのものを受け取っていただけたら幸いです。

イチローより

エイミーさんは、ほかにも野球バットやリストバンド、そして自身の誕生日にはサイン入りのボールをイチローからプレゼントとして受け取っている。

ヤンキースからマーリンズに移籍した後も、エイミーさんはイチメーターを持って各地を歩き回り、イチローの応援をし続けた。

エイミーさん自身はもう働いていなかったため、夫が遠征の旅費を支払うことも。しかし、旅費の捻出のため、夫の残業時間が延びてしまうのが心配になったエイミーさんは、クラウドファンディングで資金を募ったという。

「日本の人たちがたくさん寄付してくれた。本当に感謝しています」とエイミーさんは話す。

エイミーさんの家族は、イチメーターについてどう思っているのか。

「日米通算4000本安打の時には、夫と2人の子どもたち家族全員で楽しみました。娘とイチローの日米通算安打の記録を追っかけたり。みんな必ず一度はイチメーターの数字を入れ替えたことがある」とエイミーさんは語る。

イチメーター以外にも看板を作っているという。「今シーズンのマリナーズだけでも、選手8人用の看板を作った。青木宣親や岩隈久志のとかも。いつも車のトランクに入れてあるの」

エイミーさんの熱心な応援は、イチローだけではなく、マリナーズにも届いた。イチローがメジャー通算3000本を達成した翌日には、記録達成を記念してマリナーズから始球式で投げないか、誘いがあったという。

「始球式で投げたら、ストライクだった。最高な経験だった」

イチメーターは、いつまで続くのか。「イチローが野球を続ける限り」とエイミーさんは答える。

「50歳まで野球をやると言っているから、それまでずっとヒットを数え続けます。資格を得てから1年でMLB殿堂入りすると思う。イチローが殿堂入りするのを見届けること——それで私のイチメーターの旅は終わり」

訂正

記事内のキャプションを一部修正しました。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Eimi Yamamitsuに連絡する メールアドレス:Eimi.Yamamitsu@buzzfeed.com.

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