【フロリダ銃乱射】それでもアメリカは銃規制でまとまれない

    大統領選の候補者は、銃規制にどう取り組むのか。

    6月12日未明にアメリカ・フロリダ州のナイトクラブで起きた、銃乱射事件。犠牲者は49人とアメリカ史上最悪の銃乱射事件となった。アメリカでは、毎年3万人以上が銃で命を失っている。オバマ大統領は今年1月5日に銃規制強化策を正式に発表したが、銃乱射事件は後を絶たない。なぜか。

    アメリカの現状

    アメリカは、どの国よりも銃乱射事件が多発している。

    米ハーバード大学とノースイースタン大学の共同研究によると、1982年から約29年間は平均的に200日おきに銃乱射事件が起きていた。しかし2011年9月6日以降、事件は3倍に増え、平均64日おきに発生している。

    なぜ、銃乱射事件は減らないのか。

    伝染病のように広がるという説がある。殺人や発砲事件が起きると、2週間以内に別のところでも発生しやすい。この伝染は13日ほど続くという研究をCNNが報じている

    さらに根本的な問題がある。銃規制が一向に進まないことだ。

    ニューヨークタイムズとCBS News共同の世論調査によると、57%が銃販売を厳しくしてほしいと回答している。なのに規制が進まないのは、強力な反対勢力がいるからだ。

    大統領選の鍵になる「銃規制」 

    アメリカの2大政党のうち、民主党は銃の規制強化を方針を打ち出しているが、共和党は否定的な意見が根強い。

    フロリダ州銃乱射事件を受け、大統領選の候補者である共和党ドナルド・トランプ氏と民主党ヒラリー・クリントン氏は、銃規制についてどのような見解を持っているのか。

    トランプ氏は、過去に対人殺傷能力がある銃器の禁止を支持したり、銃購入までにかかる期間を延ばす政策を支持していた。

    しかし、2015年10月4日NBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」では、「銃を持つ人数が増えれば防御力が上がるだろう」と銃規制に反対する意見を表明した。

    また2016年5月20日には、トランプ氏は、銃規制の強化を主張するクリントン氏を強く批判。銃の所持を認めている憲法修正第2条を持ち出し、銃の権利はテロと闘うために欠かせないと述べた

    同日、全米ライフル協会(NRA)がトランプ氏を支持すると表明した。

    NRAは、アメリカ最大の銃愛好家の団体。会員数は500万人強で、政治的に強い影響力を持つ。トランプ氏自身、長期にわたるメンバーである。

    一方、クリントン氏は、銃規制と刑事司法制度の見直しを大統領予備選の争点にしている。また、政治課題の中心に設定するなど、民主党の他の候補者と比べて積極的に銃規制を訴えている。

    2015年10月1日、10人が犠牲になったオレゴン州の大学銃乱射の数日後、クリントン氏はNRAに立ち向かえるような「新しく効果的な銃規制の可決につながる国民運動」を呼びかけている

    トランプ氏は、クリントン氏が憲法修正第2条をなくそうとしていると批判している。これに対し、クリントン氏は「無駄な銃による暴力を防ぎながら、憲法修正第2条を支持することができる」と話している。

    UPDATE

    当初の記事では、犠牲者は50人と記していましたが、死者50人のうち容疑者が含まれていたため、「犠牲者は49人」と表記を改めます。