アルパカはモフモフしているけど…「うまそうな顔」 肉の食通に話を聞きました

    白石さんが100カ国以上旅して食べてきた肉は、約30種類!

    「アルパカは可愛いとは思いますよ。『モフモフしたーい』とか『何でお前そんなにうまそうな顔をするの』って思います」

    こう話すのは、「世界のへんな肉」の著者・白石あづさ(@Azusa_Shiraishi)さん。100カ国以上旅して食べてきた肉は約30種類。

    BuzzFeed Newsの取材に対し、白石さんは旅先で美味しいと勧められた食べ物を食べてきたと説明します。

    「とりあえず面白いと思ったものは、好奇心が強いので食べるようにはしています。あまり食わず嫌いをしないようにしているんです」

    白石さんが今まで食べてきた"へんな肉"の中には…

    アルパカのステーキ

    キリンのジャーキー

    トナカイのカルパッチョ

    ……など、日本ではあまり食べる機会がない動物の肉があります。

    「ペットだったり動物園にいる動物なので、食べちゃいけないと思っていたんですけど、案外何でも肉って食べられるんだな。そう思いましたね」

    食べてから、世界観が変わったりするのでしょうか。

    「あったら食べる、という感じだったので、そんなに激変することはなかったです。でも、やっぱりリャマとかアルパカとか……。アルパカは日本にいますけど、全部おいしそうに見えますよね(笑)。なんかね……食べ物にしか見えないですよね」

    トナカイについても、白石さんは続けて熱く語ります。

    「やっぱり肉にしか見えないですね。みんな知らないだけで『トナカイは食べて良い』と誰かが言ったら、多分食べると思うんですよね。あれだけ美味しいとわかれば。ゲテモノだとは、もはや思わないですね。現地の人も普通に食べているし」

    白石さんがクリスマスシーズンにトナカイで連想するのは、ソリやサンタクロースではなく、トナカイのカルパッチョだそうです。

    きっかけは、インドでの水牛のカレー煮込み

    学生の頃から、トルコやヨーロッパを旅していた白石さんですが、最初から食に興味を持っていたわけではないと語ります。

    白石さんにとっての初のへんな肉は、インドの「牛を蹴飛ばしているおじさん」のオススメで食べた、「悪魔の牛カレー」。実際は、水牛のカレー煮込みだそうです。

    「水牛自体は珍しいものではないのですが、インドで牛が食べられるとは知らなくて。絶対食べたらバチが当たると思っていたのですけれども、インドでは水牛は牛とみなされなくって食べられるらしいですね」

    「大丈夫なの、と思っていたら『牛だって食えるよ』と言っていて。食えるなら食いたい、牛しばらく食べていないし…という流れで行った感じです」

    仕事や旅行で、1カ月のうち20日間も海外にいることが多い白石さん。

    日本でも、へんな肉を食べているのか聞くと、自宅では切るだけで済む野菜やフルーツを食べていると話します。

    「トマトに塩かけたり、きゅうりに味噌つけたり、本当に手をかけないものが食べたくなるので。豆とか……すごいびっくりするほど質素ですね。鍋とか、ピカピカですもん。使わないから(笑)」

    「日本に帰ってきた時は、アッサリしたものを食べるようにしているんです。野菜たっぷりのスープだったり。滅多につくんないですけど」

    ほかにもアルマジロのブラウンシチューなどを食べてきた白石さん。苦手な食べ物は意外なものでした。

    「生の肉とか、ああいうちょっと気持ち悪いのは割とダメというか。血がベタベタ落ちてくるのは、嫌なんですよね。レバ刺しなんてダメです。うなぎとフォアグラが苦手」

    昆虫も苦手だと話します。

    「ちょっと足が細いものが苦手なので…ああいうやつは、ほんとダメで。虫はNG。ちっちゃい虫はダメですね…」

    人との出会い。へんな肉との出会い。

    どんな肉でも、裏には人との出会いがあるそうです。

    イランでお世話になった、とある家族と食べた「羊の脳みそサンドイッチ」には面白いエピソードが。

    「生活がすごい面白かったというか、日本と近いところもあり。日本は畳ですけど、向こうはじゅうたんの上でご飯を食べて、そこを片付けて寝るみたいな生活だったりとか」

    また、家族の女の子とは、恋愛話で盛り上がったと言います。

    「女の子って悩むんだと思いながら、ガールズトークをしているはずなんですけど……最終的に、その可愛い女の子から『脳みそ食べる?』と言われて」

    恋愛話という共通点を持ちながらも、羊の脳みそを食べている姿を見て「えー、そういうの好きなの?あ、やっぱり違う国の人だ」と思ったそうです。

    へんな肉を通して、いろいろな国と日本の食文化や生活の相違点を見てきた白石さん。

    「近しくて遠いし、遠いし近い。そういう感覚が、やっぱり旅では楽しいですね」

    白石さんは今後、へんな肉以外の食べ物も食べてみたいと語ります。

    「まだ食べていない肉っていうのは、もちろんたくさんあるんですけど、肉に限らず野菜、果物はちょっと食べてみたいなと思うんですね。どうしても生肉はダメなのですが」

    人が作ったものは食べる姿勢を持ち続けていたいと白石さん。

    しかし、その後すぐ「まぁ、生肉は無理して食べなくてもいいのかもしれないのですが」と付け加えました。よほど生肉は苦手なようです。

    12月12日にイベント「世界のへんな肉、日本のへんな肉をたっぷり語る夕べ」が開かれます。(生肉以外の)へんな肉が試せるかも?!

    訂正

    文中の記述を「キリンのジャーキー」と訂正しました。当初は「キリンのビーフジャーキー」と表記していました。