東京都台東区は2015年12月、区のホームページの対応言語を大幅に拡充した、と発表した。それまでの英中韓に加え、計89言語で読めるという。自動翻訳機能を使った画期的な新サービスで、各メディアも一斉にこの取り組みを報じた。
浅草寺や上野公園など観光スポットを抱え、訪日外国人の4割にあたる年間約526万人が訪れる台東区は、1日から区のホームページ(HP)を89言語で閲覧できるようにする。ここ数年で外国人観光客が激増しており、2020年の東京五輪に向け、さらに多くの観光客を呼び込むことがねらい(毎日新聞)
89言語で読める、そんなことが本当に可能なの??
ホームページが世界中の人々に読まれるとしたら、素晴らしい取り組みだ。しかし、機械による自動翻訳で、正確に意味を伝えることができるのか。
実際に読んでみた。
英語ページへのリンクをクリックすると、最初に注意書きが出てくる。
「翻訳システムは100%正確ではない」と宣言している。ここでOKをクリックすると、翻訳されたページに進める仕組みだ。雲行きが怪しい。
観光客が知りたいであろう、新着情報をクリックしてみた。スライダーで日本語と翻訳された英語を比べてみてほしい。画像は、区のホームページを使用している。
ひろば🐴🐴🐴!!!
そのままでは理解できない
結論から言うと、外国人が英語ページを見ても、中身を理解することは難しい。例を挙げると、こんな感じだ。日本語の原文と翻訳を並べてみた。(意味がわかりづらい場合、意訳した)
Google翻訳で日本語に訳し直してみた
あいにく89言語中、英語と中国語の2言語しか知らないため、自動翻訳された言語を、Google翻訳でもう一度日本語に戻してみた。
2020年に控える東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、国際観光都市台東区の魅力を広く発信するとともに、国内外から来る大勢の皆様を「おもてなし」できるよう、外国語への自動翻訳可能な言語を現状3言語から89言語に拡大します。
ホームページに掲げられているこの文章は、どう自動翻訳されたか。
フランス語
ドイツ語
イタリア語
ロシア語
エスペラント語!
「お・も・て・な・し」は100点満点
ほとんどの言語は、何を言っているのかよくわからない。不思議なことに、一般的に外国語に訳しづらいと言われている「おもてなし」は、どの言語も正確に訳されていた。
担当者「確かにひどい(笑)」
台東区に電話をしてみた。総務部広報課のホームページ担当者は「英語などを主に分かる範囲で職員がチェックしています」とBuzzFeed Newsに語った。
今のところ、利用者からの直接の反応はないが「職員からの指摘やネット上の反応を見て正しい訳を登録し、翻訳の精度を改善している」という。
"Day donkey"の誤訳を指摘したところ、「確かにひどいですね(笑)」。
UPDATE
18日21時現在、「ひろば」は「hiroba」と修正されている。